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日銀のマイナス金利の深掘りはいよいよ困難に

 13日に日経新聞は次のような記事を掲載した。

 「金融庁は日銀のマイナス金利政策が、3メガ銀行グループの2017年3月期決算で少なくとも3000億円程度の減益要因になるとの調査結果をまとめた。同庁は収益悪化が銀行の貸し付け余力の低下につながるとみて、日銀に懸念を伝えた。調査結果は日銀が9月に予定するマイナス金利政策の「総括的な検証」の材料になる見通しだ。」

 この記事を受けて15日の日本の債券市場では中長期債主体に売り込まれた。急落したわけではないものの、戻り売りに押された格好となった。この記事のなかで影響があったのは、金融庁が日銀に懸念を伝えたとの部分であり、これも9月の日銀が発表する総括的な検証に組み込まれ、ますますマイナス金利政策の深掘りが困難になるのではとの見方によるものと思われる。

 日銀は4月の金融政策決定会合で将来のマイナス金利深掘りに備え、銀行への貸し出しにマイナス金利を適用する追加緩和策を模索していたのではないかとの見方があった(6月16日の産経新聞「「銀行は貸し出し努力を」マイナス金利批判に有識者注文」より)。

 この記事によると「都市銀行関係者によると、日銀は4月の金融政策決定会合で、将来のマイナス金利深掘りに備え、銀行への貸し出しにマイナス金利を適用する追加緩和策を模索。金融機関が日銀からお金を借りれば利息をもらえるため、銀行の収益悪化が和らぐという案」が日銀から内々に打診があったものの、これ受けた大手銀幹部は「銀行も貸出先に利息を払わなければならなくなり、利ざや縮小に拍車が掛かる」と抵抗し、導入は見送られたとしている。

 たしかに4月の金融政策決定会合では日銀の追加緩和期待が妙に盛り上がっていたが、結局、追加緩和は見送られた。その背景にはこのような動きがあった可能性がある。

 三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長が4月の講演で「(家計や企業の)懸念を増大させている」と政策効果に苦言を呈していた。その三菱東京UFJ銀行は国債市場特別参加者制度の資格を返上したが、前述の産経新聞の記事によると三菱UFJ幹部は、国債入札の特別資格返上に関し、追加の金融緩和を牽制する狙いもあったことを認めたとも伝えている。

 また16日には次のような記事も日経新聞に掲載された。

 「ゆうちょ銀行は2007年10月の郵政民営化に合わせて無料とした同行利用者どうしの送金手数料を、今年10月から9年ぶりに復活させる。月3回の利用までは無料のままにするが、4回目から1回あたり123円を徴収する。日銀のマイナス金利政策で資金運用の収益が細るなか、無料でサービスを続けるのは難しいと判断した。」

 5月にゆうちょ銀行の池田憲人社長はインタビューで、日銀のマイナス金利政策が同行の収益に与える影響について「決してプラスではない」と述べていた。メガバンクばかりか、ゆうちょ銀行からもやんわりとマイナス金利政策への批判が出ていたが、ゆうちょ銀行はその対策の一環として手数料収入に目を向けたものとみられる。

 しかし、メガバンクはそれなりの収益を維持しており、たとえ3000億円の収益源となっても大きな打撃とはならないのではなかろうか。これはゆうちょ銀行も同様であろう。今回の金融庁の懸念とは、マイナス金利によって貸し出しが伸びるどころか抑制されるという、効果よりも副作用の面があることを伝えることが目的かもしれない。しかし、本質は違うところにある可能性がある。

 言うまでもなくマイナス金利政策とそれによる国債の利回りのマイナス化などにより、大きな被害を受けるのは大手銀行ばかりではない。むしろ地銀や比較的規模の小さい金融機関の方が被害は大きいはずである。運用において悲鳴を上げているのがこれらの金融機関であり、金融庁の懸念はこれを意識したものとの解釈もできまいか。

 いずれにしても金融機関の収益を削ることにより、その波及経路はわからないが、物価目標を達成するという日銀の建前ではあるが、結果は金融機関の経営を悪化させるだけともなりかねない。

 ここからさらにマイナス金利政策の深掘りをするというのであれば金融機関にさらなる悪影響を与えかねない。銀行の銀行である日銀が銀行を苦しめるという構図は決して日本経済にはプラスにはならない。日銀によるマイナス金利政策の深掘りはこれらの要因に、さらに困難になったと見ざるをえない。

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