- 2016年08月12日 06:00
トヨタも危機感! 自動車は異業種提携でどこへ向かうのか - 自動車の産業革命が始まった
世界「3強」が異業種提携で「異次元空間」へ
世界の自動車大手が先を争うように、「異次元空間」に飛び込んでいる。
画像を見るAI(人工知能)やシェアリングエコノミーをはじめ、既存の自動車技術と異なった領域でIT(情報技術)企業などと提携し、自動運転や環境規制強化、あるいはライドシェアと呼ばれる配車サービスへの対応に一斉にアクセルを踏み込み出した。その姿は量産技術確立から100年を超えた自動車産業にとって歴史的なパラダイムシフトであり、産業革命以外の何ものでない。
自動車大手とIT企業の異業種提携のケースとしては、直近でホンダとソフトバンクが7月21日、AI分野で共同研究を始めると発表した。「感情エンジン」と呼ぶ人の感情を読み取るAIを搭載し、自動車が人との対話で情報をやりとりしたり、安全運転につなげる技術で次世代自動車の実用化を目指す。さながら、1980年代にヒットした米国のテレビドラマ「ナイトライダー」で描かれた近未来を彷彿させる。
異業種提携は両社にとどまらない。世界市場で年間1000万台規模の生産・販売で覇権を争うトヨタ自動車、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズの「3強」はそれぞれ、異業種提携を通じた異次元空間へのアプローチをいち早く強めている。
トヨタは米国でAIの研究開発拠点に巨額を投じているほか、配車サービスをめぐっても6月に最大手の米ウーバー・テクノロジーズと資本・業務提携した。VWも同業のイスラエル企業との提携を加速し、GMは自動運転のベンチャー企業を買収し、米配車サービス大手のリフトに出資し、第3の波が押し寄せる近未来の自動車産業を見据える。
今後5年は過去50年より大きな変化が起きる
3強以外に目を向けても、欧米大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は5月、グーグルの持ち株会社アルファベットと自動運転車開発での提携を発表した。日本勢もソフトバンクとAI分野での共同研究を進めるホンダは今年9月、研究開発子会社の本田技術研究所が東京・赤坂にAIの研究拠点を開設するなど、世界の自動車大手を異次元領域でのイノベーションに駆り立てている。
その背景にあるのは、自動車産業の急激な変化に対する危機感だ。AIを活用した自動運転技術の進展はIT企業の伸長を促し、既存の自動車産業が地殻変動を起こしかねない。ライドシェアやカーシェアリングといったシェアリングエコノミーの台頭に至っては、「保有する」から「利用する」へと消費者の価値観が移り、自動車が代表格だった大量生産・大量消費時代の終わりを告げる可能性すらある。こうした既存自動車産業の危機感を象徴するように、GMのメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「今後5年は過去50年より大きな変化が起きる」と、今後、自動車産業に押し寄せる変革の波への備えを力説する。
円安・株高から円高・株安へと潮目が変わり、2017年3月期で5年ぶりの減益を見通すトヨタの豊田章男社長は、アベノミクスによる円安基調で潤ったこれまでを「追い風参考記録」と例え、これからは「等身大」での勝負と身構える。しかし、等身大の姿は足元、あるいは先行きの数年しか見通せないのが事実で、近未来を見据えた異業種空間へトヨタを誘い込む。
産業革命級の激震に見舞われる近未来の自動車産業にとって、既存の自動車大手が主導権を握ったままでいられるかは何の保証がない。自動運転をめぐっては米アップルの参戦も観測されるなど、IT企業との覇権争いは激しさを増す一方であり、新旧勢力入り乱れた生き残りを賭けた戦いは始まったばかりだ。
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