- 2016年08月07日 09:25
授乳はどこですべきか?中国で再び議論
8月の第1週は、「世界母乳育児週間」だ。世界保健機関(WHO)は今年、母親たちが「いつでもどこでも授乳できる」ようにするための支援を呼びかけた。
だが、中国の一部都市で新米の母親たちが感じているのは、このような奨励の声ではない。中国では最近、西安市の地下鉄内で授乳している母親の写真がソーシャルメディアに投稿され、公共の場で母乳を与える是非をめぐる議論が巻き起こった。
先月下旬にこの写真をミニブログサービスの微博(ウェイボー)に投稿したユーザーは、「悪気はない。ただ不適切だと思う」と書き込んだ。
投稿写真では、青いワンピースを着た女性が横を向き、撮影者から顔を背けている。母親は片腕で乳児を抱きかかえ、もう片方の腕で自分の体を支え、混み合った地下鉄の車内で席に座っていた。
写真はその後、微博にアカウントを持つ複数の地元メディアが転載。大半のコメントは母親に同情的だったが、授乳姿を何かで覆った方が良かったのではという意見もあった。
あるユーザーは、「『悪気はない』のなら、なぜ写真を撮ったのか。母親というのは子どもにとっての最善を望んでいるだけだ。授乳室がない中、母親はできる限りのことをしようとしている。尊敬に値する行為だ」と書き込んだ。
地下鉄内での授乳の是非が中国で議論の対象になったのは、今回が初めてではない。街頭などの清掃ボランティアを組織する「Beijing Tale」という非営利組織は昨年末、授乳中のある女性の写真を掲載して忠告した。「公共の場での行動に配慮しましょう。性的器官(乳房)は人前にさらさないように」と。
この投稿には、数時間で何万件ものコメントが集まった。
弁護士のYue Cheng氏は微博の公式アカウントで、「赤ちゃんは空腹になれば母乳を飲む必要がある。この若い母親が授乳しているのは母性からそうしているのだ」と書いた。
中国のニュースサイト「澎ハイ新聞」によると、Beijing Taleは投稿を削除、翌日に謝罪の声明を出した。Beijing Taleは、公共の場でのカバーなしの授乳が適切か否かについて、公開の場で議論をしたかっただけだと説明したという。
母乳育児が健康上有益であることはよく知られている。国連児童基金(ユニセフ)のアンソニー・レーク事務局長とWHOのマーガレット・チャン事務局長は、今年の世界母乳育児週間を祝うコメントの中で、母乳育児は乳幼児の死亡率を低下させるのみならず、小児ぜんそくや肥満といった非伝染病のリスクを低減させるなど長期的な健康も改善させると指摘した。
WHOは、産後1時間以内に授乳を始め、子どもが6カ月になるまでそれを続けることを推奨。その後、離乳食を加え始めるが、母乳育児を2年ないしそれ以上継続することを勧めている。
中国でも母乳育児をする母親が増えているが、その比率は一部の国ほど高くない。国家衛生・計画出産委員会が今週発表した統計によると、母乳で育てられる生後半年までの乳児の比率は2008年は28%だったが、2013年には59%に拡大した。北京晨報によると、北京ではその比率がもっと高く、昨年の時点で約70%に達している。
母乳育児を推進するため、中国政府は今週、公共の場での授乳室の追加を約束し、企業にも追随するよう呼び掛けた。
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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