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焦点:一瞬のドル99円台、米利上げ観測や円高けん制 神経質な展開に

[東京 17日 ロイター] - ドル/円<JPY=>が揺れている。弱い米経済指標を背景に100円を割り込んだが、強気な米連邦準備理事会(FRB)高官の発言が出るとすぐに大台を回復する目まぐるしい動きとなった。米利上げの思惑や日本政府高官の円高けん制発言などがドルを下支えしているが、上値追いも限られ、神経質な地合いが続く。当面は26日のジャクソンホール会議に注目が集まるとみられている。

<仕掛け的な円買いも>

ドル/円は16日の海外時間、心理的節目の100円をあっさり割り込み、99.55円まで下落した。英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まった6月24日(日本時間)以来の安値だ。

その背景には米利上げ観測の後退があった。7月の米小売売上高や卸売物価指数など米のマクロ指標が弱く、米金利も低下。ドルインデックス<.DXY>が英国民投票以来の水準に下落するなど、円高ではなくドル安が今回のドル安/円高を主導した。

そこに、海外投機筋による仕掛け的な円買いが重なったとみられている。夏季休暇の薄商いの中、「投機筋が円買いを仕掛けやすい環境が整っていた」(別の国内金融機関)という。

「米国債の償還と利払いに伴うドル資金の円転需要があり、薄商いのなか、こうしたフローでドル/円が下押ししたところに、投機筋が円買いで便乗した。その後はストップを巻き込んで下げが加速する場面もみられた」と、みずほ証券・チーフFXストラテジスト、鈴木健吾氏は指摘する。

<FRB高官発言でドル切り返し>

しかし、ドルの100円割れは一瞬だった。米ニューヨーク連銀のダドリー総裁やアトランタ地区連銀のロックハート総裁が9月の利上げも排除しない趣旨の発言をすると、ドルはすぐに大台を回復。17日の東京市場では101円まで戻している。

ダドリー総裁は、9月半ばの会合で利上げを決定する「可能性がある(It's possible)」と発言しただけだ。

市場では「可能性があるかという問いに対しては、可能性はあると答えるだろう。9月利上げの確率が高まったわけではない」(邦銀ストラテジスト)との受け止めもある。

ただ、9月利上げの可能性をほぼ排除してきたマーケットでは、利上げ方向の材料に反応しやすい。CMEグループのフェドウォッチプログラムによると、相場が織り込む12月利上げの確率は前日の42%から55%に上昇。9月利上げの予想確率も9%から18%に上昇した。

6月初め以来、ドル/円と日米10年債金利差の間には比較的強めの相関があった。だが、今週に入って、日米金利差が小幅拡大する中で、両者の動きがややかい離しつつ、ドル安/円高が進んでいる。

JPモルガン・チェース銀行・為替調査部長、棚瀬順哉氏は、直近でかい離が拡大した局面では、日米金利差にキャッチアップするかたちでドル/円が上昇した経緯があると指摘。今回も日米10年金利差から示唆される102円前半に戻すか、注目したいと話している。

<財務官発言後にドル下支え傾向>

ただ、日本側からの円安材料は期待しにくい。日銀は9月20─21日の金融政策決定会合でマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策の総括的な検証を行うとしており、市場の一部には追加緩和期待もあるが、まだ1カ月以上先だ。

米大統領選など政治的に神経質にならざるを得ないイベントが迫る中、日本の当局による為替介入への警戒感も後退している。

17日午前、浅川雅嗣財務官が、為替市場で「激しい動きがあれば対応せざるを得ない」と述べ、円高をけん制。「投機的な動きがないか強い緊張感を持って注視」との発言も伝わったが、発言直後の市場反応は限られた。

とはいえ、その後の市場で、国内機関投資家系のドル買い注文が出て、短期筋がドルを買い戻す動きをみせるなど、当局のけん制発言後にドルが下支えされる傾向がみえ、神経質な地合いになりつつある。

こうした中で、目先のポイントとして意識されているのは、米側の材料だ。17日に発表される7月26─27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、26日に予定されるジャクソンホール経済シンポジウムでのイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演に注目が集まりつつある。

三井住友信託銀行のマーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は「米国のファンダメンタルズはけっこう強く、タイミングが許せば9月の利上げもありえる」と指摘。ジャクソンホールのイエレン議長講演の中で、利上げに向けた強いメッセ―ジが出てくるか注視しているという。

(杉山健太郎 平田紀之 編集:田巻一彦)

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