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「インターンシップが若者を救う」論を駁す① 大手の早期横並びインターンというかつて来た道 - 海老原嗣生

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インターンシップ検討会が3省主導で開催

日本型の新卒採用慣行は確かに万全の代物ではなく、問題を抱えてはいる。そこで、さまざまな識者が公的会議の場や団体声明などを通して、改革案を謳う。

昨今、その中でも流れが強くなってきたのが、「インターンシップ(学生の就業体験)を通して採用を行うことで新卒採用慣行を是正しよう」というものだ。経済同友会や産業競争力会議でも、インターンシップの発展についての提言や意見が上がっている。

こうした流れを受けて、インターンシップのあり方についての検討会が文部科学省、経済産業省、厚生労働省の3省合同で設けられ、2016年7月12日に初会合を開くことになった。以下、7月13日付の日経新聞から拾っておこう。

「人材不足に悩む中小企業は解禁日前のインターン採用を求めている」
「日商の担当者は日本でインターンが広がらない理由に『採用に直結しない』ことを指摘。海外のインターン事情に詳しい委員の一人も『一番大きいのはインターンが採用に組み込まれているのかどうかだ』と指摘した」。

さてさて、こうした話は本当に的を射ているのか。それとも素人狸の皮算用なのか。過去の経緯と、欧米のインターンの実態などをつまびらかにしながら4回にわたって説明していく。

採用目的にすれば普及?中小の人材難も解決?

7月12日のインターンシップ検討会で協議された最大のポイントは、採用目的でインターンシップを行うことを許可するか、否かだ。

現在は、インターンシップはあくまでも、学業の一貫として位置づけられており、そこで企業が採用を行うことをよしとしていない。ただ、欧米ではインターンシップで普通に採用もされる。採用されるとなれば、参加する学生も増え熱意も高まる。同様に企業も本腰を入れる。だから、採用目的を許すべきではないか。だから初会合では、まずは、インターンシップに参加した学生の態度・個性・能力評価などの個人情報を、採用にも使えるようにしてはどうか、という話が先行議題となった。
インターンの情報を基にした採用は、

「実際に働き職場や仕事をよく理解してから入社できる」
「企業も面接ではわからない学生の能力・個性が理解できる」 などという点は確かによいだろう。

ただし、その結果、インターンシップ時点で選考までが済んでしまう形で、採用が「早期化」「通年化」していくとどうなるか。

「みなが一斉にヨーイドンする現行よりいい」「時期がまちまちだからチャンスが何度もある」などという話が聞かれがちだ。 がしかい、こちらの方は・・・なのだ。

過去の経緯を見る限り、逆に「早期一斉インターン開催」となり「面接や説明会よりインターン期間は拘束が長いためチャンスは少なく」となるとまずは結論をざっと述べておく。

15年前の完全自由化時代、大手の2割強がインターンを実施

実は日本でインターンシップは過去何度も流行したことがあった。しかも、過去においては、インターンシップで「採用をしてはいけない」的な協定も何も存在していなかった時期がある。その当時がどうだったかをまずは調べれば、自由化後に何が起こるかよくわかるのだ。

その自由化時代とはいつか?1997年までは就職協定があり、早期採用は不可だった。2002年卒以降は経団連就職倫理憲章ができ、それが2004年に賛同企業の社名発表方式に変わるため、それ以降は「早期採用」がやはり事実上できなくなる。とすると、1998年~2003年卒は実質的なルール空白時期であり、ここで異常な盛り上がりを見せるのだ。

その状況をレポートしたリクルート社発行の雑誌「Works」54号(2002年12月)から主要なデータ(図表①)を見てみよう。



東証一部上場のうち、2002年度インターンシップを行う予定の企業は23.1%と4社に1社強となっている(ただし、このデータは母数に「無回答企業」を含まないために正確性に欠けるきらいはある)。現状と比べるとかなりの浸透度となっていることがわかるだろう。しかも、当時はまだ1dayインターンシップなどというものがなかった(このお手軽インターンは常見陽平氏が2005年前後に当時人事担当をしていた玩具メーカーにて発案されたという)。かなりな日数を費やす本格派インターンシップが、当時は普及していたといえるだろう。そのころ、企業がインターンシップを行う理由は何だったのか。CSRなどがまだ声高らかに叫ばれなかった時代でもあり採用協定もなかったから企業は正直に答える。その状況を示したのが、図表②だ。



なんと、45%が「採用目的」であり、続いて大学とのパイプ作り17%、企業PR15%と企業側の即物的要望が並びここまでで8割に迫る。その他にも社内活性化10%、労働力5%と企業目的が先行し、社会貢献はたったの8%にとどまる。

と、ここまで見れば、「カッコつけずに、採用目的にすれば、企業側はインターンシップに本腰を入れる」という話は正しい。 ただし、それがどんな結果を生むか、なのだ。

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