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天皇陛下のおことば

 数年前、勉強会の立ち上げで関係する党の幹部や重鎮の先生方を訪問した際に、聞いた言葉です。

 「新人議員同士や個別テーマの勉強会も大切だが、我々が若い頃、竹下(登)先生から言われて、今も印象に残っていることに、こんな教えがあった。「君たちは、皇室をいかに守るのか、宮内庁長官や侍従長を誰に託すのかを常に考えなければならない。それは、保守を掲げる国会議員の役割だ」ということだ」と。

 今週8日、天皇陛下の生前退位の意向を含んだお言葉は、東日本大震災直後のメッセージを別とすると、即位後初のことであり、象徴天皇としての天皇の在り方を、天皇陛下に余りにも依存しすぎていた政治の停滞でもあり、国民も含め、陛下のお氣持ちをもっと忖度しなければならなかったと、今更ながら申し訳なく思います。

 陛下のお言葉を何度か拝読しますと、天皇の務めとして、何よりまず、国民の幸せと安寧を祈るという歴代天皇の存在意義でもある、祭祀を最重要視していることが分かります。

 そして、憲法7条の天皇の国事行為を行うことにも当然言及しながらも、更に非常に大切なこととして、国民統合の象徴としての役割を果たしていくために、常に、「人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いによりそう」とし、かつ、「国民に対する理解を深め、常に国民とともにある自覚を自らの内に育てる必要」という象徴天皇としての望ましいあり方を日々模索した到達点であり、それ故に、その務めは、皇太子や摂政に任せる訳にもいかず、天皇としての地位と立場と責務と公務と活動は、不離一体の姿を国民と世界に顕現し続けることが、日本国憲法に示された象徴天皇の姿であるという陛下自身の強い思いを感じました。

 今回のお言葉を受け、様々な反響、影響、論点が、出ておりますが、私は、三点の考察点が浮かびます。

 憲法、皇室典範、そして、沖縄、です。

 まず憲法改正です。

 秋の国会の主要テーマにもなりますが、従来は、緊急事態条項や環境権等の新たな権利、健全財政への責務や、参議院選挙区の合区、平和安保法制と憲法9条等の論点に加え、日本国憲法第1章の「天皇」そのものを如何に考えていくのかという壮大な論点が加わりました。 

 次に皇室典範。

 陛下のご年齢や生前退位の環境整備を、迅速、かつ、簡素化させるために、一代限りの特別法という考えも聞きますが、それは125代の神話から連なる悠久な歴史を持つ皇室の歴史や伝統に反すると考えますので、成熟社会、超高齢社会に対応した、象徴天皇にふさわしい皇室典範とは如何に在るべきかを、有識者、政治家、国民といった各種各層で論議を深める時期に来ていると考えます。

 そして、沖縄との関わりですが、私は昭和天皇、平成天皇ほど、沖縄に深いお氣持ちを寄り添い続けた天皇陛下はいらっしゃらなかったと感じてますし、信じています。

 沖縄と天皇との関わりには、天皇メッセージが引用されることも多く、その解釈の主流は、沖縄切り捨て論、見捨てられ論として捉えられています。

 確かに、今に続く米軍基地の過重負担と27年間の米軍統治時代が継続され、その間に、日本本土は早々と主権回復し、経済復興を急速に遂げたのは事実です。
 
 しかし、私は、主権を失った敗戦国として、領土を失う可能性もあり、皇室の存在すら危うい状況下で、共産主義の危機に直面した当時の我が国において、タイムラグはあるにせよ、「沖縄は紛れもなく日本であるという潜在主権を米国に確約させることを条件に、本土の早期の主権回復を実現し、沖縄や奄美、小笠原の祖国復帰交渉に手掛け、実現した」という歴史的事実は冷静な評価が必要です。

 心情的には非常に複雑な思いもありますが。

 更には、天皇陛下の、戦後71年間にわたる沖縄も含め同胞であり、掛け替えのない県であるという幾多にわたる戦跡慰霊を含む御巡幸と御慈悲、多くの御製、そして、おもろそうしの長年の研究や、多くの琉歌の御創作を含め、沖縄を深く理解したいという、強い思いには、素直に敬意を払っています。

 生前退位を静かに深く考え、論じることで、沖縄と本土の関係改善をもたらす契機をも結果として、御作りになった氣がします。  

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