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主張/米大統領選挙/既成の政治「変革」の可能性

 11月のアメリカ大統領選の民主、共和の二大政党の候補者が決まりました。昨年来の両党の候補者選びを支配したのは、格差拡大と社会的不公正への国民的な怒り、大企業の代弁者に左右され続ける政治への不信でした。既成の政党指導層のコントロールの及ばない変革の運動が発展するとともに、少数派の移民や宗教を敵視する扇動的な主張も勢いづきました。今後、アメリカ政治の変革の方向と可能性が問われます。

最賃アップ、TPP反対

 与党・民主党では、本命とみられていたクリントン前国務長官が候補者指名を得たものの、当初数%の支持だった対抗馬のサンダース上院議員に最後まで苦戦を強いられました。自称「民主的社会主義者」のサンダース氏が、米金融界から巨額の献金を受け選挙を進めるクリントン氏ではなく「99%のための政治革命が必要だ」と訴え、若者らの幅広い共感を得て大健闘したからです。

 7月25日に採択された民主党の政策綱領では、サンダース氏らの運動を反映し、連邦政府が定める最低賃金を時給15ドルへの引き上げ、公立大学の無償化、金融機関への課税強化、健康保険の改善など、格差是正策が追加されました。

 現オバマ政権が進める環太平洋連携協定(TPP)についても「各国政府の環境、食品の安全、健康を守るルールを妨害するいかなる貿易協定にも参加すべきでない。この基準はTPPにも適用すべきだ」と慎重姿勢を打ち出しました。

 クリントン氏は28日の演説で「サンダースと彼の支持者が訴えた大義はわれわれの大義だ」と述べざるをえませんでした。

 8年ぶりの政権奪還をめざす共和党も政治家歴のない実業家のトランプ氏が候補となりました。同氏は、党内主流の上院議員や州知事、さらに民主・クリントン氏らを既成政治の担い手として非難しました。また雇用の海外流出、ヘッジファンドの横暴を批判、TPPにも「国の製造業を破壊し、米国を外国政府の決定に従わせるもの」と反対し支持を広げました。

 同氏は、米国経済や安全の悪化は“移民やイスラム教徒のせい”とも主張し、差別と排外主義をあおっていますが、これには内外から批判が上がっています。

 両党の候補者選びでは、外国への軍事介入に対する国民の不信も浮き彫りになりました。共和党ではイラク戦争を強行したブッシュ元大統領の弟が、侵略の誤りを明言しなかった点をトランプ氏に突かれ、早々に脱落しました。トランプ氏は21日の演説で「体制転換、国家建設の戦略は放棄する」とも述べました。民主党のクリントン氏も上院議員の時イラク戦争に賛成したことをサンダース氏に批判され釈明に追われました。

軍事同盟は維持・強化

 民主、共和両党は、アメリカが世界に張り巡らせた軍事同盟の維持・強化では一致し、トランプ氏は、同盟国に米軍の駐留経費の負担増を迫る構えです。

 両候補の訴えは、7割が国の向かう方向を間違っていると考える「1970年代以降かつてない悲観的世論」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)に、どう響くのか。変革を求める運動は、候補者と有権者にどう働きかけるのか。安倍政権が進める戦争法の具体化、TPP批准への影響も必至です。

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