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日本発のネット関連サービスを再び世界へ

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◾ 日本発のネット関連サービスの勝ち組

『日本の発のインターネット関連サービスの海外進出による成功はどうすれば可能なのか。そもそも可能性があるのか。』

これは本来とても重要な問いだと思うのだが、さびしいことに昨今ではそのような問い自体が少なくなってしまったという印象がある。それどころか、肝心の日本市場でさえ、強大な外資企業に伍して日本発のサービスが生き残ることができるかどうかがもっと差し迫った重大な課題だったりする。SNSサービスのmixiのように、一旦は日本市場で不動の地位を築いていたはずだったのに、いくつかのサービス設計上の判断ミスが重なったと思ったら、瞬く間にFacebookやTwitterのような米国発のサービスに圧倒されて衰退してしまった事例は記憶に新しい。

もちろん、今の日本にもいくつかの優良なサービスがある。例えば、動画共有サービスの『ニコニコ動画』、ネットショッピングの『楽天市場』、メッセージサービスの『LINE』、その他にも口コミ情報からグルメ情報を探せる『食べログ』、料理レシピのコミュニティサイト『クックパッド』等、いずれも日本のユーザーの嗜好や特性を十分に理解した上で設計されたサービスで確固たる地位を築いている。

特に、ニコニコ動画にはYoutube、楽天市場にはAmazon、LINEにはFacebook・メッセンジャーなど、市場に強力な主要米国大手IT企業、いわゆる、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonの略)のサービスがありながら、押し流されることなく堂々と渡り合っているといえる。もちろんクックパッドや食べログとて、Googleの検索やFacebookの友人からの情報等、代替手段が沢山ある中で、日本人の機微に触れる情報やサービスを提供して健闘している。

ソニーやシャープ等のかつては世界市場を席巻した優良企業でさえ、GAFAの攻勢に耐えかねて負け組に転落していく中、これらの日本企業が過激とも言える競争環境で生き延びていく姿は、颯爽としており、また、ここには他企業にとっても重要なヒント/教訓が潜んでいるように思えて、ずっと以前から注目してきた。

◾ 勝っている理由

では、日本市場における『勝ち組』の勝っている根本的な理由、『コア』と言える理由は何だろう。すでにある程度評価も定まってきているこれらのサービスについては、様々な説を見つけることができる。多少異論もあるかもしれないが、大方下記のような説明が一般に認知されている内容といってよいのではないか。

ニコニコ動画:

初音ミクなどの『ボカロ曲』や、それらを『歌ってみた』『踊ってみた』動画といったニコ動の人気コンテンツに見られるような、日本の独特なオタク系のテーストに溢れたコンテンツがコアなファンに熱狂的に受け入れられている。

LINE:

もともと日本人のコミュニケーションは、言語で厳密な意味を伝えるより、何気ない気持ちや感情を身振りや素振り等非言語的な表現方法を駆使して伝え合うことを好む傾向が見られるが(言葉を使いすぎることは無粋)、そこにエンタメ性を帯び、日本人の感性にジャストフィットしたスタンプのようなツールを持ち込み、それが新感覚のコミュニケーションとして特にバイラルを生みやすい若年女性を中心に口コミで広がった。

楽天市場:

物を売り買いする際にも、必要最小限で事務的なコミュニケーションより、店員や居合わせた客との濃密な会話や一期一会の出会いを楽しむことを大事にして、買う物を時間をかけて選ぶことを楽しむ日本人の性向にフィットした仕組みを、ネット通販の場に持ち込むことに成功した。

効率性、ローコスト、ハイ・スピード、シンプルな使い易さ等、世界中の誰でも簡単に使うことが出来きるような、仕組みを設計することは、米国発のIT企業が最も得意とするところであり、日本市場でもそのようなサービスの多くは成功しているが、それに味気なさを感じてしまうユーザーが日本には少なくないこともあり、それを理解してサービス設計できる日本企業には独自の参入障壁を構築することが可能になる。すなわち、GAFAの出自である米国と、日本との間には明確に文化の違いがあり、これをうまく利用することは、ネットサービスにおける参入障壁構築に有効と考えられるということだ。この『違い』については、すでに言い尽くされた感もあるが、このようなケースでは、ローコンテクスト文化(米国)とハイコンテクスト文化(日本)という対比によって語られることが多い。

◾ ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化

ハイコンテクスト文化というのは、文化人類学者のE・H・ホールが定義した文化の区分の一つで、コミュニケーションに際して共有されている体験や感覚、価値観などが多く、『以心伝心』で意思伝達が行われる傾向が強い文化のことをいう。日本文化は、『空気を読む』ことや、『状況を察する』ことが重視されることにみられる通り、典型的なハイコンテクスト文化であり、それに対して、米国のように言語による意思伝達に対する依存の強い文化をローコンテクスト文化という。

それぞれ、下記のような特長が指摘されている。

ハイコンテクスト文化
直接的表現より単純表現や凝った描写を好む
曖昧な表現を好む
多く話さない
論理的飛躍が許される
質疑応答の直接性を重要視しない

ローコンテクスト文化
直接的で解りやすい表現を好む
言語に対し高い価値と積極的な姿勢を示す
単純でシンプルな理論を好む
明示的な表現を好む
寡黙であることを評価しない
論理的飛躍を好まない
質疑応答では直接的に答える
ハイコンテクストとローコンテクストの違い

日本では、より短い言葉で多くの状況や気持ちを表現方法することが美意識に叶うと感じる人が多く、語りすぎることことは時に無粋であり、美しくないと感じる傾向がある。もちろんこれは日本の文化、コンテクストを共有できていることが前提となっており、非常に閉鎖性が強いコミュニティケーションであることは言うまでもない。日本人、乃至日本文化に慣れてしまった人は、コンテクストフリー(関係や状況やに左右されない)のコミュニティケーション・スキルが必要とされるグローバル・エコノミーの戦場では不利になりがちだ。これは、時に、ツールとしての英語が苦手、という以上の障害になる。

世界市場に日本で設計されたサービスを直接持ち込んでも、ローコンテクスト文化の地では受け入れられにくいと考えられるし、同じハイコンテクスト文化の地であっても、日本との文化の違いが大きければ、そのままで受け入れられるとは限らない。場合によっては、無用な摩擦やトラブルを招くこともあるかもしれない。

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