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- 2011年09月30日 11:00
スウェーデンの自然エネルギー活用事情・その4
最後に、自然エネルギーの弱点である「不安定さ」を克服するチャレンジについて見てみたい。
◆自然エネルギー活用の切り札「スマートグリッド」
スウェーデンをはじめとする欧州連合諸国ではスマートグリッド(次世代型送電網)の普及を推進している。
スマートグリッドとは、情報通信技術(IT)などの新技術を活用して電力供給の効率化や安定化を図るものだ。例えば、出力の調整が容易な火力発電と天候に左右されやすい風力や太陽光などの発電量を、ITや蓄電池を用いながら自動的に組み合わせれば、電力供給は安定する。また、太陽光パネルは各家庭で発電可能な分散型電源であり、電力の供給源が複雑化するが、これに対応する上でもスマートグリッドの構築は効果的なのだという。
一方、家庭や企業などの消費者側には通信機能付きの「スマートメーター」(次世代電力計)を設置する動きもある。スマートメーターが導入されると、電力会社や消費者がリアルタイムで電力消費量を監視したり、データの交換が可能になったりする。例えば、消費者側が電力消費量や電気料金を常に確認することで、節電意識を喚起できる。また、電力会社側も電力需要を細かく把握できるため、発電・配電設備の稼働が最適化され、電力の無駄を減らせる。
風力発電の普及を国家戦略に掲げるスウェーデンでは、スマートメーターの導入率が既に100%に達した。スウェーデン大使館の公式サイトによると、2020年までに風車5千基の稼働を目指しており、年間発電量30テラワット時を見込む。この数字は、玄海原発全4基の年間発電量約24テラワット時より大きい。
◆脱「脱原発」かと思われたが…
ところで、脱原発政策で知られるスウェーデン政府は一昨年、「老朽化した原発の原子炉に限って更新を認める」という方針を決め、昨年の国会では小差で可決した。日本では脱原発政策が挫折したかのような報道が相次いだ。
しかし、佐賀新聞社などが参加し、全国新聞ネットが運営するニュースサイト「47NEWS」に掲載された今年9月10日付の記事によれば、スウェーデン政府は原発の建設に資金援助をしていないという。企業の間でも建設費が高くてハイリスクな原発を建設する動きはなく、各企業はむしろ自然エネルギー分野に集中して投資している。脱原発依存を図っていく努力は、今後も継続されるようだ。
◆まとめ〜江戸時代の日本に通じるスウェーデンの環境政策〜
鎖国をしていた江戸時代、日本は完全な循環型社会だった。紙はすき直して再利用し、都市で出たし尿は田畑の肥料になった。捨てるものはほとんどなく、江戸は当時、世界一清潔で美しい都市だったという。核のゴミまで大量廃棄する現代とは大きく異なる。
廃材を地域暖房の燃料にし、灰は森に撒く。汚水からバイオガスを取り出して活用する。不安定な風力発電は最新の技術で課題を解消する。自給自足だった江戸時代の日本人に、より近い生活をしているのは、現代の日本人ではなく、皮肉にもスウェーデン人ではないか。そんな気さえする。
東日本大震災や原発事故を契機に、日本の将来を議論する気運が高まっているが、スウェーデンの先進的な事例は大いに参考になるだろう。他国の技術を取り入れて独自に発展させるのは、日本のお家芸でもある。日本人が目指すべきところを見失いつつある今、パイオニアの存在はどんどん大きくなっている。
◆自然エネルギー活用の切り札「スマートグリッド」
スウェーデンをはじめとする欧州連合諸国ではスマートグリッド(次世代型送電網)の普及を推進している。
スマートグリッドとは、情報通信技術(IT)などの新技術を活用して電力供給の効率化や安定化を図るものだ。例えば、出力の調整が容易な火力発電と天候に左右されやすい風力や太陽光などの発電量を、ITや蓄電池を用いながら自動的に組み合わせれば、電力供給は安定する。また、太陽光パネルは各家庭で発電可能な分散型電源であり、電力の供給源が複雑化するが、これに対応する上でもスマートグリッドの構築は効果的なのだという。
一方、家庭や企業などの消費者側には通信機能付きの「スマートメーター」(次世代電力計)を設置する動きもある。スマートメーターが導入されると、電力会社や消費者がリアルタイムで電力消費量を監視したり、データの交換が可能になったりする。例えば、消費者側が電力消費量や電気料金を常に確認することで、節電意識を喚起できる。また、電力会社側も電力需要を細かく把握できるため、発電・配電設備の稼働が最適化され、電力の無駄を減らせる。
風力発電の普及を国家戦略に掲げるスウェーデンでは、スマートメーターの導入率が既に100%に達した。スウェーデン大使館の公式サイトによると、2020年までに風車5千基の稼働を目指しており、年間発電量30テラワット時を見込む。この数字は、玄海原発全4基の年間発電量約24テラワット時より大きい。
◆脱「脱原発」かと思われたが…
ところで、脱原発政策で知られるスウェーデン政府は一昨年、「老朽化した原発の原子炉に限って更新を認める」という方針を決め、昨年の国会では小差で可決した。日本では脱原発政策が挫折したかのような報道が相次いだ。
しかし、佐賀新聞社などが参加し、全国新聞ネットが運営するニュースサイト「47NEWS」に掲載された今年9月10日付の記事によれば、スウェーデン政府は原発の建設に資金援助をしていないという。企業の間でも建設費が高くてハイリスクな原発を建設する動きはなく、各企業はむしろ自然エネルギー分野に集中して投資している。脱原発依存を図っていく努力は、今後も継続されるようだ。
◆まとめ〜江戸時代の日本に通じるスウェーデンの環境政策〜
鎖国をしていた江戸時代、日本は完全な循環型社会だった。紙はすき直して再利用し、都市で出たし尿は田畑の肥料になった。捨てるものはほとんどなく、江戸は当時、世界一清潔で美しい都市だったという。核のゴミまで大量廃棄する現代とは大きく異なる。
廃材を地域暖房の燃料にし、灰は森に撒く。汚水からバイオガスを取り出して活用する。不安定な風力発電は最新の技術で課題を解消する。自給自足だった江戸時代の日本人に、より近い生活をしているのは、現代の日本人ではなく、皮肉にもスウェーデン人ではないか。そんな気さえする。
東日本大震災や原発事故を契機に、日本の将来を議論する気運が高まっているが、スウェーデンの先進的な事例は大いに参考になるだろう。他国の技術を取り入れて独自に発展させるのは、日本のお家芸でもある。日本人が目指すべきところを見失いつつある今、パイオニアの存在はどんどん大きくなっている。



