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首都を席巻したグリーン・ポピュリズム―東京都知事選挙の結果をどう見るか

 注目の東京都知事選挙の投・開票が行われました。結果は、小池百合子候補が291万2628票で当選、次いで増田寛也候補が179万3453票、鳥越俊太郎候補が134万6103票となり、小池都知事が誕生しました。

 女性の都知事は初めてになりますが、女性の知事は全国で7人目。バックには日本会議や在特会などが存在する超タカ派の核武装論者で改憲論者の都知事誕生でもあります。

 このような容易ならざる知事の当選をもたらした最大の要因は、シンボル・カラーの緑を掲げて人々を動員したグリーン・ポピュリズムの力であったように思われます。舛添前都知事による政治資金の不正使用に端を発した都知事選でしたが、「万引き犯」を捕まえて「強盗殺人」の容疑者を釈放したような結果になりました。

 小池さんを当選させた客観的な背景は、与党の勝利をもたらした参院選と共通しています。経済の先行きに対する不透明感と日本をとりまく周辺諸国の不穏な情勢への不安感が大きかったのではないでしょうか。

 欧米の政治と共通する点もありました。既存の政治や政党に対する不信感や反感を背景にしていたことです。この点ではアメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱決定と似ています。

 今回は2度続けての知事辞任後の選挙でしたから、「それを担いだ政党が推薦する候補はこりごりだ」という意識もあったでしょう。それを野党共闘候補への支持として取り込むことができなかったところに鳥越さんが苦戦した理由があったのではないでしょうか。

 このような客観的な背景をうまく利用して支持の増大につなげたのが、小池さんが採用した主体的な戦術です。それはかつて師事した細川護熙元首相や小泉純一郎元首相から学んだもので、とりわけ郵政選挙と同様の構図と手法が目立ちました。

 自民党員でありながら自民党都連や都議会自民党を「敵」に見立てて自民党と対立しているかのような印象を与え、保守分裂選挙を演出して「組織対個人」という対立の構図を作り、「判官びいき」しやすい都民の心情に訴えたのです。既存の政治や勢力に縛られない「改革者」としてのイメージをアピールすることで、無党派層を中心に支持を広げることに成功しました。

 『朝日新聞』の出口調査では、無党派層の51%、自民支持層の49%、民進党支持者の28%、公明支持層の24%、それに何と共産党支持者でも19%が小池さんに投票し、社民支持層、生活支持層の2割弱の票も得ています。おおさか維新の支持層は60%が小池さんに投票しており、この層が最も多くなっています。
 
 これに対して、野党は4党の共闘を実現してジャーナリストの鳥越俊太郎さんを擁立しました。1983年の都知事選で社共統一候補として松岡英夫さんが立候補して以来の久々の統一候補でしたが、99万の組合員を擁する連合東京が自由投票に回るなど、残念ながら野党陣営が総力を結集するという体制にはなりませんでした。

 出馬表明が告示の2日前と遅かったこと、それに至る選考過程が不透明だったこと、それ以前に立候補を表明していた宇都宮健児さんとの関係がギクシャクしてしまったことなども響いたと思います。加えて、週刊誌による女性スキャンダルの報道など、年齢や健康問題を含めたすさまじいばかりのネガティブキャンペーンの嵐に晒されました。

 野党が力を合わせて戦ったことには大きな意義があり、これからも共闘体制を維持する必要があります。同時に、4党支持層の票は鳥越さんでまとまらず民進支持層で鳥越さんに投票したのは56%にとどまるなど、力を総結集してさらに上乗せするという点では様々な課題が残りました。

 安倍首相にとっては小池さんと増田さんのどちらが当選してもかまわなかったでしょうが、増田さんを推薦した都連としては当選させられなかった責任が問われます。国政では安倍首相の「ダブル一強」、都政では安倍首相と考え方が同じで目指す方向も同じ小池知事となったわけで、この両者がタッグを組むことになりました。

 安倍さんも小池さんも、2018年4月のニコニコ超会議に出た際、迷彩服を着て戦車に乗りポーズを撮っています。やっていることは同じです。

 首都・東京の空気はカーキ色に染まります。アベ政治の暴走はさらに強まり、その先導役を小池さんが担うことになるのではないでしょうか。

 「政治とカネ」の問題が問われた今回の都知事選挙でした。クリーンな都政を取り戻すという大きな課題があったはずです。

 その選挙で緑をシンボルカラーにした「グリーン」の都政が誕生しました。「クリーン」に濁点がついているところが気になります。
 またまた「クリーン」が汚れて、「グリーン」と濁ってしまうことにならなければよいのですが……。

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