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参議院選挙など

 石破 茂 です。
 参議院選挙は大変お世話様になりました。全国各地でご支援いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。

 「自公大勝、野党伸び悩むも共闘に一定の成果」という結果はまず予想通りと言うべきで、さして驚くべきことでもありませんが、新聞各紙やNHKを含む各局が「改憲勢力が三分の二を超えた」と大々的に報道していることには強い違和感を覚えます。
 国会における議論の推移を見たのちに、「憲法第○条改正を目指す勢力が三分の二を超えた」というのならともかく、どの条文を改正するべきか、どの改正が最も急ぐものか、などまだ全く決まっていない段階でこのような報道をするセンスはいかがなものでしょうか。
 仮に第9条の改正を目指すと思われる勢力が三分の二を超えたのだとしても、それは憲法第96条に定められた国民の権利である「国民投票に付するための提案が出来る状況が現出した」ということであって、これを否定的に解すること自体、国民主権に対する冒瀆のように私には思われます。

 選挙前も含めて、応援に入った選挙区の結果は青森、岩手、宮城、福島、山形、長野、山梨、三重、大分、沖縄で敗北するなど決して芳しいものではありませんでした。
 応援弁士が入る、というのは人集めや陣営の意識の鼓舞などの意味はあるものの、決定的な効果があるものではありませんが、お役に立てなかったことを申し訳なく思います。
 「敗けに不思議の敗けなし」の言葉通り、よく分析をして次の機会に備えなくてはなりません。

 鳥取・島根の合区選挙区は、青木一彦候補の圧勝に終わったものの、実に戦いにくい選挙でした。
 一票の格差のみがよく論ぜられますが、あまりにも広大かつ人口の疎な選挙区において、有権者が候補者の政策や人柄に接する機会が著しく制約されるという事実は、有権者・主権者の権利を大きく侵害するものではないでしょうか。このような論点は今まで見たことが無いのですが、実際に選挙をやってみて痛感しました。
 憲法改正はまず合区の解消から行うのも一つの考え方だと思ったことでした。

 選挙期間の移動中は、次に応援に入る選挙区の資料を読むのに精一杯だったのですが、帰路の車内や機内でたまに空き時間が出来た際には、日頃読めなかった本に目を通す時間に恵まれました。その中でも「戦争が大嫌いな人のための正しく学ぶ安保法制」(小川和久著 アスペクト刊)はとても示唆に富む有益な本でした。
 本書において、戦後、ドイツではNATO枠組みの集団的自衛権の行使しか認められず、「ドイツの危機だ、個別的自衛権を行使する」と勝手に行動することは許されなかった、という指摘があり、私は寡聞にして存じませんでした。もう少しよく研究してみたいと思います。「徴兵制こそ究極のシビリアン・コントロールである。市民社会を形成している一般国民が軍事組織にも入り、そこで戦争や平和や人間の生死について自分なりに考えること、それが国民的抵抗の意思という国防の基盤を形成する」(前掲書208頁)との思想とともに、我々は彼我の差を深く考えてみるべきと思います。

 東京都知事選挙は、政府・与党の一員としての立場を弁えたいと思います。
 全国的にはあまり注目されませんでしたが、参院選と同時に行われた鹿児島県知事選挙では四選を目指した現職が、革新に保守の一部が乗ったテレビコメンテーターの三反園氏にかなりの差でまさかの敗北を喫しました。
 現地の報道を見る限り、「現職の高圧的・強権的な政治姿勢に強い反発があった」とのことです。相矛盾するようですが、選挙は科学であると同時に究極の人間の営みである以上、理論や政策のみで決せられることは無く、人間の好き嫌いや個別利害の対立が渦巻いて、実に複雑怪奇な様相を呈するものだと思います。
 都知事選においても、口舌の徒ではなく真剣かつ真摯に都民に訴えることが一番大事なのであり、謙虚に都民の審判を待ちたいと思います。

 週末は、今日金曜日の午後から鹿児島県に入ります。
 今日15日は、出水市武家屋敷群、特攻碑公園、市立荘(しょう)中学校、阿久根市ジビエ施設などを視察・見学の後、薩摩川内市関係者との夕食会。
 明日16日土曜日は薩摩川内市上甑島町で国定公園海域、六次産業化施設、空き家改修事業などを視察見学した後、地域若手経営者・地域おこし協力隊との意見交換会、霧島国分夏祭り、霧島市関係者との夕食会。
 17日日曜日は霧島市、えびの市の施設や取り組みを視察・見学した後、霧島市での地方創生車座懇談会に出席する予定です。

 昨朝早く議員宿舎の中庭に出てみると、みんみん蝉の鳴き声が聞こえました。不順な天候が続きますが、季節は確実に盛夏へと移りつつあるようです。
 皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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