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ダイソン対ルンバ:ロボット掃除機の覇者は?


アイロボットの看板商品「ルンバ980」とダイソンの新型ロボット掃除機「360Eye」を実際に使って比べてみた(英語音声のみ)Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

 一昔前まで褒められたものではなかったロボット掃除機の性能が、いま飛躍的な向上を見せている。

 家事をこなす人にとって気になる存在ではあったものの、ここ10年以上に渡って現実的な選択肢とはなりえなかったロボット掃除機。これまでのモデルはカーペットの掃除を任せられるほど馬力がなく、物足りない部分があった。部屋の片隅に潜むホコリの塊、愛犬の毛、いつか落とした朝食シリアルの欠片などを掃除するには、なによりも吸引力が不足していたのだ。

 そんな中で来週には、掃除機で有名な家電大手ダイソンが新型ロボット「360Eye」を米国でデビューさせる。今回のモデルは全自動でありながら、吸引力を一般的な掃除機レベルに近づけさせたという。それを迎え撃つのがアイロボットの看板商品の最新モデル「ルンバ980」だ。ルンバ980は従来機種と比較して50%以上も掃除性能が向上した点を売りにしている。


ダイソンとルンバ、軍配はどちらに? Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

 筆者は今回、ダイソンとアイロボットのこの2つのモデルを実際に数週間使ってみた。結論を言ってしまえば、双方ともアニメ「宇宙家族ジェットソン」に登場した全自動ロボット型メイドのレベルにはまだまだ達していない。しかし今回の実験を通じ、次に買う掃除機はロボット型でも構わないと思えるほど、それぞれの性能は向上していると感じた。

現時点ではルンバが優勢

 ルンバ最上位モデルの販売価格は約900ドル。ダイソンも1000ドル程度で販売される。正直、掃除機の値段としては両者とも目をこすって見直したくなる高さだ。ゆえにロボット掃除機を買うのであれば、筆者なら焦らずにダイソンの次期モデルを見てから判断すると思う。

 しかし、もし今すぐに一台買いたいという読者がいるのなら、現時点ではルンバ980の方をお薦めしたい。

 ロボット掃除機を実用的なものにするには、吸引力だけでなく「頭脳」も重要だ。以前のルンバは酔っ払った船員のように壁や家具にぶつかっては方向を変えながら、手当たり次第に掃き掃除をする代物だった。その点、最新型のルンバとダイソンは、超小型の自動運転車のようなものだと考えてもらっていい。両方ともカメラやセンサーを使って部屋の中の状況を判断し、どのエリアを掃除するか、どのタイミングで充電が必要になるかを自ら考えるように設計されている。

 ルンバもダイソンもクラウド機能を通じてソフトウェアのアップデートやステータス報告をアップロードしてくれる。将来的にはこういったロボット掃除機がスマートホーム技術の一旦を担う存在になるのかもしれない。

 今回、甲乙つけがたい中で決め手となったのは、そういった「頭脳」の部分が大きい。ダイソンの360Eyeは明らかに吸引力は勝っているものの、ルンバ980の方が必要な時と場所を把握して確実に掃除してくれた印象だ。


家のどこの部分を掃除したかを視覚的に確認できるダイソンのアプリ Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

バトル開始

 では早速、その結論に至った理由を説明していきたい。今回、2台の性能の比較するために筆者は長さ3メートル、幅1.8メートルのカーペットを準備し、その周りを犬用のフェンスで囲った。カーペットの毛足は2センチ弱だ。掃除機に絡むほどではないものの、主役2台の吸引力を試すには充分な長さだ。

 決戦の舞台を整えた後は、大切な役割を演じてもらうゴミを投入した。植木鉢の土、ビーチの砂、米粒、朝食用シリアル、チョコ菓子のM&M’S、小さなオモチャ、そして他の使用済み掃除機から集めたゴミ。読んでの通り、しっかりと汚させてもらった。実は筆者は2年前に同じような実験をしたのだが、今回ロボット掃除機の性能が格段に向上していると実感できた。


ロボット掃除機の性能は格段に向上している Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

 一回の掃除でより多くのゴミを吸い取ったのはダイソンの360eyeの方で、大体一回起動すると汚れの8割ぐらいは拾ってくれたと感じる。家で両者を使った際も同じような印象を受けた。自宅はフローリングとカーペットの両方があるので、まずはルンバを使って掃除をし、その後ダイソンを使ってルンバがカバーできなかった部分を探して掃除をさせたりした。

 ただし、ダイソン360Eyeは髪の毛やM&M’Sが吸引部分に絡まったり挟まったりして、何の警告もなく突然停止することがあった。不良品なのかとも思ったが、ブラシを逆回転させたり指を使って挟まったゴミを取り除けば再び通常通りに動いていたので、そういうわけでもなさそうだ。ゆえに、小さな子供がいる家庭ならばルンバの方がいいかもしれない。ルンバはブラシ部分の奥にある吸引口がダイソンよりも大きいので、物がそこにひっかかる回数は少なかった。また絡まったとしてもルンバは突然停止することもなく、まずはエラー通知を行ってくれた。

 より細かく綺麗にしてくれるのはどちらか。これに関しては双方ともマッピング機能がついているため、スイッチを入れるとまるでグラウンドを整備するかのようにブラッシングを開始してくれる。ダイソン360Eyeはスパイラル状に動き、ひとつのスポットを一度通過して次の場へと移る。ただ、たまに少しだけ動線がずれ、結果的に掃除されない部分もあった。


