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平成の“玉音放送”を聞く

昭和20年8月15日正午、6歳の誕生日を控えた私は、佐世保市相浦町の電力会社社宅で玉音放送を聞いた。

母と弟と共に「よそ行き」に着替えてラジオの前に正座した。この日は何時になく熱く、蝉しぐれが絶えない日であった。

陛下の玉音はよく聞き取れなかったが、母が泣いているのを見て、戦争に負けたのだ、と感じ取った。

この日の父の日記にはこうある。


≪八月十五日は、いつになく騒々しい蝉時雨が気になる、晴れた暑い日であった。所長から正午前に全員集合する様に指示されて、それぞれの課ごとに玄関前の広場に集まると、朝礼台の上の白布が敷かれた机の上にラジオが一台置かれてあり、所長以下全員がその前に整列したところで、天皇の玉音放送があるのだと教えられた。

正午になると、国歌・君が代に継いで天皇の切々たる声がスピーカーから流れ出した。

女子青年隊員の中から嗚咽の声が上がると、男子隊員や幹部の間からも呻き声が上がったが、それは必死に悲しみに堪えている様でもあり、また、苦しかった毎日から解放される安堵感から出ている様にも受け取れた。いずれにしても日本人の誰もがこの瞬間に、毎日の緊張から解放されたのは事実であった。

 戦争は終わった。しかし負け戦に変わりはない。恐らく玉音放送を聞いた日本人は誰もが涙をのんで愕然とした事であろう…。≫


昨日の午後3時、私はこれを思い出しながら「平成の玉音放送」を拝聴した。

誠実なお人柄そのままのお気持ちが伝わってきたが、最後のセンテンスの「国民の理解を得られることを、切に願っています」という箇所は“畏れ多くも”不要だと感じた。我々臣民が「理解する」などとは恐れ多いことだからである。

すぐにTV各局は、特別番組を組んだが、中には変な評論家が、不敬な発言をする姿もあり、今回の一連の出来事の裏には、何かメディアなどが絡んで操作している一団がいるように思えて不愉快だった。


それよりも、ご高齢な陛下の任務が激務であることを感じ取り、皇室本来のお仕事である神との御約束事である祈り=宮中祭祀をいつまでもお続けいただき、人間社会との接触(ご公務)は、極力摂政の宮にお譲りなさったらいかがか?と感じた。

大体、メディアの造語と受け取れる「生前退位」という言葉も不敬である。

中で素直なのは次の「日本と皇室の未来のために知恵を絞ろう」という産経抄子の感想だろう。

≪「皇后さまと、ゆっくり過ごしていただきたい。心から願うとともに、もう一つの思いも消えない。たとえ公務がかなわなくなっても、天皇陛下のままでいていただきたい」。

 ▼天皇陛下が「生前退位」の意向を示されている。前月、突然飛び込んできたニュースを受けて、書いたコラムをこう結んだ。昨日の午後、ビデオで表明された「お気持ち」を聞いて、大いに反省した。なんとも、甘ったるいことを書いたものだ。

 ▼陛下はおっしゃっている。象徴天皇の務めとはなにか。「まず国民の安寧と幸せを祈る」「同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添う」。お言葉の通り、大規模な自然災害が発生するたびに、被災地に足を運ばれた。膝を床につけ、目線の高さを同じにして被災者を励ます、「平成流」のスタイルを貫かれてきた。

 ▼先の大戦の激戦地を訪れ、犠牲になった人を悼む慰霊の旅も大切にされてきた。そんな務めが果たせなくなったら、天皇の位にとどまるわけにはいかない。大病も経験された82歳の陛下が、国民に伝えたメッセージは明らかである。ご自身の健康が悪化した場合、社会に与える影響についても、深く憂慮されている。

 ▼「苦難の日々を皆が分かち合っていく」。東日本大震災の発生から5日後の平成23年3月16日、陛下がビデオを通じて国民に呼びかけられた「平成の玉音放送」は、大きな感動を呼んだ。陛下は再び、国民に大きな宿題を示された。

 ▼皇室典範に規定がない「生前退位」の実現までには、課題が山積している。陛下はそれを十分承知の上で、心情を打ち明けられた。日本と皇室の未来のために知恵を絞ろう。国民はこれまで両陛下に甘えすぎていた


安倍首相は、「国民に向けてご発言されたということを重く受け止めている」と短いコメントを発しただけだったが、政府として対応を検討していく考えを表明した。“シッカリ”と輔弼の責任を果たしてもらいたいと思う。


