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バブルに踊らないための4箇条 とは - 塚崎公義 大学教授

バブルは繰り返します。日本の平成バブル、米国のITバブル、米国の住宅バブル(リーマンショックの源)と短期間で何度も繰り返しましたし、最近でも東京都心のマンションはバブルの匂いがするという人がいます。なぜ、人々はバブルに懲りずに繰り返すのでしょうか?今回は、バブルについて考えてみましょう。

■バブルには2種類ある


バブルというと、欲に目が眩んだ愚か者が投機熱に踊らされている、というイメージがあります。今の値段が高すぎることは知った上で、「明日は今日より値上がりするだろうから、今日買って明日売ろう」と考える人々が売買している、という状態です。経済学ではこれを「合理的バブル」と呼んでいます。

しかし、実はそうしたバブルは過去のものなのです。最近では、そうしたバブルが発生し、拡大を始めると、政府(中央銀行を含む。以下同様)が急いでバブル潰しを行なうので、「欲に目が眩んだ人」であっても、そうしたバブルに参戦することは難しいのです。

最近のバブルは、人々がバブルだと気付かない(バブルかもしれないと気付いても、バブルだとは確信できない)ものなので、政府がバブル潰しを行なうことが難しいのです。資産価格が上昇している時は、人々がハッピーですから、政府が「これはバブルだから潰します」というと、「バブルだと証明しろ」と言われて頓挫してしまう、というわけです。

筆者は、こうしたバブルを「惚れ込み型バブル」と呼んでいます。株価が高過ぎると思う人がいても、「日本経済は世界一だから、株価が高いのは当然だ」「ITは夢の技術だから、IT関連株が高いのは当然だ」「米国は移民が多いから住宅需要が多い。住宅が高いのは当然だ」といった正当化がなされるので、人々がバブルに気付かないのです。

■惚れ込み型バブルを判別する4箇条


日本のバブルの時には、日本経済を動かしていた賢い人々の中にも住宅ローンを借りて自宅を購入した人が数多くいました。バブルだと思っていたら、自宅を買ったはずはありません。バブル崩壊を待ってから買えば良かったのですから。つまり、彼等もバブルだと気付かずに、「急いで買わないと、一生借家暮らしになってしまう」と考えていたことになります。

そんな時に、「惚れ込み型バブルに気をつけろ」と言っても無理でしょうが、筆者は惚れ込み型バブルを判別する基準を自分なりに持っています。どの程度の確度かはわかりませんが、筆者としては以下の4条件が揃ったら「バブルだろう」、と考えることにしているわけです。

(1)株価などが高過ぎると思う人が出てきますが、「大丈夫。何と言っても日本経済は世界一だから」といった安心材料(惚れ込む材料)を説く人がいます。

(2)景気は好調だが、金融が緩和されているので、株価などの上昇に邪魔がはいりません。たとえば日本のバブル期には、景気は絶好調でしたが、急激な円高により物価が安定していたので、金融の引き締めが行なわれませんでした。

(3)それまで株などに全く興味が無かった人々が、突然株式投資に熱中しはじめます。井戸端会議から帰った主婦が「隣の奥さんが株で儲けたらしいから、私もやってみようかしら」と言い始めたら、御主人は株を売るべきです(笑)。

(4)本国よりも海外で、「あの国はバブルではないか」という論調が高まります。米国のITバブルの時、米国出張から帰って来た人々が口々に「米国はバブルではない」と言うので、出張していない人々の間で「出張しない方が目が曇らなくて良い」などと陰口を叩いていたものです。

■機関投資家はバブルでも買わざるを得ない


機関投資家の担当者は、常にライバルと比較されています。「バブルだ」と思っても、「バブルは必ず10年以内に崩壊すると確信しているから、買わずに現金を抱えています」ということは出来ないのです。仮にそんなことをしたら、毎月ライバルに負け続けて、10年経つ前にクビ(配置換え)になってしまうでしょう。

したがって、バブルが崩壊した後から振り返ると、機関投資家たちが先を争って高値掴みをしていた、ということになりかねないわけです。

しかし、個人には「買わない権利」があります。ライバルと比較されてクビにされてしまうリスクが無いのです。素人の個人投資家が、上記4条件を頼りに、バブル期に何も買わずに寝ているだけで、プロの機関投資家に圧勝する事ができるのです(笑)。

もっとも、相場が過熱している時には、初心者ほど「買いたくて仕方ない」衝動に駆られます。その衝動に勝つのは容易ではありませんが、一つ良い方法があります。「毎月一定額だけ投資し続ける」という自分なりのルールを作っておくのです。相場が過熱して買いたくて仕方のない時も、一定額しか買わないのです。そうすれば、バブルの被害は最小限に留めることが出来るでしょう。

■銀行はバブルに貸さないインセンティブあり


バブルか否か、誰もわからないとします。誰もが「9割の確率で、これはバブルではないので、地価は更に上がるが、1割の確率で、これはバブルなので地価は暴落する」と考えているとしましょう。

上記のように政府がバブルを潰すのは難しいです。投資家にとって、土地を買うことは合理的です。最高なのは、ペーパーカンパニーを作って銀行から借金をして土地を買うことです。「土地が上がれば投資家の儲け、下がれば銀行の損」だからです。個人としての銀行員にとっても、土地を買うことは合理的です。

しかし、銀行にとっては、投資家に金を貸す事は合理的ではありません。ましてペーパーカンパニーに貸すことなど、絶対に避けるべきです。土地が上がっても、銀行が得られるのは金利だけですが、土地が下がれば銀行は元本を失うからです。

バブルか否かわからない時には、銀行は融資に消極的になるべきなのです。銀行だけがバブルを抑える事ができるのです。しかし、前回のバブル時は、銀行は融資を積極的に行ってしまいました。さすがに前回の失敗から学び、「バブルか否かわからない時は貸さない」と決めた銀行が多いと期待したいのですが、昨今の銀行の積極的な融資姿勢を見ていると、そうでもないようですね。


【参考記事】
■ゼロ成長でも労働力不足なら、経済成長は無理なのか? (塚崎公義 大学教授)
http://sharescafe.net/49037456-20160712.html
■危機時に円が買われる真因は、過去の経常収支黒字 (塚崎公義 大学教授)
http://sharescafe.net/48952109-20160629.html
■アベノミクス景気は謎だらけ(塚崎公義 大学教授)
http://sharescafe.net/48918008-20160624.html
■株価が下がるほど売り注文が増える恐怖 (塚崎公義 大学教授)
http://sharescafe.net/48993614-20160706.html
■株価を上げた「黒田マジックの偽薬効果」が減衰 (塚崎公義 大学教授)
http://sharescafe.net/48963054-20160701.html

塚崎公義 久留米大学商学部教授

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