- 2016年07月21日 14:54
女子大生社長に学ぶ「叩かれる勇気」 - 網尾歩 (ライター)
18歳の女子大生実業家、椎木里佳さんのツイートが炎上した。内容は、牛丼店の前にいたボロボロの服を着た男性を見て、声をかけようか迷ったというもの。なぜ彼女のツイートは叩かれるのか。
嫉妬され要素満載の生まれ育ち
叩かれやすい有名人というのはいる。タレントだと紗栄子さんがいい例で、彼女にはファンも多いがアンチも多く、震災で寄付やボランティアを行ったことに対してすら、「偽善」「売名」という声があがるほど。
椎木里佳さんも、叩かれやすい有名人の一人と言っていいだろう。社長令嬢で、幼稚舎から慶應。15歳で会社を設立し、女子高生社長としてメディアにも頻繁に登場した。今年の春からは慶應義塾大学に在籍しながら、実業家としても活動している。外見は女優の新垣結衣さんに似て大変かわいらしい。
持って生まれたものだけで嫉妬される要素が限りなくMAX。それに加えて彼女が叩かれやすいのは、本人が成し遂げた業績よりも知名度が上回って見えること、さらにツイッターなどネット上の発言が強気に見えることなのだろう。
父である椎木隆太氏との共著『女子高生社長、経営を学ぶ』(ダイヤモンド社)は、Amazonでは180以上あるレビューのうち3分の2以上が星1つで酷評が多い。彼女はこれに対して今年の2月、「私よりも大人な方々が時間をかけて必死になってAmazonのレビュー荒らしてると思うと笑える。話題にして売上に貢献してくれてありがとうございます!これからもがんばってください!」とツイッター上で発言。これはネット上では「煽り」とみなされるような、挑発的なコメントだ。
また同時期には、会社の事業でのミスを指摘され「私自身は気がつけなかったので、今回炎上させてくださった方々に感謝しています。やってしまったことの事実は変えられない。エンジニアを責めた所で何も変わらないし、監督下に置けなかった完全に自分の責任です。初サービス、ご迷惑をおかけしますが、がんばります」と発言している。
前者の発言が完全に「煽り」に見えるのに比べ、後者の発言は責任を認めて謝罪している発言ではある。ただ、「炎上させてくださった」「事実は変えられない」などの言葉には、強気に取られてしまう要素は確かにある。言葉尻を取られたくないのであれば、もう少し言葉の選び方に気の使いようがある。ただ、それをしないことが彼女の人とは違うところなのだとも感じる。
憎まれっ子世に憚ればいい
今回の炎上に関するツイートを見てみよう。
「車に乗っている時に、窓の外に牛丼屋の前でボロボロになっている服を着て、1人で立ち止まってる男性が見えた。財布の中身をチェックしてから諦めたようにカートを転がして行ってしまった。その時、お金を握りしめて車から降りようと思った。でもできなかった。やらなかった。→続」
「バカにされてるって思われたらどうしよう。もし私のこと知ってたらどうしよう。そんなダサい感情が邪魔をしてできなかった。車を降りることが正解じゃないかもしれない。でも、今度は降りてみようと思う。勇気を出して、ここの牛丼屋いいですよね、よかったらと声をかけてみよう」
要は、お金がなく困っているように見える男性を見かけたのに、何も行動できなかった自分が歯がゆかった、という内容だ。「バカにされてるって思われたらどうしよう」「車を降りることが正解じゃないかもしれない」という言葉からもわかる通り、彼女も自分の行動が男性にとって好ましくないかもしれない可能性は充分に承知している。それでも何もしないよりは行動して、その上で拒絶されるなり、受け入れられるなりといった反応をもらうことが重要だと感じたのだろう。
若者らしい素直な感性だと思う。人によっては「年齢にしては幼い」「社長業をしている人にしては軽率」とジャッジするのかもしれないが、椎木さんは、そういったジャッジを下す人もいることをこれまでの経験から知っているはずだ。
ツイートの中でも「もし私のこと知ってたらどうしよう」というような一言がさらに人々の嫉妬心を煽るわけだが、彼女にしてみればそのあとの「ダサい感情」という一言で、前言を打ち消している。一部だけを切り出して揶揄される可能性を考慮して発言を控えるよりも、自分の言いたい発言をそのまましている。
一般人であってもネット上で私刑にあう昨今。誰でも人からの反応を気にしている。だが、人からの反応を気にして発言を控えたり、回りくどい言い方をしたりすることで、人は自分の表現を失っていく。お行儀よく、右にならえで小さくまとまっていく。
椎木さん自身、Amazonのレビューを気にしてイラついたコメントをしたこともあったが、人から叩かれることを気にし過ぎず、言いたいことを言い続けてほしいと思う。出る杭は打たれる国だが、憎まれっ子世に憚ればいい。
彼女のツイートに対して投げつけられているリプライは、次のようなものだ。
「金持ってねぇって言ったら際限無く金ばら撒くの?親の金だから別にいいよな」
「僕も今度ソープランドの前でボロボロの服着て財布の中身チェックしてから諦めたように帰るのでお金ください」
「良い人アピール大失敗してますよ。あなたのデータフォルダは自分の写真ばかりでしょうね…」
「マリーアントワネットみたいですね。あれは創作という話もありますが、同じナチュラルな上から目線の嫌らしさを感じます」
「自分の会社で雇ってあげれば?」
「世界中に向けて発信するようなことですかねぇ。こんなポエムはチラシの裏にでも書いといてくださいますか?」
「言ってること支離滅裂やしとりあえず金くれ」
「これをツイートしてる時点でただの自己満足ですよね」
「ぼくにお金くだちゃーい」
「善意ってもんは、頼まれてからやるもんなんだよ 勝手に妄想膨らませてあたかもいいことしようとしましたみたいに言うなよ」
「もし私のこと知ってたらどうしよう←はい、ここ笑うとこですよ〜」
「何カップですか?」
「パンツの色もよろしくお願いします」
最後のほうは論外なのだが、あなたはこれを見てどういう感想を持つだろう。彼らの仲間になり、人生の貴重な時間を使って一緒に叩きたいと思うだろうか。「彼女よりも大人な方々が時間をかけて必死になって叩いているのだなあ」とあきれるだろうか。
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