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アングル:高リスク融資拡大競争に走る英銀、財務懸念が浮上

[ロンドン 16日 ロイター] - 英国の銀行業界では、よりリスクの高い分野で新規融資拡大に向けた競争が激しさを増している。国民投票における欧州連合(EU)離脱派勝利で景気後退の恐れ強まったことを受け、借り入れをためらうようになった顧客を取り込む必要がある上に、超低金利下で収益を確保しなければならないからだ。

HSBC<HSBA.L>やロイズ・バンキング・グループ<LLOY.L>、バークレイズ<BARC.L>、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)<RBS.L>といった大手だけでなく、より規模の小さい銀行も新規融資のキャンペーンを積極的に推進している。

銀行が打ち出したのは、クレジットカードなどの無担保融資や新興企業向け融資を強化する方針。伝統的な収益源となっていた商業融資や住宅ローンは国民投票前から需要が落ち込んでいたためだ。

ただ、経済の先行き不透明感が広がる中でこうした高リスク融資に一斉に乗り出していることで、一部の銀行の長期的な財務基盤が危うくなるのではないかと警鐘が鳴らされている。

ペンバートン・キャピタル・アドバイザーズのマネジングパートナー、サイモン・ドレーク・ブロックマン氏は「この手の戦略はしばしば高い代償がつくことが証明されている。なぜなら景気後退のショックに見舞われれば、これらの多くの融資は焦げ付くからだ」と指摘した。

英消費者の債務は既に相当膨らんでおり、業界データによるとクレジットカード融資残高は昨年末時点で630億ポンドと2014年末の610億ポンドから増加。今年7月には英金融行動監視機構(FCA)が、クレジットカード借り入れについてその規模と性質などについて懸念を示した。

それでも銀行は、増益を望む株主と景気回復を目指す政府の双方から融資拡大を迫られている。

こうした中で中小企業向け融資促進策として例えばHSBCはウェブサイトで、従来年7.9%としていた手数料を除く適用金利を最低年5.9%に設定した。

ロイターが取材した複数の銀行幹部は、国民投票後に銀行間の競争が激化したことを認める一方、収益を追求する上で今の厳格な審査基準が障害になるとの見方は否定した。

RBSやロイズは、あらゆる融資が厳しいリスク許容度の範囲内で決定されていると主張。HSBCも、リスクや借り入れ可能度の基準は変わっていないとしている。

バークレイズのステイリー最高経営責任者(CEO)は、上半期決算のアナリスト説明会で、消費者金融とホールセール金融を通じて同行の融資は他の英銀と比べて質が高く、保守的なリスク管理姿勢が明確になったと胸を張った。

とはいえ業界内からも、小規模経営だったり実績が乏しい企業や既に大きな借金を抱える消費者への融資を性急に拡大するのは危険だと警戒する声が出ている。

(Sinead Cruise、Andrew MacAskill記者)

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