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党勢回復したのか?

参院選挙の総括は、データに基づいた分析を基礎としなければならない。

選挙後、前回選挙の17議席が32議席にほぼ倍増したとか、一人区で2勝29敗だったのが11勝21敗になったとか、フワッとした 評価が飛び交っているが、これでは、あまりにも浅い議論だ。

 確かに、野党統一候補の擁立によって一人区の戦いを一定程度互角の戦いに持ち込むことができたことは事実だ。そして、その先鞭となったのが自らが先頭に立ってきた北海道5区補選だったのだから、参院選で「野党統一候補」で戦ったこと自体は評価すべきだと思っている。

 しかし、あくまでも、295分の1議席を決める選挙、あるいは政権選択ではない与党の中間選挙という位置づけの参院選での話であって、この一人区の戦い方、結果を持って、軽々に「野党統一候補としての戦い」をこれからの既定路線かのように結論づけるべきではない。

 だから、私はかねてより「成果と課題の検証」が必要だ、と主張してきた。現在、民進党奈良県連、そして党本部において「参院選総括」のまとめ作業を行っているので、選挙区ごとの詳細はその結果をもって論じたいと思っている。

 しかし一方、全国の比例区の得票率による「党勢が回復しているか?」の検証については、今後、誤った党運営が行われないように、ハッキリさせておきたいと思う。

 全国比例区の全有権者を対象としての「絶対得票率」の推移を2005年の衆院選から、2009年衆院選、2010年参院選、2012年衆院選、2013年参院選、2014年衆院選、そして今回の参院選まで、11年間で7回の選挙で比較してみる。

絶対得票率ということから、まず棄権であるが、今回は棄権率は47.3%で2014年衆院選の47.4%とほぼ同じである。2005年の34.2%から徐々に上がり、2013年より5割弱が続いている。すなわち安倍政権下でこの状況が定常化している。

 その上で、自民党の比例票の絶対得票率は、18.9%と2010年に底を打って以来2009年レベルにまで戻している。すなわち、党勢はかつての態勢に近づきつつあるということだ。確実に、自民党支持が強化されていると言って良いだろう。与党の公明党は、7.1%と2014年7.0%と比しても変わらない。

では、民進党はどうか?

2016年参11.1%、2014年衆9.4%、2013年参6.8%、着実に伸びている・・・・、と考える...。それは、違う!甘い!!!

 今回民進党は維新の東軍と合流した。従って本来ならその分が支持層として乗ってこなければならない。

今回のおおさか維新は4.8%。2014年衆は維新は東軍もいた時であり8.1%。すなわち東軍の比例票8.1-4.8=3.3%を併せて比例得票がなければならない。

つまり、本来なら、2014年衆9.4%+3.3%=12.7%にならなければならないのが、11.1%。

この原因は何か?

共産党との野党連携による、改革保守勢力の忌避であろう。すなわち、全国的にいえば、本来の民進党の比例絶対得票率を野党統一候補の構図を見せることにより、減らしてしまっているのである。

一方、共産党はどうか?

実は共産党も2016年参5.7%、2014年衆5.8%と、0.1%減らしている。これは、おそらく、革新層が民進へと流れたところもあるだろう。

つまり、全国比例の絶対得票率から見れば、

○自民は党勢を2009年レベルにまで回復させている。
○公明は変わらず。
○民進は野党連携により本来のレベルより減らしている。
○共産は野党連携により減らしている。

のである。

 また、社民の2016年参の1.4%、生活1.0%も過去から変わらないレベルで存在し続けており、改革、国民の怒り等々併せると1.8%水準となり、足すと4.2%と、これも無視できない状況だ。

 以上のように、党勢回復したなどと、喜んでいられる状態ではないと思っている。

 そして、与党含め改憲勢力に3分の2を与えてしまった厳然たる事実を直視しなければならない。

つまりは、次の衆院選は、間違いなく憲法が争点となる。党勢は回復どころか、実は低迷している中で、単なる「護憲」では、対峙できないということも考えなければならない。野党統一という選択が、相当に険しいということを念頭に置きながら、今後の戦略を立てる必要があるということを、この段階では強く伝えておきたい。

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