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トルコの“反乱”が示すもの

15日にトルコで起きた軍部の反乱は半日で鎮圧されたが、その後、間一髪危機を逃れたエルドアン大統領が、猛烈な政敵掃討作戦を展開していて、トルコ情勢は緊迫してきた。

中東で安定しているといわれていたトルコも、不安定な国の仲間入りした格好だ。今後の波乱が気にかかる…。

報道によると、粛清の対象は約2万4千人に達し、地方公共団体のトップ30人や多数の警察官、教員らを含む公務員に拡大、メディアにも波及し24局の免許取り消しなどに及んでいる。

これを機に、一気に独裁政権を樹立しようとしているのだろう。

エルドアン大統領には、彼の政治手法が「ムスリム同胞団」に近く、ISにも近いとされてきていたが、その理由がISからの石油密輸に絡んでいるからだなどと、あまりいい噂はなかった。

しかし、いかに“後ろ暗い”大統領であっても、「選挙で選ばれた」以上“文民大統領”であり、民主主義にのっとっているから“反乱軍”は、彼を打倒することは、国民に銃を向けることになるという「大きな矛盾」を抱えていた。

それで矛先が鈍ったのではないか?

元々トルコは、ムスタファ・ケマル・アタテュルクが建国した由来があり、以来トルコは西欧化を押し進めてきた。基本的には軍は政治に介入しないとされたが、軍が政治に重要な地位を占めてきたのも事実である。

このような体制を許してきたのは、国民が軍に対して高い信頼を与えているからだと言われるが、最近はイスラム派政党の勢力伸張に対して、軍はアタテュルクの敷いた西欧化路線の護持を望んでいて、国民もそれを望んでいたとされている。

しかしそれが「一切のイデオロギー的批判を許さない親イスラム派のエルドアン氏」に対する不満となって暴発したのではないか?

今のところ反乱指導者と計画性も、不発に終わった理由も不明だが、言えることは「軍に不満が鬱積していたのだろう」ということである。

反乱を抑えた彼は、軍人はもとより、判事や教師に至るまで、一斉に拘束し、かつ廃止されていた死刑制度を復活しようというのだから、今後、どこぞの“アジアの小国の独裁者”並みの恐怖政治が敷かれる恐れがある。アジアと欧州のつなぎ目に当たるトルコに要注目である。

ところでこの政変に一番恐怖を感じたのは、ほかならぬ北京政府だったのではないか?

国内には常に暴動の芽が潜んでいて、それは虐待されている少数民族だけではなく、現政権に不満を抱く「反対派」の芽も残っているからである。勿論軍内部にもその芽は張り巡らされているから、未だに2匹のトラが凄惨な戦いを継続していて、軍内部にも「どちらのトラについた方が得か?」と損得勘定で動いている連中もいるからだ。

さて、手元に「クーデターの必然性と可能性(小島玄之論文集)」と題する昭和63年に刊行された著作がある。小島氏は昭和4年、早稲田大学雄弁会解散反対運動に参加して3年で退学、その後学生運動、農民運動に参加し、指導者として活動するも、検挙拘留され病になって放免され、故郷で療養生活に入る。昭和15年保護観察中に転向し、聖徳会活動に従事、大東亜戦争中は東方会活動に参加、戦争末期には東条内閣打倒を企て再び検挙される。

戦後は田舎で青年指導に当たるも、昭和35年思想研究所を創設、昭和41年狭心症発作で57歳で死去した方である。

論文集は400ページに届く分厚いものだから、その一部を紹介するにとどめるが、戦後日本の政治状況が浮き彫りになっていて、現状も少しも改善されていないことがわかる。

トルコ並の、腐敗堕落した“民主主義体制”が連綿と続いていると感じられ、古い時代の論文集だが、示唆に富んでいるから他山の石にすべきだと思う。

●「クーデターの必然性~全学連の国会乱入事件に寄せて~」

 ≪民主々義とクーデターとは氷炭相容れないもの、議会政治はクーデターによる政治変革と両立しないもの、とされている。しかし、それだけの理由で、民主々義を守り議会政治を尊重するとの確信からで、平和革命の理論が素直にうけいれられるだろうか。

 敗戦後、占領軍によって与えられた民主々義的風潮の影響をうけ、革命を容認するものも、議会主義的民主政治を認め、平和革命を唱え、言葉のうえで当りのよい表現を用いることにより、ために、左、右の革命理論が筋金をうしない、その運動も鋭鋒をにぶらされてきた。それでも、議会政治が健全に運営されておれば問題は起らない。

 議会政治が健全に運営され、民主政治、議会主義を不動のものに安定させ、クーデターによる政治変革なぞをよせつけないためには、次のような二つの前提条件がそなわらないといけない。

 その一つは、国民の多くが政治的自覚をもち、権利を主張する反面、同等の義務を自主的に履行する態度をとり、選挙にのぞんでは、金力やデマゴーグにまどわされることなく代表を選ぶということ。

 も一つは、議会において、形式的多数決による横暴の行われることなく、政治と政治家が議会政治の健全な運営に責任をもって当るということ。

 その二つの前提条件を欠くため、議会政治が不健全な姿を露呈している状態にあるのに、ただ民主政治を守るとか、議会政治を尊重し、平和的に革命をやるといってみても、それは、社会情勢の安定度のいかんと、国民の議会政治に対する憤懣がある限界に達するまでしか通用しないことである。さいきん、その通用しないことを立証するような事態が、ぼつぼつ表面化している。

全学連が、代々木の共産党本部さえ手を焼くような理論により行動し始めたのも、その一つの表れと見ることが出来よう。…≫

今、冷静に世界を眺めると、わが国以外の各国では、大きな政治的変動が起きつつあり、とりわけ米国の“政変”は今後の世界情勢に大きな影響をもたらすことは疑いない。それに我々1億3千万の日本人は、いかに対処して混迷を極める中を生き抜くか?

老人介護、育児施設の増設…などを主題にしている暇はなさそうに見えるのだが…

既成メディアなど、常々(自分に都合がいい)色眼鏡を通してみてきた大方の予想に反して、米国大統領の共和党候補者に「トランプ氏」が選出される。

彼の国家戦略が定まれば、アジアの軍事情勢には大きな変化がもたらされることが予想される。

今わが国に求められている喫緊の課題は「安全保障政策」であり、国防力の強化だが、その前提には≪警察予備隊≫ではない、国家を自衛できる“本物の軍隊の創設”である。

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