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天皇譲位に伴う課題

なんとなく畏まった姿勢でテレビから流れてくる優諚を聞いた。

 NHKが報道したからには、もうこれは、お気持ちを汲んで速やかに譲位を実現させなければならない。

 こんな大事なことをNHKが臆測で報道するはずはなく、陛下自らがお言葉を述べられる前から、御意嚮が伝えられた時点で、「こういう方向で行きましょう」ということは決まっているはずである。

 「数年前から、そのようなお気持ちを示されていた」ということなら、本来なら数年前に報道すべきことだが、それを直ぐに報道しなかったのは、関係者の間で調整が付かなかったからだろう。そして今回報道に踏み切ったということは、ある程度の調整が付いたということだろう。

 報道しておいて、陛下のお言葉までいただいておいて、「お気持ちはわかるけど、法制度の関係で御意に沿うことは難しい」などということがあってはならない。なぜなら、テレビを通じて広く国民に示されたということは、これは「詔(みことのり)」だからである。

 だからこそ、速やかに具体的な実現を目指さなければいけない。「数年前から」が、もし仮に五年前からだとして、お気持ちを発表されてからさらに五年間、国民的議論を尽くして漸く実現に至ったとすると、御意に適うのに十年もかかったということになる。御病気、健康、御年齢による体力の問題に起因する今回の御発言なのに、それではあまりに遅すぎる。

 一方で、決まりを変えることには、さまざまな解決しなければならない問題がある。

 例えば、皇太子殿下が天皇になられた後、誰が皇太子になるのか、という問題。

 皇太子というのは、今までは「天皇の長男」だった。だが、今の皇太子殿下には男のお子様がおられない。愛子内親王は皇太子にはなられない。愛子内親王にはお子様がないので、「皇太孫」もいない。秋篠宮さまは、弟君に当たられるので、「皇太子」と言うのは違和感がある。悠仁さまは、甥である。皇位継承順位が一位になる秋篠宮さまを「皇太子」とするのか、それとも「皇太子不在」でいくのか。その場合、今まで皇太子殿下が担ってこられた公務はどうするのか。

 仁孝天皇以来、約二百年ぶりになる受禪踐阼となれば、またそれに伴う儀式の問題がいろいろ出てくるだろう。さらに、もし万が一、皇太子殿下が新しく天皇に即位されて直ぐに御不予があって公務を行えなくなった場合、今上天皇が「それではもう少し私が引き続き務めましょうかね」と仰せられた場合、これは一度退位したあとの再度の踐阼なので「重阼」ということになる。重阼となると、八世紀の孝謙天皇以来、ここ千二百五十年余り例がない。皇室典範にも規定がない。このような重阼を認めるのかどうか。

 考えなければいけない問題はたくさんある。

 皇室典範を改定すると、未来にわたってルールが変わってしまうので、今上天皇に限った特別法で対応しようという考え方も出てきている。しかし特例は前例になる。将来、「平成天皇(假)の時の例があるから」ということになる。また、今上天皇“だけ”を特別にはからうことが叡慮に適っているのか、という疑問もある。

 こうした諸問題を解決しつつ、速やかに宸襟を汲まなければならない。

 拙速を避けつつ、可及的速やかに。

 難しい課題を迫られている。

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