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日本企業に共通する「多すぎる中間管理職問題」の解決法 - 坂本幸雄

 日本企業共通の課題として、「多すぎる中間管理職問題」が挙げられる。次長、担当部長、担当課長……と、役職がバブル化していることも問題だが、得てして管理職は余計な仕事をつくる。結果として余計な会議や報告書が増え、企業全体の生産性を下げる。

 こうした問題に対して私が物申したいことは、「無駄な中間管理職を生んでいる人事制度に問題がある」ということである。日本では、文系社員でもエンジニアでも、ある程度の年齢に達すると、管理職に登用する企業が多い。

 企業の宝であるエンジニアをなぜ代替可能な管理職にするのか私には理解できない。エンジニアを管理職にして、会議に出席させたり、部下のタイムカードの確認をさせたりすることが会社にとって有益とは思えない。

 企業はエンジニアとして出世できる道を用意すべきで、私が勤めていた米テキサス・インスツルメンツには、錆(さび)のプロがいた。自由の女神の錆を落とすなど、退職まで錆のプロであり続け、給与や待遇など非常に優遇されていた。エンジニアの中には取締役以上の給与をもらう者もいた。

 私はエルピーダメモリのCEO就任後、まずこのおかしな人事制度の改革に手をつけた。エルピーダは日立製作所とNECの半導体部門が統合して発足した企業で、エンジニアあがりの管理職も多かったが、彼らをエンジニアに戻した。

 もちろんヒラのエンジニアということではなく、フェローなどエンジニアとしての役職を与えた。給与や待遇は下げるどころか、人によってはむしろ上げた。この制度変更に対して、特段不満は出なかった。エンジニアより管理者をやりたいと考える者は稀だからだろう。

 管理職の給与は高く、代替要員はいくらでもいるため、リストラ候補の筆頭になる。

 欧米企業であれば、黒字でもリストラされるだろう。優秀なエンジニアであれば企業は手放そうとせず、仮に会社から放出されたとしても、次の道はいくらでもある。エンジニアを管理職に登用するということは、リストラ候補を育成しているようなものだ。

 日本企業には「バブル組」と呼ばれるバブル時代に入社した管理職が多いが、今からでもエンジニアはエンジニアに戻すべきだ。

 文系社員は、営業なり財務なり専門性を磨くしかない。日本にはジョブローテーション制を採用し、ゼネラリストを育成している企業も多いが、これもリストラ候補を育てているようなものだ。

 企業はバブル化した役職を減らし、仕事に見合う給与にするしかない。役職や給与を削られた社員は一見に思えるが、いずれ専門性なき高サラリーの社員はリストラ候補にならざるを得ない。実際、東芝やルネサスをはじめ、数千・数万人規模のリストラを行う日本企業は珍しくなくなった。社員の能力を活かさず、生産性を下げる制度は変えるべきである。

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