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「物語を創る」ことなど

 石破 茂 です。
 選挙も終わり、永田町・霞が関には静寂に包まれたような雰囲気がありますが、実は水面下で補正予算の編成などの作業が不眠不休で行われております。
 新聞の政治面(「政局面」と言う方が正しいかも知れませんが)には閑ネタのような人事の憶測記事が載っていますが、この季節、いつもながら煩わしいことです。任ある間は、与えられた任務に全力を尽くす。それ以外にありません。

 週末は久しぶりに地元に帰り、いくつかの夏祭りや納涼大会をハシゴする予定です。
 ここ数年、ずっとそのような機会はありませんでしたし、今後もそうは多くないのかもしれませんが、先日の参議院選挙で鳥取県に帰った際に「テレビでは見るけれど、石破さん本人には初めて会った」と仰る方がかなり居られて、少なからずショックを受けました。
 麻生内閣の農林水産大臣在任中に行われた政権交代選挙の前は、週末可能な限り選挙区に帰って懸命に地域を歩いたのですが、もうあれから7年も経ってしまいました。

 議員の原点はやはり自分の選挙区なのであり、そこに於いて一人一人の有権者との間にどれだけ「物語」を創れるかが極めて重要です。「自分の家まで来た」「目を真っ直ぐに見て握手した」「お祭りで一緒に酒を飲んだ」「一緒にカラオケを歌った」などということの積み重ねはとても大事ですし、そんなことはくだらない、と言うような人はそもそも議員になどなるべきではありません。「政治家は次の時代を考え、政治屋は次の選挙を考える」という相克を乗り越えるためには、これしかありません。
 小選挙区制であるが故に、単に総理の人気や政権への追い風で議席を得た議員は、一度逆風になるとバタバタ落選しますが、このような積み重ねを持った議員は相当の逆風でも議席を維持できる場合が多く、そのような議員を増やさない限り、政党はポピュリズムに堕し、やがて国を誤ることになります。猪瀬氏にも、舛添氏にも、そのような物語を創る暇(いとま)が無かったことがあのような退陣を招いた一因であったようにも思われます。
 「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられた民主主義以外のすべての政治体制を除けば」と言うチャーチルの遺した言葉は、政治家に対しても、主権者たる有権者に対しても向けられたものなのでしょう。

 天皇陛下の御意思については、畏れ多くも陛下ご自身から何らのご表明が無い以上、コメントは厳に差し控えるべきものと思います。いくつかの大臣在任中に、陛下のお側に居られる光栄に浴したのですが、あれほどまでにひたすら日本国と日本国民、そして世界のことをお考えの方はおられません。亡父が先帝陛下のことを「人間石破二朗としてこれほど誇りうる方はおられない」と言っていたそうですが、私も全く同じ気持ちです。

 今日はある雑誌の企画で、国際政治学者の三浦瑠麗さんと対談してきたのですが、とても幅広い視点で論じられる方で、多くの示唆を受けたことでした。ご関心のある方は著書「日本に絶望している人のための政治入門」(文春新書)をご一読ください。

 7月も20日を過ぎたというのに、東京はまだ梅雨明けもせず、不順な天候が続いています。別にどこにも遊びに行けるわけではないのですが、本格的な夏が来てほしいような気もいたします。
 皆様、熱中症などにお気をつけられ、良い週末をお過ごしくださいませ。

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