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60年前にもあった「改憲阻止選挙」

 きょうの朝日新聞に「3分の2で攻防60年前も」という記事が出ていた。ちょうど60年前の7月7日のトップ見出しが「憲法改正、是か非か」「争点は3分の2議席」だったというのだ。これは昭和31年のことで、自民党も社会党もそれぞれ統一して「55年体制」が出来上がった翌年に当る。当時の首相は鳩山一郎で、幹事長は岸信介だった。二人は「自主憲法制定という悲願」で一致していた。

 当時、衆議院での議席は、自民党が3分の2にわずかに足りない多数を占め、社会党は3分の1をぎりぎりで確保していた。自民党としては、まず参議院での3分の2をめざして、条件を整えようとしていたのだった。ところが自民党は、この選挙での重要政策の中には「憲法改正」を入れなかった。社会党はそこを突いて「憲法擁護」を選挙の争点とし、そこに労働組合、市民・女性・学生団体などが参加した。

 この選挙の結果は、社会党が議席を伸ばして3分の1以上となり、鳩山政権による改憲発議の道は閉ざされることになった。当時の国民はまだ戦争の記憶が新しかったから、争点隠しに失敗して憲法が前面に出たことで、強い反発を招いたのだった。これ以来、自民党政権にとって、憲法問題を持ち出すのは選挙の「鬼門」となって現在に至ってきた。

 ところが60年前と今年の参議院選挙とを比べると、衆議院ではすでに政権与党が3分の2以上を占めているのだ。改憲へのハードルはずっと下がって、この選挙が「最後の一つ」の状況になっている。そして安倍政権は争点を「アベノミクス」に集中させようとしている。さらに憲法についても多様な意見が出てきて流動化が起こりつつあるように見える。ただし第9条については、議論が刺激となって、逆に護憲意識が高まっている世論調査の傾向もあった。

 こうした中で選挙は大詰めに近づきつつある。この選挙は目先の政策を争うだけでなく、憲法という「国のかたち」を変えてもいいか、守るかという選択が第一義なのだ。後悔の残る選択をしないように、祈るような思いで見つめている、私はその一人である。

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