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日本の技術革新力 ~ 日本がこれからも経済成長できる、その理由。

昨日、多くの感動のドラマの舞台となったリオ・オリンピックも閉会しました。メダルの獲得数を見ても、今回ほど日本の健闘したオリンピックも過去になく、それだけスポーツ界において日本の地位は高まっています。しかし、日本の地位が高まっているのは何もスポーツ界だけではありません。

先日、コーネル大学、INSEAD、そして世界知的所有権機関(WIPO)が、国ごとの技術革新力を比較した2016年のランキングを発表しました。

このランキングは極めて重大な示唆を含んでいるにも関わらず、日本の報道を見る限り、「技術革新力、日本は三つ上げて16位…16年」などと結果しか触れられておらず、現在日本がどういう状況に置かれているか、そして日本の課題が何かまで踏み込んでいるものはありません。そこで、今回は、原典を参照しながら、ランキングの中身も分析し、これから日本が行うべきことを考えたいと思います。

まず、このランキングですが、実はこの指標が初めて出された2007年には世界4位だったのですが、その後ひたすら9位、13位、20位と順位を下げ続け、2012年には25位(全141か国中)までに下がっておりました。しかし、それ以降は23位、21位、19位、そして今年の16位と堅調に順位を上げ続けています。4年続けて順位を上げ、世界で16位まで戻したことは高く評価できると思います。
(参考 Global Innvation Index )

しかしながら、ランキングの結果ばかりを追っていても仕方ありません。どのような内訳でその結果になっているのか、その中身も、ある意味結果としてのランキング以上に大切です。

この点、今年のレポートの中でも特筆すべき点として紹介されておりますが、技術革新の「質」に関して、日本は、今年、アメリカ、イギリスを抑えて、なんと世界第1位となっています。この点については大いに胸を張ってよいと思います。

※ ちなみに、この技術革新の「質」の判断基準ですが、(1)地元の大学の質、(2)発明の国際化(複数の国で特許申請されているか)、そして(3)研究論文が引用されている数、の3点に基づくとのこと。日本は論文の引用数では若干他国に遅れを取っているものの、発明の国際化の数値で大きく他を上回り、世界一位に輝いています。これまで日本が取り組んできた「国際的な特許戦略」が功を奏しているといえるでしょう。

また、日本は、市場の洗練度が8位、ビジネスの洗練度が10位と大幅に上昇したことに加え、株式の時価総額と取引された株価の総額がそれぞれ13位、4位と高かったこともランキングの上昇に貢献しています。ここ数年で日本経済が復調しているということが技術革新の分野においても高く評価されているということは認識しておくべきことかもしれません。

しかしながら、他方で、ランキングの足を引っ張っている項目も多数あります。

中でも、特筆すべきは、「起業のしやすさ」が世界62位。「資金調達のしやすさ」は世界69位。「新規事業の開業率」は97位。加えて、「GDPの伸び」は世界で100位、「海外直接投資」に至っては世界で122位。まさに後進国といっても過言ではありません。

目につくところだけを拾ってみても、傾向、言い換えれば、日本が抱える課題が分かるような気がします。

折角の素晴らしい技術革新があっても、他の国と比べて起業がしにくく、海外から投資も呼び込めていない。加えて、資金調達もしにくいし、さらには新規事業も立ち上げにくい。そういうことも相まって、残念ながら市場規模(GDP)の拡大を実現できていない。

簡単に言えば、それが今の日本の実態、世界から見た日本の評価なのです。

別に日本が世界から見てどう見えるかなんてことを常に気にしなければならないわけでもありませんし、必ずしもランキングの上位を目指さなければならないという必要はありません。しかし、客観的に見て世界からどう見えているかくらい知っておいて損はありません。

一言でいえば、技術革新の中身自体は素晴らしいものがあるのに、それを経済成長に生かせているとは言えない、ということ。ビジネス的に言えば、せっかくの宝の「持ち腐れ」状態にあるもったいない国、それが日本です。

でも、逆に言えば、それを踏まえて、これから何をなすべきか、どこに伸びしろがあるのかがわかってくるのではないでしょうか。

このランキングから見ても明らかなとおり、客観的に見て、すでに日本は世界に負けない「いいもの」を持っています。

そして、その日本が世界に誇る技術の「質」を経済成長へとつなげられるかどうかは、ひとえに先ほど示した世界で大幅に遅れている項目を改善できるかどうかにかかっています。そして、まさにそれを進めるための改革(主に「規制改革」)がこれからの政治課題となるわけです。

借金大国だとか、少子高齢化社会の中でもはや日本で経済成長は不可能だなどと様々悲観的にいう方も少なくありません。しかし、やり方によっては日本はまだまだ経済成長が可能です。規制改革を訴えてきた自分の想いもまさにここにあります。

その当たり前のことをこれからも訴えながら、これからも全力で活動を続けて参ります。

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