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- 2016年07月06日 21:22
障害×AI/IoT=イノベーション 「障害者」の視点が、日本のスマート技術を飛躍させる!
2/2IKEAはなぜあんなに人気があるのか?
日本でも人気のあるスウェーデン生まれの雑貨家具店「IKEA」。実はこのシンプルで美しくかつ安価なIKEAの商品は、元をたどれば、スウェーデンの障害者施策から来ているといわれています。1969年にスウェーデンが世界に先駆けて障害者法を制定しました。IKEAの商品開発においても、ユニバーサル・デザインを取り入れることにより、いかに障害者にとっても使いやすい商品であるかが検討されるようになり、その結果、シンプルかつ美しいデザインが、生まれたのです。
そのほかにも、イームズという有名な椅子があります。合板を加工して作ったイームズの美しいデザインは、戦争中に足を怪我した人のために、従来の金属製の添木があまりに冷たく使いにくいということから、合板を使って開発依頼されたものであり、それが現在のイームズのデザインの原点なのです。
さらには、日本のファンケルという化粧品メーカーでは、視覚障害の方の知見を活かし、シャンプーとリンスの形状を四角と三角にすることで、シャンプーしている際目を閉じているときでも、手の感触で区別ができ、シャンプーとリンスを間違えずに使える工夫をしています。
ここに挙げたものは、ごく一部の例に過ぎません。既に欧米、とりわけ北欧では、産官学の共同でLaboを設置し、商品開発の際に「障害者の使い勝手を調査してその知見を活かす試み」が、既に20年前から実施されてきています。
日本でも、同様の取り組みを、今度は、IoT・AI・Industry4.0の分野で世界に先駆けて実現したい、という考えが、スマート・インクルージョン研究会、「インクルーシブ・スマート」技術という考え方なのです。 リンク先を見る
イームズの椅子
「障害を持つ人たちの視点から」開発を!
ここ数年、日本の大手家電メーカーが、海外の会社に買収される、ということが相次ぎました。無論、もともと日本という市場に5~7つもの「総合家電メーカー」があること自体、普通ではなかったので、ある意味当然の結果とも言えますが、しかしながら、そこには今の製造業を含む、日本の企業の問題点が浮かび上がっています。その最も大きな問題点は、技術開発の「タコツボ化」です。
これは製造業だけでなく、専門分野が細分化された、理系・工学系の大学での研究開発においても同様のことが言えます。
それぞれが、いいと思うあるいは、興味のある商品開発分野に特化して開発しているのですが、それが本当に役立つのか、という市場ニーズの視点が欠けてしまっているのです。
また、IoT・AIの分野においても、いったい何のために、その商品、技術、システムを使うのかが、こちらは逆に明確すぎて、広い範囲でのいわゆる「汎用性」が不足している、という点です。
また、IoT/AIにおいても既存の自社技術を活かす、という視点のみに立脚し、トータルでの社会の自動化、という視点がないために、結局は単発技術の開発となり、他のよりネットワークに連動したサービスに負けてしまう、というものです。では、どのような視点で、技術開発をすればよいか?
その答えこそが、「障害を持つ人たちの視点から」開発する、ということなのです。 障害者のニーズは、個々の障害の区別はあったとしても極めて明確であり、それこそが、社会の自動化という課題を解決する手段そのものなのです。
ただ、そうした視点からの技術開発は非常にハードルの高いものになるといわざるを得ません。そして、だからこそ、日本の製造業が今チャレンジすべき目標ともなりうるのです。欧米の「ヴィジョン型の経営」が、テクノロジーの進んだ今、非常に力を発揮しています。ヴィジョン型とは、理想を掲げ、「こうあるべき」という明確な目標とヴィジョンを掲げて進んでいくやり方です。
日本はどちらかといえば、日々の業務の改善・改良を続けていく中で、現場から積み上げる、いわば「オペレーション型の経営」をしています。もちろん、ヴィジョンという日本人の感覚からすると絵空事のように思える「理想」を自ら構想し、実現するという故スティーブ・ジョブズのような経営は中々できるものではありません。
しかしながら、この障害者の視点という高いハードルは、求められる技術の高さゆえに、いわば理想であり、ヴィジョンに近いものだといえます。しかも、実際に社会ですぐにでも必要とされている、顧客ニーズそのものでもあるのです。
しかも、従来最も難しいといわれる知的障害こそが、これからのIoT・AIの時代には必要とされる存在、かつ視点であると考えています。
それは、AI(人工知能)が、今後のすべてのカギを握っているからなのです。
(次回へ続く)



