おやっとさあ、小里泰弘です。
自民党における経済対策の議論がたけなわです。私も積極的に参加しています。
1980年代、私が野村証券で働いていた頃、アメリカの双子の赤字が大きなテーマでした。すなわち貿易赤字と財政赤字です。
財政赤字は、それ以前から日本にも存在していましたが、その後の財政赤字拡大のテンポが日米で大きく違いました。歳入が日本では2倍、アメリカでは5倍になったからです。
背景には経済、特に内需があります。民間消費がアメリカは日本の5倍となり、相対株価は日本の10倍となりました。
その大きな要因として公共投資が考えられます。1980年頃は日米の公共投資は同じような水準にありましたが、その後公共投資額の差が広がり、今やアメリカの公共投資額は日本の3倍となっています。特に1994年からのデフレ下において日本の公共投資が急激に落ち込んだことが経済や歳入に大きく影響したことは否めません。
今、公共投資を大胆に見直すべきと考えます。特に超低金利下にあって金融緩和の効果に限界がある中では実需をつくっていかなければなりません。
例えば、道路をつくれば居酒屋や蕎麦屋さんまで儲かるというぐらい道路事業には経済波及効果があります。また、治水事業などで地域の安心安全を確保していくことは地域の産業の振興にとって不可欠です。
一方で、医療、介護、年金等における将来不安が個人消費を控えさせ、経済の足を引っ張っている現状もあります。
消費増税すべきは増税し、これを医療、年金、介護、子育て等の社会保障制度に充て、制度を安定化させることで将来不安を払拭していくことは、長期的に見れば経済対策でもあります。
将来へのあるべきビジョンを明確に国民に示し、あるべき政策を正面から国民に説明し、これを実行していくことが今、政治の大きな責任です。
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- 2016年07月27日 17:23