皇室問題に詳しい東京大学の小堀桂一郎名誉教授(日本思想史)は「陛下のご意思は、ご自分がしっかりしておられるうちに、生前退位により国家の安定に尽くされたいとする、お心の表れでもあるのだろう。ただ、皇室典範の改正が大前提であり、多くの課題があるのも事実だ。例えば退位された後のご処遇はどうなるのか。また、生前退位が前例となることで、将来、さまざまな問題が起こるかもしれない。具体的な制度改正に当たっては、陛下のご意向を尊重しつつも、時間をかけて慎重に検討すべきだろう」と数日前に述べているが、「皇室典範」とは、明治二十二年二月十一日、「大日本帝国憲法発布の勅語」と同時に発布された「皇室典範制定の勅語」であり、「天佑を享有したる我が日本帝国の寶祚は、万世一系、歴代継承し、以て朕が躬に至る。惟ふに祖宗肇國の初、大憲一たひ定まり、昭なること日星の如し。今の時に當り、宜く遺訓を明徴し、皇家の成典を制立し、以て丕基を永遠に鞏固にすへし。ここに枢密顧問の諮詢を経、皇室典範を裁定し、朕が後嗣及び子孫をして、遵守する所あらしむ。」という「皇家の成典」である。

即ち、皇室典範とは、神武創業以来明らかに定まっている皇家の遺訓を成典にしたものであり、本来、皇室典範は「法律」ではなく「皇家の成典」つまり「天皇家の家訓」である。しかるに、この皇室典範が、当時我が国を占領統治していたGHQの強い意向により昭和二十二年、国会で法律として制定され、形式は「法律」として存在しているということになる。

そこでこの「皇室典範」を、「皇室の家訓」として扱うべきか「法律」として扱うべきかという問題が生じるが、「私は、その本質に即して『皇室の家訓』として遇し、単なる『法律』として扱ってはならないと考えている」と麗澤大学の八木秀次教授(憲法学)は語っている。


戦前は天皇は「現人神」とされ、君臨すれども統治せずの誓いを全うされた。魑魅魍魎が集う“政治の世界”とは一線を画した存在なのであり、いわば人知を超えた存在なのだ。それは衆生には想像できない天との約束事を毎日果されている御存在なのでありそこが「神主」と言われるゆえんでもある。

米国人の神道家・ジョセフ・W・T・メーソンは「神道は、日本精神の特性が漠然とした潜在意識にあった何世紀もの間を通じて、建国以来今日まで、この国を支持してきた…。もし神道が放棄されるようなことがあれば、日本の退化は免れえないであろう。そんなことになれば、国民の自発的調和としての精神的統一は失われるであろう」と言っている。

この陛下による「宮中祭祀=祈り」が途絶えれば、日本国は日本ではなくなるのだ、という事を輔弼の任に当たる政治家は十分に自覚してほしいと思う。

選挙で“選ばれた”に過ぎない政治家に“絶対にできないこと”は、陛下のように国民のために私心を捨て去ることである。

大東亜戦争で散華した英霊を悼む先帝陛下の御製は数々あるが、昭和34年千鳥ヶ淵戦没者墓苑には

「国のため、命捧げし人々のことを想へば胸せまりくる」

とあり、37年の「遺族のうえを思ひて」という御製は

「忘れめや、戦の庭にたふれしは、暮らしささえしをのこなりしを」

とある。ご心痛いかばかりであったことだろう。

仁徳天皇の

「高き屋に登りて見れば煙り立つ、民のかまどは賑わいにけり」

という御製はあまりにも有名だが、我々日本民族はこのような高貴な精神に満ちた歴代天皇のご加護の元で生きてきたことを忘れてなるまい。


一昨日、たまたま店頭で見かけた「東京人」という雑誌は、1945~46年の間の貴重な写真を掲載していた。

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≪東京人・No375≫

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≪昭和天皇の戦後ご巡幸・1946年2月20日・横須賀市近郊の鴨居引揚者収容所とある≫

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≪廃墟から立ち上がる街・銀座:1945年11月、松坂屋から現在の中央通り方向を見る、とある≫

これを見てわかるように、71年前の我々日本人は、焼け野が原から逞しく立ち上がった!のであった。

この時は、経済復興が最優先だったが、それから71年経った現在は、物は溢れ豊かになったにもかかわらず、大切な日本精神と愛国心を失った。

これからは金まみれになって、見失っている「日本人魂」を呼び戻す時だ!

しかし、バブル期の大人たちと異なって、平成の世に生まれた多くの若者たちは、健全に成長していて、今やリオの五輪で大活躍している。

ご高齢の今上陛下には、ご安心なさっていただき、これからはゆっくりとご静養いただきたいと心から思う。

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