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- 2016年07月19日 11:07
エクスペディア会長が語る予約サイトの未来
バリー・ディラー氏(74)はハリウッドの映画会社やテレビ放送局の最高経営責任者(CEO)を歴任し、現在はインターネット複合企業IAC/インタラクティブコープを率いている。さらにその経歴には世界最大の旅行代理店の会長も加わっている。
ディラー氏は2001年に旅行サイト「エクスペディア」を買収。米旅行専門誌「トラベル・ウィークリー」がまとめたエクスペディアの売り上げデータによると、2015年には単独の売上高で最大の旅行会社となった。ネットでの旅行予約が増えるのに伴って、ディラー氏はオービッツ、トラベロシティ、ホテルズ・ドット・コム、ホットワイヤ・ドット・コム、トリバゴなどの他の予約サイトを買収していった。ディラー氏が経営するもう1つの会社IAC/インタラクティブコープが注力するのはメディアだ。傘下には動画共有サイトの「ビメオ」、ニュースサイトの「デイリー・ビースト」、出会い系サイトの「マッチ・ドットコム」や「オーケーキュービッド」、「ティンダー」を抱えている。
旅行サイトと直接予約を促すホテル間の緊張が高まる中、ディラー氏はネットが今後も旅行のあり方を変貌させていくとみている。ディラー氏に話を聞いた。
以下は主なやり取り。
-旅行業に初めて関わったのはいつか
IACを経営するはるか前から双方向性には興味を持っていた。最初に私が引かれた点の1つは、旅行がカテゴリーとして、当時出現したばかりのインターネットに非常に早い段階でのっとられると感じたことだ。
それに私は旅行が大好きだったので、興味が重なった。私は動くものに強く引きつけられるたちだ。妻(ファッションデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ氏)は、私にエンジンがついていれば良かったのにねと言っている。
20代初めから絶えず旅をするようになった。娯楽メディア業界にいたころ、ABCテレビに勤めていて毎週ニューヨークとロサンゼルスを飛行機で往復しているうちに、私は飛行機で旅をすることが本当に好きになった。飛行機を見ると、それに乗ってどこかへ行きたいと思っていた。
-ネット販売はうまくいくと思っていたか
われわれは基本的に仮想製品から始めた。初期のころに買収した企業の1つがチケットマスター(チケット販売サイト)で、仮想ビジネスだった。旅行代理店のオフィスでグリーンのスクリーン(旧式のコンピューター)と(予約)システムを目にしたとき、テクノロジーとネットは効率良く融合できると思った。収集や検索が難しい膨大なデータを扱える可能性があると感じた。「ここからここまでどう行けばいいのか」「これやあれをするにはどうすればいいのか」といった消費者の簡単な質問に答えるには、テクノロジーは完璧な方法だ。
-今後どうなると思うか。人々はどのように旅行の予約をするようになるのか
今と同じような方法で予約するだろう。現段階に至るまでに20年ちょっとかかったが、われわれが理解し、見聞きしているほぼ全ての急激な進化を考えれば驚くほど短い期間だ。本線はもうそこにある。それは過去数年で出来上がった。最後のピースは動画だった。そして日々の生活での動画の利用を可能にしたのがスマートフォンだ。その根本的な点は、持ち歩けることだった。
今後もイノベーション(技術革新)があるだろう。しかし、基本的にシステムはもうそこにある。インフラは整っている。
-顧客に商品やサービスを直接販売している航空会社やホテルと、旅行代理店などの仲介業者の間に緊張が生じている。今後どうなっていくと思うか
緊張は初めからあった。(直接販売と仲介業者を介した購入との)一種の二分化は50対50にしろ、40対60にしろ、60対40にしろ、テクノロジーが進化した期間にもさほど状況は変わっていない。どんなプロセスにおいても排除できるものがあれば排除したり、中抜きしたりするのは当然のことであり、全く自然なことだ。唯一の問題は、これまでほぼ全てのケースにおいて、それが完全にはうまくいっていないということだ。今後も完全にうまくいくことはないだろう。完全に統合されれば別だ。その場合、中間にあるものは全て排除されるだろう。しかし、そうでない限りは、複数の選択肢がある場合、消費者が複数の選択肢から選ぶプロセスを誰かが手助けする必要がある。
