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弊害も生み出す中国国有企業改革の実相 - 大西康雄

中国の国有企業改革が正念場を迎えている。2015年9月に改革の政策文書である「国有企業改革深化に関する指導方針」が公表されて以降目立つのは、企業合併による合理化の動きである。たとえば、実現すれば粗鋼年産6000万トンと、世界1、2位を争う規模となる宝山鉄鋼と武漢鉄鋼の合併の動きが報じられている。

 このほかにも、過剰生産能力が問題となっている石炭、建材、ガラス等の重厚長大部門を中心に上位企業同士を合併させる方針が示されている。政府当局者の説明によるとこれは、重複を省くことで過剰生産能力削減という政策目標を実現すると同時に、物流経費など経営コスト削減による資金効率向上を狙ったものであるが、結果的に従来以上の巨大企業が誕生することになる。

 もともとの国有企業改革スタート時には分割による市場競争導入が目指されたが、ここ10年来の国有企業合理化策の主旋律は合併へと逆転し、中央政府直轄の国有企業グループ数は03年の196から15年の107まで統合されている。

巨大化によって全ての問題が解決するわけではない

 企業分割の効果が思わしくなかったことが背景にあるが、今回は改革の総仕上げと位置付けられているだけに、各メディアは巨大企業=「巨無覇(漢時代の巨漢武人の名前)」の誕生が何をもたらすのかについて改めて問いかけを発している。

 最も大きな課題は合併=巨大化によってすべての問題が解決するわけではないことである。

 国有企業は事実上、独占禁止法の適用を免除されているだけに寡占化がもたらす弊害への対応が改めて必要となるし、何より、市場に適応した効率的な経営体制を確立しなければならない。

 この課題に応えるために、今年は合併策に加え、有能経営者のスカウト制や民間資金導入による混合所有制、従業員持ち株制の拡大等が試行される予定だが、これらはこれまでにも実施されながら実効性に疑問が呈されてきた措置である。改革の行方は予断を許さないといえよう。

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