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元ヤンキー20代当選議員「選挙活動の鍵は競艇場とサウナです」 - 20代当選「地方議員」の肖像

一般社団法人ユースデモクラシー推進機構 代表理事  仁木崇嗣=文 大杉和広=写真

元ヤンキーの町議はいかに選挙を勝ち抜いたか?

前編では、元ヤンキーの20代当選議員である橋本真助(福岡県みやこ町議)さんが、体をはって暴力団と向き合い地域に貢献している様子を伺いました。今回はその後編として、選挙活動の様子や議会内での活動について迫ってみたい。

▼「日常の中にある生の声を聴いて、同じ立場から物事を見ることが大事」
――橋本さんの選挙陣営はやはり若い人が多いのですか?

そうですね。25歳で初めての選挙に臨んだときは、中学校、高校で一緒に悪さをしていた仲間が集まった感じだったのですが、2期目の選挙では、それに加え、近隣の市議会議員や町議会議員だけでなく、地元のお年寄りからも応援してもらえるようになりました。世代に関わらず町の変化に期待する人たちに支えてもらっています。

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橋本さんの出陣式に参加する地元のお年寄りの方々。若者の頑張りを温かい目で見守っている。

――選挙期間中はどういう活動をされたのですか?

選挙カーで地域を回ったり、街頭演説を至る所でやったり、できることは全てやりきった上で、誰もやってないことは何かと考えて、まずは競艇場によく行きました。競艇場では、じいちゃんたちが「これは2番や、4番や」とか言っているところに入って「おいちゃん、これ3番がいいよ」というふうにしてコミュニケーションをとるんです。日常の中にある生の声が聞けますし、皆、それぞれの立場から町の事を考えているということもわかります。みんな、やっぱり自分の生活をよくしたいと思っているわけですよね。そこにいる人たちと同じ立場に立って、同じ目線で物事を見ることが大事だと思います。

それに気がついてから、サウナにも行くようにしました。サウナはストレス発散のために来る人が多いので、「日頃ここに住んでいてどう思う?」と訊ねると、いろんな意見が聞けるんです。「よし、わかった。実を言うとさ、俺、選挙出ちょるんよ」って。だいたい「嘘つくな」って言われるんですけど(笑)。そしたら「俺に投票せんでいいけえ、もし当選したら働きぶり見ちょって。4年後はちょっと考えちょって」って言って別れるんです。

「暴力団が選挙に立候補している」と言われた

――住民の日常にまさに裸で飛び込んでいるのですね。

はい。そういう選挙ですから、2期目は723票をいただいたのですが、そのうちの550人くらいは名前を間違えずに言うことができますね。

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町議会で質問をする橋本氏。

―― 1期目と2期目の選挙では違いはありましたか?

1期目の選挙は相当叩かれましたよ。怪文書も出ました。20年前は暴力団にいて、弟は暴走族の総長で、親も現役暴力団だとか書かれて。20年前は自分、5歳なんですけど(笑)。

あと、これは反省しなければならないのですが、選挙中に「覚えてますか」と声をかけられて何かと聞けば「私、高校時代に、あなたに自転車を投げつけられました」って言われて。全然覚えてなかったのですが、選挙は過去を総括する場なんですよね。そういったことも含めて人間性を評価されるという。

2期目の選挙は4年間の働きを見てくれているので「今までの議員たちは4期も5期も長く議員しているのに、町を何も変えきらんやった。けど、あんたが1期入ったことで、もうこれは仕方ないなって諦めかけてたことも、ひょっとしたらと思えるようになって、若い人が入ったことによって活気づけられたけ」と住民から言ってもらえたり、いろんな意味で少しずつ変わったと思います。

▼「(議員は)報酬以上の働きをどれだけしたかで評価されないといけない」
――続いて、最近の議会での活動について教えてください。

新聞やニュースでも報道されたのですが、京築陸上競技協会の公金流用疑惑について追及しています。町の教育委員会から支払われた陸上競技場の管理委託費610万円のうち、計260万円が政治家のパーティ券購入やホテルでの懇親会費などに流用された疑いがあり、議会質問で取り上げました。納得のいく回答は得られておらず、内部告発した同協会の事務局長が解雇されるなど混迷を極めているので、引き続き注視していきます。

「議員でい続けることにこだわりはない」

――議員として意識していることはありますか?

議員報酬は安いほうがいい。議員の数は少なければいい。そんな考え方がありますが、それよりも費用対効果を考えるべきだと思っています。議員それぞれが様々な視点から自治体の予算が有効活用されているかをきちんとチェックして、無駄な予算をどれだけ削減したかという点が大事だと。報酬以上の働きをどれだけしたかで評価されないといけないと思います。

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――そういう意識の議員は少ない?

「これおかしいでしょ」と思うことに対しても、「これをおかしいって言ったら票が減るかもしれん」って言って反対する人が多いのですが、「票のため」ということは「自分のため」なわけじゃないですか。

議員というのは町のためとか住民のためにあるのに、自分のために議員をしている人が多すぎると思う。「俺は、票のためじゃないで、先の、次世代の子どもたちのために、今批判されても、先になったら、あのときあの人はこう言いよったけえ、今があるんやって思えればいい」といつも言っています。自分自身は、議員であることにあまりこだわっていませんね。

▼「人の心の中に残る人になりたい」
――次世代の子どもたちのために町が進むべき方向性についてお考えをお聞かせください。

うちの町は消滅可能性都市に挙げられていて、2040年には町がなくなるって言われているんです。今は地方創生の名の下で、国が町に特別な予算を入れて、「これで地方創生してください」と言うんですが……。結局うちの町とかは、そういう補助金をもらってもワンサイクルで終わるんです。ワンサイクルで。そのお金を生きたお金としてずっと循環する仕組みを作れているかというとできていない。

1回、一部の人が潤って、はいおしまい。次の補助金まだですか? というのがうちの町の現状です。俺は町が消滅するという危機感をもって、それに備えることが必要だと思っていて、ワンサイクルで終わらないためにどうすればいいかをしっかり考えていかないといけない。会社でもそうですが、単独で経営ができなくなったら大手に吸収してもらうことも視野にいれるべきだと思っています。行政府としての自治体を残すことが目的ではないはずですから。

――最後に、個人としての今後の目標などあれば教えてください。

人の心に、思い出の中に残る人になりたいと思っています。会った人すべての心の中に残るために、時には人の盾になったり、支えになったりして、夢中に人生を生きていく、そんな生き方を貫いていきたいですね。何十年先でもいいんで「そういや、昔、おもしろい奴がおってね」っていうようなことをどこかで話してもらえたら、幸せです。

――今回のインタビューを通して若い世代に希望を持った方も多いと思います。引き続きご活躍を期待しています!

(橋本真助編・完)

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