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- 2011年05月24日 07:07
独メルケル首相が原子力撤廃を決めた理由(部分的に和訳してみました)
ドイツのエネルギー供給会社について書いたエントリー、ドイツの原子力アレルギーについて書いたエントリー、ドイツ人が見るグリーンピース等はブロゴスでも取り上げて頂いて、ツィッターでも色々反響があった。
「ドイツ人共は偉そうなこと言うのはフランスの原発から電気を輸入するのをやめてからにしろ。」とかですね。(ちなみに、正確にはチェコ、フランスになるでしょうね。スイス、ベルギー、オランダの原発も?)
しかし、私はもうドイツを離れて12年になりますので、正直、あまりわかりません。私はここにオンラインで新聞を読んではいますけれども、学生時代でよくみたドイツの政治論番組はここで見てきません。ここで、ツァイトという新聞にメルケル首相のインタビューが掲載されていて、それを翻訳して、コメントつきで少し紹介したいと思います。
メルケル首相が所属するCDU(キリスト教民衆同盟)というとは保守派で昔から原子力推進派でした。「安全、安全。」と言いながら、左から強く反発されました。脱原発のデモはけして新しい物ではない。ドイツでは昔から激しく論じられているテーマです。適当、youtubeから出した映像でも見えます。2008年のデモでも15000人以上の参加者があった。
メルケル首相のインタビューのテーマは独逸のエネルギー政策方針転換(Energiewende)であって、首相がそれを『とても面白くて、はらはらさせる、巨大なプロジェクト』と呼んでいます。なぜ、転換かというと、その背景には、昨年の秋にはキリスト教民主同盟と自由民主党の連盟が2050年まで原子力を撤回することに決めたことがあります。フクシマ第一の事故を見て、その連盟が2050年ではなく、2020年までの撤回と決めました。2020年までは電力の40%を再生可能エネルギーでまかなえるとのことです。(ちなみに、2011年現時点では17%だそうですよ。)
そして、ツァイトの記者が鋭く、方針転換の理由を聞きます。
フクシマはいまだにスケールが分かりかねない恐ろしい事件であって、思いがけない境遇に立たされました。今は、必要な措置を講じることによって、今まで対立していた方は近付け合って、社会にコンセンスが生まれるチャンスが来ました。もちろん、意見の違いは多少残るでしょうけど。
今までは理論上にしか存在していないから責任を追うことが可能であるリスク、つまり、今まで残存リスクとみなされていた事が実際に起こったことは、個人的には思いがけないことでした。
その上に、この事件が起こったのは技術能力、秩序、法律の点でドイツ何一つも劣らない日本でした。こういう事件が日本のような社会の根底をぐらつく、その国民がこういった状態に陥るなんて思いがけいことでした。これは今回の震災の深刻なことでした。
もちろん、こういう危険があると、警告した人がいたとは充分に承知しております。少し前までは、高い安全基準、高度技術のある国に、こういうことが起こるとは生きて迎えると思もいもしませんでした。
原子力というリスクは、自分の世代を超える、自分の国境を越える、つまり時間的・空間的に(巨大な影響を及ぼす)リスクです。
発生確率が非常に低いと思ったことが実際に起こると、やはりリスクは違いますね。(…)
人間の判断に事故は絶対に起こらないという確信がある前提で、原子力の残存リスクを受け入れることは可能である。しかし、「原子力の残存リスクを負わなくても、別の選択肢があるのか」という質問はフクシマの結果として優勢を占めるようになりました。
と、メルケル首相は本当に理系の方だとわかりますね。ちなみに、物理学者ですよ。従って、こう論じています。
当然、(津波と地震)全く同じようなことはドイツで同時に起こることはありません。日本は地震の危険にさらされているのは、ご存知だと思いますが、ドイツには地震ほとんどありません。海岸地方は特に危険に晒されているのはわかっていましたのにもかかわらず、日本は原子力発電所を作りました。
日本の大災害と全く同じようなことが起こるという心配は当然ドイツではありません。だがしかし、文明上のリスク(クララ: これはおそらく設計による故障だと思います)が自然災害を原因にする長期停電と重なることはどうでしょう? つまり今までは推定及び発生確率計算で除外されていた様々な不幸な事情が重なり合うこと。こちらでも大事件が絶対に起こらない信じる充分な根拠がありません。
ポイントとなりますのは、ここは確率解析とリスクの想定の信頼性も問われます。
こういうことがあって、全原子力発電所の安全審査を指令しました。
フクシマのような巨大な事故をみて、今までは理論上のみ考慮したリスクの重なり合いは、私はもはや「こんなじゃ関係ない」と排除することはできる立場にありません。
正直、私はこんな理屈に驚きました。今まで稼動期間を延長する延長するとばかり主張していた保守派、推進派が、発生確率だと、どうのと論じていて、撤廃するなんて… まあ、撤廃はそれでとても大胆で素晴らしいと思いますけれども。
続きは明後日あたり、『選挙戦直前の決定』になるかもしれません。「フランスの原発から電気を輸入するのをやめてからにしろ」に対しても首相はコメントしますから(笑)、また読みに来てください。(翻訳は時間がかかって、落語の事でも大忙しいし、普通の仕事もありますので、少々お待ちください。)
「ドイツ人共は偉そうなこと言うのはフランスの原発から電気を輸入するのをやめてからにしろ。」とかですね。(ちなみに、正確にはチェコ、フランスになるでしょうね。スイス、ベルギー、オランダの原発も?)
