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- 2016年07月21日 09:21
共和党の政策綱領、投資家にとっての意味
2016年の米共和党は14年前の共和党と同じではない。同党の新たな政策綱領は、投資家がその違いに注意すべきであることを示唆している。
共和党有権者の間で金融業界に対する許容度が低下し、貿易のメリットに対する疑問が高まり、財政赤字の重視度が減退したことが、予備選の間に明らかになった。そのため共和党全国大会が開幕する前でさえ、ドナルド・トランプ大統領が誕生した場合に恩恵ないし打撃を受けそうな株式銘柄やセクターが、もっと共和党らしい大統領の時代とは違ってくるように思われた。
18日に採択された政策綱領には広範な変化がみられる。特に目をひくのは「グラス・スティーガル法復活」を支持していることだ。大恐慌時代に制定されたこの法律では、投資銀行と商業銀行の分離を定めていた。同法復活に対する支持はむしろ、エリザベス・ウォーレン、バーニー・サンダース両上院議員などリベラルな民主党員に多くみられる。民主党は直近の政策綱領案で、同法を「アップデートした現代版」の採択を支持している。
グラス・スティーガル法の人気ぶりは1999年とは隔世の感がある。同年、保守派のフィル・グラム上院議員(共和、テキサス)と中道のジム・リーチ下院議員(共和、アイオワ)が率いる議員は、クリントン大統領のもとで同法の一部条項を撤廃した。この変更は銀行側による数十年越しの働きかけが実ったものだ。証券業や保険業への参入を目指す銀行は、金融業界の状況が30年代とは大きく違っていると主張していた。
だが金融危機を受けて、グラス・スティーガル法撤廃が「大きすぎてつぶせない」銀行問題を引き起こしたとの考えが浮上した。撤廃にくみしたシティグループの元最高経営責任者(CEO)サンフォード・ワイル氏でさえ、商業銀行と投資銀行の分離を定めた条項を撤廃したのは間違いだったと述べている。
党綱領に拘束力はないが、両党とも何らかの形でのグラス・スティーガル法復活を主張している。そのため、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカといった銀行が商業銀行部門と投資銀行部門の分離を強いられるリスクは、低いとはいえ高まってきている。どちらの党が政権をとっても、大手銀行を取り巻く規制環境は厳しくなる公算が大きい。
共和党は貿易についても方向転換している。2012年には綱領で貿易のメリットをうたっていたが、現在では、「米国を第一に置く、より良い条件の貿易協定」が必要だとしている。
共和党にとって貿易がいかに重要な論点になったかを示す例がある。16年の綱領で「赤字」という単語は3回使われているが、そのうち2回は財政赤字ではなく貿易赤字を指しているのだ。12年の綱領は財政赤字に4回触れた一方、貿易赤字への言及はなかった。
そのため、海外から物を輸入する小売業者などの企業はコスト上昇に見舞われるかもしれず、輸出企業は他国の報復的措置に直面する恐れがある。これに対し、国内に軸足を置くメーカーは外国勢との競争緩和が追い風になることも考えられる。
それ以外では、今年の綱領のうち投資家に関係した側面はおおむね変わりがなかった。エネルギー企業の規制緩和と石油・ガス生産可能地域の増加を求めているが、これは水圧破砕や沖合掘削を手がける企業にプラスだろう。医療保険制度改革法(オバマケア)の撤回は、その恩恵を受けてきたマネージドケア(管理医療)サービスの逆風になるかもしれない。綱領では、国際企業に海外留保利益の国内還流を促すための税制変更や法人税引き下げも主張している。
共和党の綱領と、実際に法律として制定する内容には違いがある。だが綱領の基調の変化からすると、投資家は共和党の勝利が持つ意味について考え方を変える必要があるようだ。
共和党有権者の間で金融業界に対する許容度が低下し、貿易のメリットに対する疑問が高まり、財政赤字の重視度が減退したことが、予備選の間に明らかになった。そのため共和党全国大会が開幕する前でさえ、ドナルド・トランプ大統領が誕生した場合に恩恵ないし打撃を受けそうな株式銘柄やセクターが、もっと共和党らしい大統領の時代とは違ってくるように思われた。
18日に採択された政策綱領には広範な変化がみられる。特に目をひくのは「グラス・スティーガル法復活」を支持していることだ。大恐慌時代に制定されたこの法律では、投資銀行と商業銀行の分離を定めていた。同法復活に対する支持はむしろ、エリザベス・ウォーレン、バーニー・サンダース両上院議員などリベラルな民主党員に多くみられる。民主党は直近の政策綱領案で、同法を「アップデートした現代版」の採択を支持している。
グラス・スティーガル法の人気ぶりは1999年とは隔世の感がある。同年、保守派のフィル・グラム上院議員(共和、テキサス)と中道のジム・リーチ下院議員(共和、アイオワ)が率いる議員は、クリントン大統領のもとで同法の一部条項を撤廃した。この変更は銀行側による数十年越しの働きかけが実ったものだ。証券業や保険業への参入を目指す銀行は、金融業界の状況が30年代とは大きく違っていると主張していた。
だが金融危機を受けて、グラス・スティーガル法撤廃が「大きすぎてつぶせない」銀行問題を引き起こしたとの考えが浮上した。撤廃にくみしたシティグループの元最高経営責任者(CEO)サンフォード・ワイル氏でさえ、商業銀行と投資銀行の分離を定めた条項を撤廃したのは間違いだったと述べている。
党綱領に拘束力はないが、両党とも何らかの形でのグラス・スティーガル法復活を主張している。そのため、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカといった銀行が商業銀行部門と投資銀行部門の分離を強いられるリスクは、低いとはいえ高まってきている。どちらの党が政権をとっても、大手銀行を取り巻く規制環境は厳しくなる公算が大きい。
共和党は貿易についても方向転換している。2012年には綱領で貿易のメリットをうたっていたが、現在では、「米国を第一に置く、より良い条件の貿易協定」が必要だとしている。
共和党にとって貿易がいかに重要な論点になったかを示す例がある。16年の綱領で「赤字」という単語は3回使われているが、そのうち2回は財政赤字ではなく貿易赤字を指しているのだ。12年の綱領は財政赤字に4回触れた一方、貿易赤字への言及はなかった。
そのため、海外から物を輸入する小売業者などの企業はコスト上昇に見舞われるかもしれず、輸出企業は他国の報復的措置に直面する恐れがある。これに対し、国内に軸足を置くメーカーは外国勢との競争緩和が追い風になることも考えられる。
それ以外では、今年の綱領のうち投資家に関係した側面はおおむね変わりがなかった。エネルギー企業の規制緩和と石油・ガス生産可能地域の増加を求めているが、これは水圧破砕や沖合掘削を手がける企業にプラスだろう。医療保険制度改革法(オバマケア)の撤回は、その恩恵を受けてきたマネージドケア(管理医療)サービスの逆風になるかもしれない。綱領では、国際企業に海外留保利益の国内還流を促すための税制変更や法人税引き下げも主張している。
共和党の綱領と、実際に法律として制定する内容には違いがある。だが綱領の基調の変化からすると、投資家は共和党の勝利が持つ意味について考え方を変える必要があるようだ。
By JUSTIN LAHART
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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