一回の掃除でより多くのゴミを吸い取ったのはダイソンの360eyeの方だ Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

 一方のルンバは汚れを探知するセンサーを搭載し、その機能が汚れを見つけると一度掃除をした場所でももう一度戻って吸引をしてくれる。一通りの掃除が終わった後、ホコリがたまりやすい部屋の端を仕上げに循環する機能もあった。

 ちなみに制限をかけずそれぞれに必要と思うだけ掃除をさせてみると、ルンバの方が2倍から3倍程度の時間をかけて仕事を続け、結果的により多くのゴミを集めてくることが多かった。

自宅の掃除にトライ

 ロボット型掃除機の最大の魅力は、設定さえすればあとは全てお任せできることだ。アプリを使って掃除のスケジュールを決めるだけで、帰宅するとゴミひとつ落ちていない美しい空間が待っている -そんな夢のような生活も少しずつ現実のものとなってきている。

 ただ現時点でロボット掃除機を所有するのは、小さな小型犬を飼うようなものだ。一般的な家庭には椅子が置かれ、木やタイルやカーペットなどさまざまな床表面があり、靴下、レゴのパーツなどが散乱し、そして本物のペットがいる。いわば掃除機から見たら迷路のような状況であり、あらゆる場所にわなが仕掛けられているようなものだ。


小さな子供がいる家庭ならばルンバの方がいいかもしれない Photo: Emily Prapuolenis/The Wall Street Journal

 ダイソンの本体を見てみると、高さが13センチ弱あるので他のロボット掃除機より少し大きい。筆者の自宅では問題がなかったが、ベッドの高さによっては下に入りきれない事態も想定されるだろう。ただルンバと比べて幅は狭いので、細かい部分の掃除は得意かもしれない。実際、普段の掃除では取りきれていなかったゴミをダイソンは驚くほど大量に集めてくれた。作動中に何かトラブルが生じた場合は、自ら吸引力を落とす機能もついている。ダイソン360Eyeが異常を探知し吸引口からゴム製のオモチャを吐き出す場面に遭遇したが、ちょっとしたドキュメンタリー番組を見ているような気分になった。そして何よりも便利だと感じたのは、アプリを通じてダイソンが家のどこの部分を掃除したかを視覚的に確認できる点だ。

 一方で、帰宅するとダイソン360Eyeが家の中で行方不明になっていることもあった。本体のバッテリーが45分しかもたないため、全体の掃除を完了させるには途中で何度か充電をする必要がある。その充電に必要なのは1時間。つまり広い家に住んでいる場合は、全てが終わるまではかなりの時間を要するということだ。なおダイソンも本体が充電基地を認識して自動的に自力で戻ってくれるが、筆者が手動で充電器に設置しようとしたところコツが必要でなかなか難しかった。

 ダイソン360Eyeは360度を見渡すカメラを使って本体を誘導しているが、このシステムも部屋が暗かったり、何か動く物が部屋にあると混乱することがあった。ダイソンは今後ソフトを改良し、そういった部分を改善していくとしている。


両者の価格および強みと弱み(左がダイソン、右がルンバ) THE COMPANIES

 筆者の自宅で使った感想としては、ルンバの方がより信頼性が高かったと思う。ダイソンが入ることができなかったテーブルの下にも潜り込んでくれたし、バッテリーも1回の充電で70分は掃除を続けてくれた(ちなみにアイロボットは最長で2時間は電池が持つと説明している)。掃除機に侵入して欲しくない部分を認識させるビーコンも本体に付属。さらに0.6リットル入るルンバのゴミ貯蔵タンクはダイソンの約2倍の大きさなので、溜まったゴミを捨てる回数も少なくて済んだ。

 ただしルンバは、回転ブラシを2つ使って床掃除をするため、電気コードに絡み付くことがあった。そしてテーブルの上に置いてあるガジェットをコードごと床に引きずり落とすこともあった。アプリには便利な警告機能があるものの、掃除した部分を地図のように表示する機能はない。アイロボットは今後のアップグレードでそちらに対応したいと話している。

今回の結論

 細かい部分ではまだまだ改善の余地があるものの、ロボット型掃除機はより一層実用性を増してきたと言えるだろう。そうなってくると次の悩みは、この小さな吸引マシーンのために1000ドルほどの投資をする価値があるかどうかということだ。それだけの金額があれば、生身の人間に同等の仕事を数カ月はやってもらえる。さらに言えば、ロボット掃除機は階段の清掃や車内、そして特別な汚れなどには対応していない。つまり、結局は通常の掃除機がもう一台必要になってくるということだ。

 これまでのロボット掃除機はあくまでもガジェット好きな人のためのアイテムだった。しかし最新のモデルは家を常にある程度清潔に保ち、なおかつそのためなら多少の出費があってもかまわないと思う人のための商品だと言える。

 今売れている200ドル以上の価格帯の掃除機のうち、約2割がロボット掃除機だという。いずれ掃除作業はロボットの仕事になる日が必ず来るだろう。現行モデルの進化はロボット掃除機にとっては小さな一歩だが、そんなロボット時代の到来に向けては偉大な飛躍だと言えるのかもしれない。

By GEOFFREY A. FOWLER

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