例えば、ホテルにはさまざまなタイプや立地のものがある。全てが同じ箱だったら、他は何も関係ないだろう。価格決定力などないだろう。
私は人生を通じて常に流通と生産の間の緊張に囲まれてきた。私は彼らを理解している。彼らに腹を立てることもない。私は影響力というものを理解している。影響力は一定の周期で変化することを分かっている。影響力は片方の側にしかなく、別の周期では他方の側にある。自分の側に影響力があるときは、無理に壁を破ってはいけないことを私は随分前に学んだ。なぜなら周期が切り替われば、自分が仕返しされる側になるからだ。このことに関しては、私はとても冷静だ。
-エンターテインメント業と旅行業には似ている点はあるか。どちらも体験を売る商売だと思うが、そういう見方をしたことはあるか
一度もない。エンターテインメントは物語形式だ。ストーリーを語る一種の形式だ。確かに旅行にも各個人が語るべきストーリーはあるが、物語ではない。両者に類似点はない。
-人々が旅行において双方向性や動画に慣れるにしたがって、それは旅行先に変化を及ぼしているか。休暇の予約の仕方に変化をもたらしているか
もちろんだ。われわれは人々が訪れる場所をもっと作り出す必要が出てくるだろう。旅行市場は私が想定したよりも急速に成長している。情報が手に入れやすくなり、世界を簡単に旅することができるようになったためだ。
-かつてニューヨーク・ロサンゼルス間を出張で行き来するのが好きで、それはその5時間を自分だけの時間にできるからだと話したが、今は機内でさえも完全につながれる。その5時間を再び自分だけの時間にできればと思うことはあるか
ない。私はかつては普通の人のように働いていたが、土日は働く時間が少なかった。今は週7日働いている。恐らくここ15年はそうだ。何かをするのに特定の場所にいる必要はない。それがリズムの一部になっている。
ディラー氏は2001年に旅行サイト「エクスペディア」を買収。米旅行専門誌「トラベル・ウィークリー」がまとめたエクスペディアの売り上げデータによると、2015年には単独の売上高で最大の旅行会社となった。ネットでの旅行予約が増えるのに伴って、ディラー氏はオービッツ、トラベロシティ、ホテルズ・ドット・コム、ホットワイヤ・ドット・コム、トリバゴなどの他の予約サイトを買収していった。ディラー氏が経営するもう1つの会社IAC/インタラクティブコープが注力するのはメディアだ。傘下には動画共有サイトの「ビメオ」、ニュースサイトの「デイリー・ビースト」、出会い系サイトの「マッチ・ドットコム」や「オーケーキュービッド」、「ティンダー」を抱えている。
旅行サイトと直接予約を促すホテル間の緊張が高まる中、ディラー氏はネットが今後も旅行のあり方を変貌させていくとみている。ディラー氏に話を聞いた。
以下は主なやり取り。
-旅行業に初めて関わったのはいつか
IACを経営するはるか前から双方向性には興味を持っていた。最初に私が引かれた点の1つは、旅行がカテゴリーとして、当時出現したばかりのインターネットに非常に早い段階でのっとられると感じたことだ。
それに私は旅行が大好きだったので、興味が重なった。私は動くものに強く引きつけられるたちだ。妻(ファッションデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ氏)は、私にエンジンがついていれば良かったのにねと言っている。
20代初めから絶えず旅をするようになった。娯楽メディア業界にいたころ、ABCテレビに勤めていて毎週ニューヨークとロサンゼルスを飛行機で往復しているうちに、私は飛行機で旅をすることが本当に好きになった。飛行機を見ると、それに乗ってどこかへ行きたいと思っていた。
-ネット販売はうまくいくと思っていたか
