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中国への抗議、岸田外相の言葉に欠けているモノ

今月初めより、中国は、尖閣周辺に大量の漁船と公船を展開させ、日本側から実効支配を奪取すべく、既成事実の積み上げ努力を続けています。

安倍政権の対応は、ボロボロだった民主党政権に比べれば、雲泥の差ですが、それでも中国船の活動状況に大きな変化がない以上、効果があったとは言えません。
そこには、欠けているモノがあるからです。

岸田外相は、9日になって、やっと大使を呼びつけて抗議しました。
その際、呼びつけた大使を待たせ、非礼を示す事で、”強い抗議の意”を演出しています。
岸田文雄外相 8分待たせ無言の怒り 中国大使への抗議で意図的に“非礼”演出」(産経160809)

ですが、所詮その程度であり、外相・外務省の対応は、基本的に非常にスマートです。
抗議はしても、明確な警告はしません。

操業自体は、取り決めによって認めていますから、これを非難はできません。
しかし、漁法や漁獲量などにおいて違法な事をしていないか、日本側として取り締まることは可能なはずです。
また、操業と見せかけて、海洋調査をしている可能性もあります。
これらが行われていないか、臨検して確認すると宣言する。つまり警告することは可能です。
問題は、これを実施するぞという覚悟を示せない点にあります。

これができない理由の一端には、岸田外相自身が、親中派だという理由もあるでしょう。
待たせるという非礼外交は、非常にインパクトがあるように報じられていますが、大使を待たせる程度の非礼は、外相と大使の格の違いも踏まえれば大した事はありません。
結局、この非礼外交は、日本の国内向けパフォーマンスでしかないのです。

日本政府は、国際法に基づく”法の支配”を基本路線として中国に圧力を加えています。
南シナ海での仲裁裁判において、7月12日に中国の主張を退ける裁定が出され、中国として焦っている今がチャンスです。

その直後、8月3日に成立した第3次安倍内閣(第2次改造)では、稲田氏を防衛相に据え、対中国でしっかりした対応を行う姿勢を示したとも見られています。
しかし、弁護士出身でもある稲田氏は、むしろ外相に据えた方が、法の支配によって圧力をかけるという路線にはピッタリです。
稲田氏が防衛省ではなく外相であったなら、今頃は、単なる非礼外交による抗議に留まらず、(国際)法的になにが可能なのかを踏まえた上で、しっかりと警告が出来ていたのではないかと思われます。

紛争手前の外交交渉は、ヤクザの交渉のようなものです。
岸田外相のように、「止めて下さい」というだけでは、効果など望むべくもありません。
「止めなきゃ何をするぞ」と言わなければ、蛙のつらに水です。

抗議の際、「一方的に現場の緊張を高める行動は断じて受け入れられない」と伝えたそうですが、受け入れられない以上、「こちらとしても断固とした行動を取らざるを得ない」と伝える事は可能だったのではないでしょうか。

「わが国固有の領土、領海、領空を断固として守り抜く」と発言しているのは稲田防衛相ですが、この段階での法執行権限は、防衛相・自衛隊にはありません。
海保庁は、国交省の外局ですが、外相が言うべきなのです。
稲田朋美防衛相「わが国固有の領土、領海、領空を断固として守り抜く」」(産経160808)

ですが、物足りないとは思うものの、良く見ると岸田外相・外務省としては、言外に軽い警告を与えているようでもあります。
大使を待たせた際、大使をマスコミの眼前で待たせています。マスコミは、言い替えれば国民の目です。
そして、同日、ホームページにおいて、中国船の領海侵入の実態を公表しています。
中国船領海侵入の実態を公表…政府、異例の対応」(読売160809)
つまり、国民の目に事実を曝した訳です。

これは、日本国民の対中感情を悪化させることを意識した行動であり、あくまで言外ですが、「国民の手前、このまま何もせずにいることはできないですよ」と伝えているとも取れます。
もし、水面下でこのようなやり取りがあったのなら、岸田外相・外務省としては、中国に恥をかかせないやり方で警告をしたと言えるかもしれません。

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