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核違法勧告から20年 保有国、非保有国の対話進めよ

核廃絶を願う市民の声が世界に広がり、国連を動かし、ついには国際司法裁判所から「核兵器は特に国際人道法に反する」との勧告的意見を引き出してから今月で20年になる。

「核兵器は国際法に反することを国際司法裁判所に宣言してもらおう」というアイデアに基づき、国際的な反核NGOや市民らが1992年に「世界法廷運動」をスタートさせた。それが96年7月の核違法勧告として実現した。

核兵器によって戦争を防ぐという核抑止論は専門家の間で今も幅をきかせているが、この勧告は国際人道法の理念である「非人道的兵器は許さない」という誰もが理解できる問題として議論することの重要性を改めて示した。

現在、国連の作業部会で核廃絶に向けた法的措置について議論が続いている。加盟国は核違法の理念をどう具体化させるかについて真剣に議論する必要がある。

しかし、2月、5月と開催された作業部会に核保有国は参加していない。8月の会合で報告書が採択される予定だが、核兵器禁止条約(NWC)の早期実現をめざす国々と、核抑止論重視の核保有国との溝は一向に埋まらない。

その背景には、核違法勧告が同時に「国家存亡の危機の際の自衛目的の場合、核による威嚇、使用が合法か違法かについて明確な結論は出せない」としたことで、核保有国がこれを核保有が認められる理由としているからである。

しかし重要なのは、核違法勧告は国家存亡の危機の場合も含め、核兵器を「合法」とする根拠を何一つ示していないことである。そうであるからこそ、この勧告は核の違法性を宣言した価値ある判断として今も尊重されている。

核保有国もNWCの必要性に反対しているわけではない。核廃絶の最終段階では必要だが、まだ時期尚早というのが反対理由だ。非核保有国も作業部会でいきなりNWCに向けた「交渉」に入るのではなく、まずは「議論」から始めることで折り合った。

実効性あるNWCのためには、やはり核保有国の参加が必要だ。世界の市民は、核保有国と非核保有国との対話が核違法の理念を基礎にして進むことを期待している。

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