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民進党代表選 ―政党と「結社」の合体は政党の自滅行為だ―

理事・政治評論家  屋山太郎 


民進党の9月の代表選に蓮舫代表代行が立候補の意志を表明した。蓮舫氏は野田佳彦派に所属し、岡田代表とも親密な仲だが、蓮舫独自路線を取ることを鮮明にしている。岡田氏ではなぜ民進党がどん底から這い上がることができなかったか。先日の参院選で民進党は改選議席が43だったにも拘わらず、32議席しか獲得できなかった。岡田氏は3年前の17議席の倍近くを取ったのだから「勝利だ」と強弁した。この一言で岡田氏が党の痛恨を理解していないと悟った。

 この欄で何回か強調したことがあるが、現行の小選挙区比例代表並立制は二大政党を作る仕組みで、現状のように自民一強が続くのは制度が悪いからではない。選挙民が民進党を“政権政党”と認めていない証拠なのだ。欠点は自らの党の在り方にあったと自覚すべきだ。

 政権政党に何かの失政があれば、支持率はガクンと下がって選挙に負けるが、信頼を回復すれば、政党支持率は劇的に回復するものだ。しかし、かつての民主党も民進党も安倍自民党になってから参院2回、衆院2回負け続けている。政党支持率は7~8%で飛躍的回復などという現象はこの4年間、一回も見られなかった。

 そこには民進党は構造的変化を求めて民共連立路線を組んだ。こういうのを「時代錯誤」というしかないが、中国の脅威を目の当たりにしている今、「自衛隊解体」と叫ぶ共産党と組んだのである。組んだのは民進党100人の中の20人ばかりの旧社会党、旧社民党系に引っ張られたのである。この人達は60年代の社共共闘が身についた人達で、共に政権を現実的に構想したことがない。

 冷戦時代に各国で政権をとった社会党はいくつもあり、「社会主義インター」を構成していたが、この中で共産党と組んだ社会党は一つもなかった。世界共通の認識として社会党は共産党とは連立しない、共闘しないという掟があった。欧米の認識は共産党はスターリンに、自国で革命を起こすよう命じられた秘密結社(コミンテルン日本支部)である。政党ではなく「結社」と認定されたのが致命傷だった。独裁的な「結社」と政党が合体すれば民主的な政党の方が乗っ取られるのは当然だ。こういう暗い歴史を秘めた結社との連立に非社会、非社民党系議員が離反するのは当然で、岡田氏は党再生に当たってそういう政党の“嫌味”を払拭することを全く考えなかった。

 党代表には“嫌悪感”の染みついていない人物が不可欠だ。代表が蓮舫氏に代われば、支持率が一気に反発する可能性がある。それは蓮舫氏の党運営が新鮮で、党がこれまでの辛気臭さと訣別するのではないかと期待されるからだ。野党の政策は与党の「逆のことを主張すればいい」と小沢一郎氏は豪語した。この結果いきなり「消費増税反対、新安保法反対」を打ち出したのには驚いた。蓮舫氏は共産党との共闘、憲法改正問題で岡田路線を引き継げば、民進党に将来がないと自覚すべきだろう。

(平成28年8月10日付静岡新聞『論壇』より転載)

屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。
著書に『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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