記事
- 2016年07月21日 17:40
「インターンシップが若者を救う」論を駁す③ 欧米のエリート・インターンシップは年収600万円!? - 海老原嗣生
1/2中途採用で社会人と争うために腕を磨く=インターンシップ
今回は、欧米のインターンシップについて書くことにする。何度も引用している7月13日付け日経新聞のインターンシップ検討会には、このような文章が記載されている。「日本では大学が単位認定するインターンに参加する大学生は全体の2.6%。6割程度といわれる欧米との差が大きい」 確かにこの割合は私の見てきた数値に近い。ただし、その中身がわかっているだろうか。
欧米のインターンシップの位置づけ、そして、その中身を2週にわたって検討する。
欧米では基本、新卒採用は少ない。一部上位学生に向けたトレーニー採用(アメリカならリーダシッププログラム採用)があるが、それ以外は、職務別に人員に空きがあった時に、その仕事がすぐにできる人を募。いわゆる中途採用であり、そこには社会人も応募する。だから学生といえども、社会人相応の腕がないと、職に就くことはできない。
とすると、学生たちは大学時代に「腕を磨いて」おかなければならない。
そのために交互教育(企業実習による職業訓練)というものがある。学生は学業と並行してこれをやっているのだ。インターンシップも交互教育の一つと考えればよい。
交互教育は、大きく3つの種類に分かれる。一つが、教育機関が授業の中で行う企業実習(コオペ)。二つ目が学生個人による企業実習(インターンシップ)。そして、公的機関による企業実習(見習い訓練)。米国の場合は前二者が主であり、欧州の場合はすべてがそろっている国が多い。
一人前になるために4か月×3企業も当たり前

Le Journal du Management
さらに驚くのは、こうした長期インターンシップを何回も受けるのがフランスの学生では一般的なことだ。グランゼコール(大学より難しいエリート養成機関)では回数が特に多いが、一般大学の学生でも4回以上が25%、3回が24%、2回が26%と複数回経験者が8割近くにもなる。つまり2か月以上もの企業実習×複数回が当たり前といえるだろう。
なお、こうしたインターンでも習熟が積めなかった学生は、公的な見習い訓練を受けることになる。
仕事を覚えるためには、それくらいハードな実習が必要なのだ。職務別採用の世界で職にありつくためには、こうした下積みが必要となる。日本のように、1週間程度のアトラクションでインターンシップが事足りるのは、その前提に未経験者を採用するという、新卒慣行があるからだ、と気づいてほしい。