われわれは基本的に仮想製品から始めた。初期のころに買収した企業の1つがチケットマスター(チケット販売サイト)で、仮想ビジネスだった。旅行代理店のオフィスでグリーンのスクリーン(旧式のコンピューター)と(予約)システムを目にしたとき、テクノロジーとネットは効率良く融合できると思った。収集や検索が難しい膨大なデータを扱える可能性があると感じた。「ここからここまでどう行けばいいのか」「これやあれをするにはどうすればいいのか」といった消費者の簡単な質問に答えるには、テクノロジーは完璧な方法だ。
-今後どうなると思うか。人々はどのように旅行の予約をするようになるのか
今と同じような方法で予約するだろう。現段階に至るまでに20年ちょっとかかったが、われわれが理解し、見聞きしているほぼ全ての急激な進化を考えれば驚くほど短い期間だ。本線はもうそこにある。それは過去数年で出来上がった。最後のピースは動画だった。そして日々の生活での動画の利用を可能にしたのがスマートフォンだ。その根本的な点は、持ち歩けることだった。
今後もイノベーション(技術革新)があるだろう。しかし、基本的にシステムはもうそこにある。インフラは整っている。
-顧客に商品やサービスを直接販売している航空会社やホテルと、旅行代理店などの仲介業者の間に緊張が生じている。今後どうなっていくと思うか
緊張は初めからあった。(直接販売と仲介業者を介した購入との)一種の二分化は50対50にしろ、40対60にしろ、60対40にしろ、テクノロジーが進化した期間にもさほど状況は変わっていない。どんなプロセスにおいても排除できるものがあれば排除したり、中抜きしたりするのは当然のことであり、全く自然なことだ。唯一の問題は、これまでほぼ全てのケースにおいて、それが完全にはうまくいっていないということだ。今後も完全にうまくいくことはないだろう。完全に統合されれば別だ。その場合、中間にあるものは全て排除されるだろう。しかし、そうでない限りは、複数の選択肢がある場合、消費者が複数の選択肢から選ぶプロセスを誰かが手助けする必要がある。
例えば、ホテルにはさまざまなタイプや立地のものがある。全てが同じ箱だったら、他は何も関係ないだろう。価格決定力などないだろう。
私は人生を通じて常に流通と生産の間の緊張に囲まれてきた。私は彼らを理解している。彼らに腹を立てることもない。私は影響力というものを理解している。影響力は一定の周期で変化することを分かっている。影響力は片方の側にしかなく、別の周期では他方の側にある。自分の側に影響力があるときは、無理に壁を破ってはいけないことを私は随分前に学んだ。なぜなら周期が切り替われば、自分が仕返しされる側になるからだ。このことに関しては、私はとても冷静だ。
-エンターテインメント業と旅行業には似ている点はあるか。どちらも体験を売る商売だと思うが、そういう見方をしたことはあるか
一度もない。エンターテインメントは物語形式だ。ストーリーを語る一種の形式だ。確かに旅行にも各個人が語るべきストーリーはあるが、物語ではない。両者に類似点はない。
-人々が旅行において双方向性や動画に慣れるにしたがって、それは旅行先に変化を及ぼしているか。休暇の予約の仕方に変化をもたらしているか
もちろんだ。われわれは人々が訪れる場所をもっと作り出す必要が出てくるだろう。旅行市場は私が想定したよりも急速に成長している。情報が手に入れやすくなり、世界を簡単に旅することができるようになったためだ。
-かつてニューヨーク・ロサンゼルス間を出張で行き来するのが好きで、それはその5時間を自分だけの時間にできるからだと話したが、今は機内でさえも完全につながれる。その5時間を再び自分だけの時間にできればと思うことはあるか
ない。私はかつては普通の人のように働いていたが、土日は働く時間が少なかった。今は週7日働いている。恐らくここ15年はそうだ。何かをするのに特定の場所にいる必要はない。それがリズムの一部になっている。
By SCOTT MCCARTNEY
- ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)
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