- 2016年08月02日 11:29
18歳世代の投票率51.17%は低くない?~原田謙介氏が振り返る「18歳選挙権」~
2/2高校生は大人が思ってるほど暇じゃない

ただ、高校生は大人が思っている程、「時間に融通がきかない」ということは考えてあげたほうがいいと思います。少なくとも朝から学校にいるわけですし、会社員なら10~15分くらいなら自由に動ける場合も少なくないでしょうが、高校生はそれほど気軽に校外に出られません。その上、部活があって、塾があって…という生活の繰り返しだとすると、それほど自由な時間はないんですよね。
今回、実際私のところにも、関西の新聞から、「投票日が文化祭の学校が10校あるんだけど、どう指導すればいいのか」といった取材がありました。それは「出来るかぎり、期日前投票に行こう」という話ですよね。実際、ある学校は文化祭の最中に抜けて投票にいく場合、「公欠扱い」にするということにしたようです。「文化祭を抜けてでもいけ」とは強制できないですが、行きたい人の意志を尊重できる仕組みにしてあげてほしいと思います。
海外にはそもそも投票日が日曜日ではない国もありますし、「日曜はみんな暇だから行くだろう」という発想が通用しなくなってきているのかもしれません。
「若者が選挙に行けば世の中が変わる」という幻想

今回、「18歳選挙権」にあわせて、「若者が選挙に行けば世の中が変わる」といった過度に若者に期待する言説も見かけましたが、世の中の多くの人が、様々な不平不満を持っている中で、その解決策を若者に丸投げするような態度は、無責任だと思います。
もちろん若者自身も様々な問題に興味をもって変化していかなければならない部分もあるでしょう。しかし、結局世の中を作っているのは大人です。「大人が変わらないから若者が変わるべきだし、若者が変わったら世の中が変わる」というのは、あまりにも若者を利用しすぎだと思います。
例えば、選挙期間中に「20代は自民党支持が多い」という事実に対して、非自民支持者が驚くといったことがありましたが、「若者は憲法改正が嫌だから自民党に投票しないはずだ」というような話は、憲法を改正してほしくない人の希望を若者に仮託しているにすぎません。
当然ですが、一口に「若者」といっても、それぞれいろんな考え方がある。「若者」全員がひとつの考え方にまとまることもありえませんし、「若者が動いたら世の中が変わる」みたいな都合のよい話はないということです。「若者は○○に反対するはずだ」と信じ込んだ人もいるでしょうが、そういう人たちは、もう少しよく若者を見て欲しいと思います。
より若者の声を吸い上げる仕組みが必要

手前味噌になってしまうかもしれませんが、この1年間の活動を通して、学校現場もはじめ、10代と政治の関係は大きく変わったと思います。「選挙を知ろう」ではなくて「政治と関わることを知ろう」というコンセプトで様々な活動ができたことは非常によかったと考えています。
ただ、どうしても「著名な10代の方と一緒に考える」といった形の企画が多く、「普通の18歳、19歳」にクローズアップするといった企画は少なかったという反省があるので、そこは今後の課題でしょう。
統計で見れば、当該世代の中でも「18歳選挙権に賛成」という声が多いということになっています。しかし、私が実際に会った中には、公選法改正決まった瞬間には「『やった!投票に行こう』と思ったけど、『選挙大事だとか政治の授業を受ければ受けるほど、自分の一票に自信がもてなくて、行くのをためらっている』」という方もいました。こうした当事者世代のここ1年の心境の変化は、もう少し細かく観測しておけばよかったと思います。
もうひとつ今後は、若者の声を吸い上げる必要があるでしょう。私たちが総務省と一緒にやってきた企画も、各政党が行った企画も、その多くが基本的に「若者に伝える」で終わってしまいました。意見を集めたとしても、1回のイベントの数時間で若者と話して、「そうだね」で終わってしまうので、今後はより時間をかけて若者の声をすくいあげていくことが課題になると思います。
最後に、これはあくまで私が観測した範囲の話なので、気のせいかもしれませんが、今回は、「子どもと投票に行きました」「親と投票にいきました」といった書き込みがSNS上で目立ったように感じました。なので、18歳選挙権には、40~50代の親世代の投票率にも影響を及ぼす可能性があるのではないでしょうか。



