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日本は資本主義国じゃない?ってなんだ? 欧米コンプレックスや日本特殊論はもうやめよう - wasting time?

東電賠償のスキームのおかしさを見て多くの識者や政治家がこういった。「日本は資本主義国じゃない!」、「日本は遅れている!」、「外国人には到底理解できないはずだ!」、「外国人が日本市場から逃げ出す」などなど。。。もちろん、僕自身、東電救済ありきのあのスキームはおかしいと思うし、株主責任を問わずに金融機関に債権放棄を「要請する」というやり方にも相当疑問がある。しかし、それだけをもって「日本は資本主義国じゃなくてすごく遅れていて、外国人は日本は異常な国だからこれから投資しなくなるだろう」というのは一体なんなんだろう。そんなのはなんちゃって国際派かなんちゃって市場原理主義者の言説だろう。。。

うちの会社の日本に詳しくないイギリス人とこれについて話してみたが、
僕:「東電を日本政府は救済するんだよ。ありえないだろ?」
イギリス人:「ひどい話だな。あんな事故を起こしておいて」
僕:「でもまあ、お前の国も銀行をたくさん救済したし、アイルランドも救済したし。大変だな」
イギリス人:「納税者の金で勝手なことやりやがって。世界中で資本主義がおかしな方向に行っている。モラルハザードの嵐だ。また痛いしっぺ返しにどっかで会うだろうなあ。」

とこんな感じ。

また、もうちょっと市場への介入を好むイギリス人と話すと・・・。
僕:「東電は日本政府によって救済される。ありえないだろ?」
イギリス人:「待て。でも、電力会社という性質を考えると仕方ないだろう。企業の規模もでかい。金融市場での存在感も相当でかい。安易につぶして金融市場
が大混乱したり電力の供給にますます不安が出たら、大変なことになるぞ。こういう場合は政府による救済が必要だ。リーマンショックを見たろ?道理だけじゃ
ものごとは語れないんだ」

とまあ、こんな感じ。

日本しかしらないなんちゃって識者は「外国人の日本を見る目はますます厳しくなる」というが実際は僕はそうでもないと思う。もちろん、会話の持っていき方次第で、東電をこんなおかしなスキームで救済するなんて日本は変な国なんだといえば彼らもそうだよなとうかもしれない。そんなもんだ。

だいたい、現在進行形で欧州ではギリシア・アイルランド・ポルトガルとなしくずしに資本主義の原理をゆがめた救済が行われているわけだ。

また、ニューヨークタイムズでこんな記事も発見したので、都合よく引用する。ここではアイルランドの節のみだが、当然、筆者はリーマンショック時の米政府の対応にも(仕方ない面はあるとしながらも)疑問を呈している。
Capitalists Who Fear Free Markets

In Ireland, it was even more absurd. Bailing out collapsing banks left the Irish government unable to pay its bills without a bailout of its own, and forced it to embark on a bitter policy of austerity that has hurt every citizen. But senior bondholders of the failed banks are being protected, and it was considered a victory that subordinated lenders agreed to take partial ― not complete ― losses.

アイルランドでは破綻した銀行の救済のために国家自体がEUから救済された。そして、国民の生活は緊縮財政によって苦しくなっている。しかし、優先債の保有者は守られ、劣後ローンの保有者の損失も限定された(=彼らにとっては勝利)

Without losses, why should we think investors will do a better job of monitoring what is being done with their money?

南欧の国に対してドイツ人やオランダ人は怒っている。リーマンショックで金融機関を救済したことにアメリカ人も怒っている。イギリス人も銀行を救済したことを怒っている。フィンランドはギリシアの更なる救済にはもう金を出さないと言っている。世界中で政治の都合によって。政府による安易な市場への介入をよしとする人々によって市場機能を通した適切な資源配分がゆがめられモラルハザードの種をまいているのがここ最近の動きといえる。そして、市場を重視する人々は最近の政府の安易な“Bail out”による市場規律の乱れに対して危機感を抱いている。それは日本だけの話ではない。

繰り返すが、僕自身は東電の救済などあってはならないことだと思っている。この記事は東電を擁護するためのものでは一切ない。政府による市場への介入を肯定するものでもない。しかし、それは“海外では・・・”とかそういった理由で決められるべきものではない。そういったこと関係なしに市場のルールをゆがめることは間違いである。ただ、それだけのことだ。いつまでたっても日本“だけ”が特殊であるといってなんとなく自己満足するような議論はもうやめにしたほうがいい。もっと、いろんな角度から世界で起こっていることを我々は見るべきだろう。また、誤解に基づく“欧米コンプレックス”もやめにしよう。我々は十分に世界のトップを走っている国のひとつなのだから。我々自身が正しい方向を選び進んでいく。そのための議論をすることが大切だと思う。

wasting time?のブログ↓
ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

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