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本格するクラフトビールブーム

日本に来ると書店とスーパーマーケットは定点チェックには絶好なのですが、今回の訪日で圧倒的に目立ったのが「クラフトビール」の文字。書店には雑誌から本までクラフトビールのABCを書いたものが並びます。スーパーにはクラフトビールがずらっと並び店によってはビール売り場の3割ぐらいのスペースまで増えている感じがします。

北米でクラフトビールを扱う「飲み屋」のスタイルにスツール(背もたれのない腰かけ)と長テーブルの組み合わせでしょうか?長テーブルはスタバなどコーヒー専門店で数年前から取り入れるトレンドで、一つのテーブルに椅子が10脚ぐらい置いてあり、一人客が主体に座り、本を読み、ガジェットをいじり、白いイヤホンをするのが絵にかいたようなスタイルであります。

ではクラフトビールを扱う店ではなぜ低い椅子ではなく、スツールなのか、ですが、これは静から動への違いになるかと思います。低い椅子はゆったり腰かけ、自分の世界に入りやすいものです。ところがスツールはまず、背もたれがありません。つまり、テーブルに肘をかけ、体を支えるやや前傾姿勢を取る人が当然増えてきます。

ここに長テーブルとなると当然、目の前には人がいるのでアルコールの勢いもあり、会話が弾む、という流れなのではないでしょうか?これは私の勝手な推測ですが、何度も自分で試しているのでほぼ当たっていると自信を持っています。少なくともスツールに座って白いイヤホンをする人はまず見かけません。

これは何を意味するかといえばリアル版SNSそのものであります。コーヒーショップの長テーブルは独り者、本やスマホをいじるという同じ目的意識の人たちが「空気をシェアする」という内向的シェアスタイルと言えます。それに対して最近のパブはウマの合う仲間たちが集まり、ビールという主題とシェアプレートという食べ物を皆で取り分けて食べ、ワイガヤを楽しむ流れで外交的シェアスタイルといってよいでしょう。

実は数年前までバンクーバーでもワインがかなりブームでした。日本でも2012年ぐらいにかけて非常に伸びていたと思います。が、統計にはまだ出てこないかと思いますが、ワインブームがいったん沈静化した気配があります。個人的な見解としてはワインはコストパフォーマンスが悪いのです。ワインを飲み始めると必ず気が付くと思いますが、もっとおいしいワインを求めるとどうしてももう少し価格の張るものになりがちです。仮に酒屋で2000円のワインを買っても取れるのはグラス5杯。つまり、一杯400円です。飲み屋ならばその倍から3倍を払います。

一方のビール。クラフトビールはナショナルブランドに比べて若干高いというイメージがありましたが、そうでもありません。カナダでも日本でもグラスで800円程度。その上、カナダはパイントグラスですから日本のちっぽけなグラスとは比較になりません。ワインに比べたらコスパに優れるし、どの種類を飲んでも大して値段は変わらないところに圧倒的な魅力があるといえましょう。

つまり、長テーブルでワイガヤをする、お代わりのビールはどれにしようとああでもない、こうでもないとできるのがクラフトビールバーの最大の面白さでしょう。安く済んで楽しい時が過ごせる、といったらよいでしょうか?

日本はビールといえば4大メーカー。そしてキレがいいけれど欧州ビールに比べてコクに欠けるものが多かったと思います。アメリカやカナダのナショナルビールも同様でバドワイザーやカナディアンなどはキレだけが勝負という気がします。例えばメキシコでコロナビールを飲むと旨いのは暑いところではコクよりもすっきりした方がいいということでしょう。

一方、中華なら青島ビールが合うのは程よいコクがあるから料理にマッチしやすいと思います。確かに日本のじとじとした気候を考えるとキレ重視は正しいと思います。が、食事に合わせるという発想はあまりなかったのではないでしょうか?やや重めのフードにはコクのあるビール、ペールエールやインディアンペールエールはグッときます。

個人的にはクラフトビールのブームで日本に「ノミュニケーション(飲みニケーション)」が戻ってくればよいと思います。最近はスマホにかじりついている人が多く、対話するのはSiriだったりするとさみしいでしょう。見守りロボットとしゃべってもいいですが、ダジャレは言わないでしょう。噂話も「ちょっと聞いてよ」的な話もありません。

たかがクラフトビールブームですが、人とおしゃべりをしなくなった現代だからこそ、こんなブームは私にとってもとてもうれしいのです。

では今日はこのぐらいで。

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