しかし、私はもうドイツを離れて12年になりますので、正直、あまりわかりません。私はここにオンラインで新聞を読んではいますけれども、学生時代でよくみたドイツの政治論番組はここで見てきません。ここで、ツァイトという新聞にメルケル首相のインタビューが掲載されていて、それを翻訳して、コメントつきで少し紹介したいと思います。
メルケル首相が所属するCDU(キリスト教民衆同盟)というとは保守派で昔から原子力推進派でした。「安全、安全。」と言いながら、左から強く反発されました。脱原発のデモはけして新しい物ではない。ドイツでは昔から激しく論じられているテーマです。適当、youtubeから出した映像でも見えます。2008年のデモでも15000人以上の参加者があった。
メルケル首相のインタビューのテーマは独逸のエネルギー政策方針転換(Energiewende)であって、首相がそれを『とても面白くて、はらはらさせる、巨大なプロジェクト』と呼んでいます。なぜ、転換かというと、その背景には、昨年の秋にはキリスト教民主同盟と自由民主党の連盟が2050年まで原子力を撤回することに決めたことがあります。フクシマ第一の事故を見て、その連盟が2050年ではなく、2020年までの撤回と決めました。2020年までは電力の40%を再生可能エネルギーでまかなえるとのことです。(ちなみに、2011年現時点では17%だそうですよ。)
そして、ツァイトの記者が鋭く、方針転換の理由を聞きます。
フクシマはいまだにスケールが分かりかねない恐ろしい事件であって、思いがけない境遇に立たされました。今は、必要な措置を講じることによって、今まで対立していた方は近付け合って、社会にコンセンスが生まれるチャンスが来ました。もちろん、意見の違いは多少残るでしょうけど。
今までは理論上にしか存在していないから責任を追うことが可能であるリスク、つまり、今まで残存リスクとみなされていた事が実際に起こったことは、個人的には思いがけないことでした。
その上に、この事件が起こったのは技術能力、秩序、法律の点でドイツ何一つも劣らない日本でした。こういう事件が日本のような社会の根底をぐらつく、その国民がこういった状態に陥るなんて思いがけいことでした。これは今回の震災の深刻なことでした。
もちろん、こういう危険があると、警告した人がいたとは充分に承知しております。少し前までは、高い安全基準、高度技術のある国に、こういうことが起こるとは生きて迎えると思もいもしませんでした。
原子力というリスクは、自分の世代を超える、自分の国境を越える、つまり時間的・空間的に(巨大な影響を及ぼす)リスクです。
発生確率が非常に低いと思ったことが実際に起こると、やはりリスクは違いますね。(…)
人間の判断に事故は絶対に起こらないという確信がある前提で、原子力の残存リスクを受け入れることは可能である。しかし、「原子力の残存リスクを負わなくても、別の選択肢があるのか」という質問はフクシマの結果として優勢を占めるようになりました。
と、メルケル首相は本当に理系の方だとわかりますね。ちなみに、物理学者ですよ。従って、こう論じています。
当然、(津波と地震)全く同じようなことはドイツで同時に起こることはありません。日本は地震の危険にさらされているのは、ご存知だと思いますが、ドイツには地震ほとんどありません。海岸地方は特に危険に晒されているのはわかっていましたのにもかかわらず、日本は原子力発電所を作りました。
日本の大災害と全く同じようなことが起こるという心配は当然ドイツではありません。だがしかし、文明上のリスク(クララ: これはおそらく設計による故障だと思います)が自然災害を原因にする長期停電と重なることはどうでしょう? つまり今までは推定及び発生確率計算で除外されていた様々な不幸な事情が重なり合うこと。こちらでも大事件が絶対に起こらない信じる充分な根拠がありません。
ポイントとなりますのは、ここは確率解析とリスクの想定の信頼性も問われます。
こういうことがあって、全原子力発電所の安全審査を指令しました。
フクシマのような巨大な事故をみて、今までは理論上のみ考慮したリスクの重なり合いは、私はもはや「こんなじゃ関係ない」と排除することはできる立場にありません。
正直、私はこんな理屈に驚きました。今まで稼動期間を延長する延長するとばかり主張していた保守派、推進派が、発生確率だと、どうのと論じていて、撤廃するなんて… まあ、撤廃はそれでとても大胆で素晴らしいと思いますけれども。
続きは明後日あたり、『選挙戦直前の決定』になるかもしれません。「フランスの原発から電気を輸入するのをやめてからにしろ」に対しても首相はコメントしますから(笑)、また読みに来てください。(翻訳は時間がかかって、落語の事でも大忙しいし、普通の仕事もありますので、少々お待ちください。)
- Clara Kreft(クララ)
- 在日ドイツ人ライター。ドイツ人ならではの視点で執筆。



