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つぶれたクルド共和国の夢

トルコの9日付hurryiet netは、イラクのクルド自治区のアルビルからの報告として、一時は実現するかと思われたイラクのクルド地域独立の夢は、石油価格の暴落と、クルド人間の対立、ISの台頭等で、夢に終わってしまったとの記事を載せています。

何故、今頃このような記事が載るのか(トルコ政府の後押しでもあるのか?)その辺は良く解りませんが、私のようにクルドについての知識に乏しいものにとっては興味深い記事なので、その要点のみ次の通り。

・3年前、原油価格が110ドルで、ISがまだそれほど威力を誇っていなかった時、そしてクルドの指導者の威信がまだ傷つけられていなかった時には、北イラクのクルド人の夢の「クルド独立」は実現するかと思われた。

バルザニ議長はオバマ大統領にあって、この夢を語ったほどである。

しかしその後5の要因が、この夢を大きく砕いてしまった。

・まずは原油価格の110ドルから26ドルの下落で、夢の実現どころか、クルド人の生活さえ大きく変えた。

当時「北のドバイ」と呼ばれ、建築ブームに沸き立っていたのが、今では立ち枯れの建物ばかりが目に付く。

当時クルド自治区は、イラク政府からの収入削減の危険や政治的対立の危険にもかかわらず、原油をトルコ経由で売ろうとした。

しかし、原油価格の急減は、地域の経済を直撃し、更に政治的な考慮から公務員とした150万人に対する給料の支払いにさえ事欠くこととなり、多くの建築現場が荒れたままにされている。

計画省によれば4000のプロジェクトが中止をなったが、そのうち500は学校である。

・政治的分裂も深刻である。

クルド自治地域には、、現議長バルザニのクルド民主党KDP,元議長タラバニの愛国クルド同盟PUK,タラバニから9年前に分離した改革運動Goran の主要3の勢力の他に、クルド・イスラム・ユニオンとクルド・イスラム・グループの2の小勢力がある。

しかし、クルド政治は極めて分裂対立し、おまけに腐敗している。

バルザニの任期は013年に終わるはずだったが彼は退陣を拒否し、さらに2015年にも、ISの脅威を理由として同じように拒否した。

政治的解決の努力は失敗し、クルド問題の解決のためには、アブリルとスレイマニヤとにそれぞれ2勢力が居座るという、連邦国家の中のもう一つの連邦という形しかない、という意見さえある。

・3つ目の理由がISの興隆だが、ISのモースル制圧で、クルド自治区のバランスが変わったとみられている。

ペッシュメルガの指揮官は、ISの脅威を前に、クルド勢力は協力できず、makhamourやsinjar を防衛できなかったとしている。

更にISのモースル占拠は、クルド地域に対する投資のリスクを拡大し、大きな経済的悪影響を与えることになった。

・もう一つの問題は避難民の問題である
クルド自治区の人口は550万人であるのに、避難民は180万人もいる。

おまけに彼らの大部分はシリアからの難民ではなく、イラクの他の地域からの避難民で、国連の救済事業の対象外である。

・さらに国際的にも、現在では米国をはじめ、ISとの戦いに影響が出たり、イラク政府を刺激することを危惧して、クルドの独立は支持していない
(書かれてはいないが、クルドの独立には、トルコは勿論、イランも大反対と思われる)
http://www.hurriyetdailynews.com/iraqi-kurdish-state-dream-crushed-by-low-oil-prices-political-division.aspx?pageID=238&nID=101348&NewsCatID=352

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