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参院選 改憲勢力3分の2確保 ―共産党「結社」に蝕まれていく民進党― - 屋山太郎

参議院選挙で自公を中心とする改憲勢力が議席の3分の2を占めた。衆参両院で改憲派が3分の2を獲得するのは戦後初めてだ。これまで改憲論議は発議できる可能性がない状況の中で繰り返されてきた。或いは発議しても差し障りのない項目のみが取り上げられてきた。しかし発議可能の状態になった現在、議論の焦点となるべきはやはり「9条改正」だろう。

 国際情勢は9条を掲げていれば平和を維持できるような情勢ではないことは誰の目にも明らかだ。中国の膨張は古来、中華思想からきており、これを防ぐ方法は武力による「防衛」しかない。丸腰でも大丈夫という人にはそれを証明する根拠を示して貰いたい。周辺国から圧迫されたわけでもないのに、中国はひたすら軍事力を増長している現実を日本はどう見るべきなのか。これまでのように目を瞑っていて事が済むのか。済まない状況になったらどうすべきか。現実を直視して判断しなければならない。こういう時に「9条さえ信仰していれば平和だ」という無責任は排除されねばならない。

 日本社会党は結党依頼「非武装・中立」を唱え続けた。これに合わせて共産党も「自衛隊解体」を主張してきた。だが共産党の本音は共産党の指揮する軍隊を作ることであって、終始、非武装でいいと言ってきたわけではない。ところが94年になって共産党は「9条に示されたあらゆる戦力の放棄は、わが党が目指す社会主義・共産主義の理想と合致したものである」として9条改正論を放棄した。言ってみれば社会党のご本尊を乗っ取ったのだ。これを契機に社会党はひたすらやせ細っていく。

 今回の参院選で共産党が持ち込んだ4野党統一戦線は実質、民進・共産の統一戦線である。共産党は社会党を乗り潰した同じ手で、今度は民進党に取りついたとしか言いようがない。

 しんぶん赤旗や党員数が激減する中で、共産党が生き残る道は社会党を取り込んだように、他党と連立を組むしかない。

 一方、民進党の立場だが、小選挙区制度をとる限り、必然的に二大政党制になる。その証拠にまだ政権党の資格が備わっていないのに、国民は民主党に政権を預け、ひどい失敗をした。自民党に不満がたまれば、国民は反対党に票を入れる。その時、国民は共産党と組んだ政党を選ばないだろう。共産党の組織は「結社」であって並の政党とは全く違う。自由な政党が共産党と連立、連合を組めば、一方的に操縦されることは目に見えている。

 民進党が政権党になる前提は「共産党と組まない」、「党内に共産分子を抱えない」ということだろう。イタリア共産党は政権をとるために「左翼民主党」と党名を変え「民主集中制」も廃止して普通の政党になった。それでも旧党名が邪魔になり、7年で左翼民主党を解党し、「左翼民主主義者」と党名を変えた。

 日本共産党は党首の独裁、民主集中制を墨守している。こういう「結社」と組んだ政党が育つはずがない。民進党の自覚を待つほかない。

(平成28年7月13日付静岡新聞『論壇』より転載)


屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。 著書に『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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