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大震災が明らかにしたインターネットの力 ―マス・コラボレーション― 川島宏一

東日本大震災は、インターネットが普及した社会が初めて経験した大規模災害だ。2011年のインターネット世帯普及率93.8%に対し、阪神淡路大震災が発生した1995年には未だインターネット普及率統計すら始まっていない。統計が開始された1996 年の普及率は3.3%に過ぎない。2004年スマトラ沖大地震、2008年四川大地震、2010年ハイチ大地震、いずれの地震もインターネットが普及している地域を直撃していない。インターネット社会は、大規模災害に対して、どう反応したのだろうか。

一言で言うと、歴史上初めて、バラバラに離れて住んでいる多くの人々による協働(マス・コラボレーション)が実現したのだ。一人ひとりができる貢献の量は小さいけれど、インターネットでその小さな活動が集められると意味のある大きな貢献として形を現す。そんな現象があちこちで起こった。3つの例をご紹介したい。

リンク先を見る第1の事例は、グーグルが、3月11日に開設したパーソン・ファインダー(消息情報)というサイトだ(図1)。このサイトは、「誰々を探しているという情報」と「消息情報」とをマッチさせるためのものだ。人々がそれぞれの情報を一つのデータベースに入力し、登録件数は59万件を超えた(3月29日現在)。 

リンク先を見る注目すべきは、避難所に掲示してある避難者リストを携帯カメラで撮影し、そのリスト画像を公開サイトにアップし、そこに写っている避難者名をテキスト化し、そのテキストデータをパーソンファインダーに入力するという作業を、全国の4,600人を越すボランティアが9,000枚以上の名簿画像をアップし(3月23日現在)、その9割以上をパーソンファインダーに登録したことだ(図2)。インターネットの普及なしには実現しなかった大規模な協働事務作業だ。

リンク先を見る第2は、多くの避難所がAmazonの「ほしい物リスト」機能を使って支援物資を呼びかけた事例だ。呼びかけに呼応して、避難所毎のニーズに応じた支援物資が、全国の支援者から、それぞれの避難所に速やかに直送された。その結果、多くの被災者たちからAmazonの「ほしい物リスト」サイトに感謝の声が寄せられている(図3)。

第3の事例は、HONDAが、3月14日より、グーグルと協力して、カーナビユーザーから収集した搭載車の軌跡を地図データで公開したものだ。これにより通行可能な道路ネットワークが地図上で明らかになり、被災地域への支援物資の輸送などが円滑に行われた(図4)。

リンク先を見る「被災地には行けないけれど支援したい」と思っていた日本中に散らばっている多くの人々が、被災地、被災者のために提供できる時間、物資や情報を、インターネットを通じて持ち寄ったのだ。インターネットが、多くの支援者の善意を個々の被災者のニーズにつなげたのだ。

大規模災害時には、避難所の位置、被災者の状況、ライフライン復旧状況、支援物資等に関する迅速で確かな情報ほど重要なものはない。

近い将来、東海、東南海及び南海地震が必ず起こると言われている。九州東岸も津波発生を免れないであろう。有明海にも津波が押し寄せるかもしれない。その時にもマス・コラボレーションの恩恵を享受できるよう、お年寄りの方々も含めてインターネットの使い方に日頃から十分に慣れておくことが大切である。

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