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トランプの妻が「ミシェル・オバマの演説をコピー」で大騒動

ドナルド・トランプが正式に共和党の大統領候補に指名される共和党の全国大会、その初日7月18日に最も大きな話題となったのはトランプ本人ではなく、妻のメラニア・トランプだった。

大統領選への立候補表明以来、夫トランプが世間を騒がし続ける中、メラニアが表舞台に立つことはあまり無かった。そのメラニアにとって党大会での単独スピーチはまさに大仕事だった。しかし自分が移民であること、両親からハードワーク(勤労)の価値を学んだこと、他者への敬意を次世代にも伝えなければならないことをシンプルに、力強く語り、拍手喝采を浴びた。

ところが翌日には「スピーチはミシェル・オバマの盗用だった」と蜂の巣を突いたような大騒ぎとなってしまった。

ミシェル・オバマが2008年の民主党全国大会でおこなったスピーチと、メラニアのスピーチの類似部分を並べたビデオ。かなり似通っている。

この“事件”に対し、3つのグループが大きく反応した。

●アメリカ

アメリカは剽窃(盗用、盗作)にとても厳しい。学生は論文を書くにあたってこのことをみっちりと教わる。それでも時には盗用が行われ、「大学教授が論文の盗用で辞職」「政治家がスピーチの盗用でバッシング」が一定の頻度でニュースになる。ちなみにバイデン副大統領も過去に盗用スピーチで大統領立候補を取り下げるという苦い経験をしている。

●共和党
トランプのイメージアップとなり、大成功と思われたスピーチが一夜明けると大スキャンダルに。しかも盗用元が過去8年間、大統領の座から引きずり下ろそうとして成せなかったバラク・オバマの妻。最悪のケースである。

●アフリカン・アメリカン
中でも女性たちにとってミシェルは“クイーン”とも言うべき存在。そのミシェルから “白人女性” が “盗んだ” のである。この盗用事件もさっそく多くのコラージュやジョークのネタにされているが、その中のひとつが映画「ブリング・イット・オン」のワンシーンだ。

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ライバル同士の黒人チアリーダーと白人チアリーダーの会話シーンがある。白人チームが黒人チームの優れた振り付けをこっそり盗み続けていることに、黒人チームのキャプテン(ガブリエル・ユニオン)が「もう我慢できない」という表情で言う。「私たちが何かを手に入れるたびに、あなたたちは盗んで、自分たちのモノにしちゃうのよ!」

以下はその例としてよく引き合いに出される音楽史話だが、1950年代にリトル・リチャード、チャック・ベリーなど優れた黒人「ロックンロール」ミュージシャンがいた。しかし、ロックンロールをビジネスとして成功させたのはエルヴィス・プレスリーであり、以後、プレスリーは「キング・オブ・ロックンロール」と呼ばれ、ロックンロールという言葉は白人の音楽を指すようになってしまった。そして数十年後、今度はヒップホップが……。プレスリーやエミネムが類い稀な才能と魅力の持ち主であることは事実だが、それはこの文脈では関係のない話である。

コラージュ「私のスピーチを返して」

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「私の髪型を返して、私の手のジェスチャー、私のスピーチ、私の……やれやれ」

話は変わって。

当初、誰もが原稿はスピーチライターが書いたものだと思った。政界ではそれが当たり前だからだ。ところスピーチライターによって書かれた原稿が、メラニアの意向により政治原稿の経験のないトランプ・オーガニゼーションのスタッフライターによって書き直されたらしい。

騒ぎが続く中、21日にスタッフライターが公開書簡を発表。原稿の内容に満足しなかったメラニアがミシェルのスピーチの一部を持ち出し、ライターはそれをスピーチに挿入した。つまり自分の誤ちであり、辞職を願い出たがトランプは「誰でも失敗は冒す」と辞職させてくれなかったとある。

書簡には、メラニアがミシェルのスピーチを持ち出したのは「メラニアが常に好感を抱いている人物はミシェル・オバマ」だからとも書かれている。

共和党にとって最悪の一文である。ミシェルが万人を魅了する女性であることは事実だが、政治演説の経験のないメラニアが、政治原稿の経験のないライターに訂正をさせ、それを誰もチェックしなかったというトランプ陣営の甘さが露見した。政治経験のないトランプが大統領になれば、こうした事態が頻発するのは容易に予測できる。

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