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初めて選挙に行く君へ、伝えたいことがあります。ブロガー議員が若者4人に教える、世界でいちばんやさしい選挙教室

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■第二部「選挙で2枚の投票用紙が渡されるって知ってる?」

おときた:選挙に行くべき理由がだいたい理解できたら、次は選挙に行った時にどうするか、という話をします。今回の参院選の場合、投票所に行くと2枚の投票用紙を渡されることになります。これ、なんで2枚渡されるのか、わかりますか?

妹尾:小選挙区と比例区があるから?

おときた:おっ、いいですね。政治学科の小木くん、その違いを説明すると?

小木:比例代表は全国を一区として政党または人に投票する形式なのに対して、小選挙区は選挙区ごとで人に投票する形式です。

妹尾:比例区って、個人に投票しても政党に投票してもいいんです?

おときた:参院選ではそうだね。ただし、衆院選の比例代表は政党だけです。これは後ほど解説するとして、まずはなぜ小選挙区制と比例代表制の2つの制度があって、なぜ日本はこの2つでやっているのかということを説明しましょうか。
 まず、政党って何か、わかりますか? 

三上:チームみたいなこと?

おときた:そう、おおむね正解です。野球のチームみたいな感じで、同じ思想の持ち主がなんとかその思想を実現させようと思って頑張っているのが政党です。日本にはいろんな政党があるんだけど、比例代表ではこの政党に投票していくわけです。
 一方、小選挙区は人に投票します。例えば、A・B・C・Dの4つの政党の人が立候補したとしようか。投票の結果、A党が40%、B党が20%。C党、D党も20%の票を集めたとすると、小選挙区で当選するのは誰でしょう?

妹尾:A党?

おときた:そう。すると、大体どこの選挙区でも似たような結果が出て、A党が過半数の議席を獲得するわけです。つまりA党が意思決定権を持つことになるけど、A党の支持率は40%、つまり過半数の支持を得ていないんだよね。A党は40%の人からしか「お前に任せる」とは言われていないのに、全体の意思決定ができてしまって、60%の意思は無視されてしまうという、おかしな状況が発生してしまいます。
 それで、「これって本当に民主主義として正しいの?」「少数派の意見ってどうなっちゃうの?」という疑問が噴出した結果、編み出されのが比例代表制度なんですね。
 比例というと、何かと何かが比例するって言いますよね。これ、何と何が比例しているかわかりますか。小木くん。

小木:票数と、代表する人の人数?

おときた:そう。票数というのは、つまり?

小木:……意見の大きさ?

おときた:そう。比例代表制では、票数と民意が比例するわけです。だから全部比例代表制で選挙をすると、もし議席数が10席で、A党、B党、C党、D党の支持率が40%、20%、20%、20%なら、各党4人、2人、2人、2人が国会議員になるわけです。国会でちゃんと少数者の20%の意思がしっかり比例して反映される。これが比例代表のとてもいいところです。
 でも、これにも欠点があります。例えば比例代表制で4人、2人、2人、2人という結果が出て、小さいけど国会を開くとします。議題が安保法案とかいろいろあって、わーっと議論が起きたときに、じゃあ多数決で決めましょうとなったら、これ、決まるでしょうか。

妹尾:A党が勝つ?

おときた:いや、過半数を取っていないので、A党だけでは勝てないね。B・C・D党が反対で、A党だけ賛成だったら、負けるときもある。比例代表制だけだと、意思決定が非常に怪しくなったり、時間がかかりすぎたりするわけです。
 これが小選挙区でやれば、ほとんど10人中8人がA党になるわけなので、とにかく意思決定がスムーズ。A党が賛成って言ったら、他の党の意見は全部無視して決まってしまうわけです。一方で比例代表は少数派の意見も重視するから、バラけてしまってなかなか結論が出せない。
 これが比例代表の欠点です。だから、メリットとデメリット、一長一短があるのが小選挙区と比例代表なんですね。
 小選挙区はアメリカとかイギリスで採用されていて、比例代表はヨーロッパが中心。で、日本はこれを見ていて思ったわけです。どっちも欠点あるな、なんかこの欠点を解消する方法ないのかな、と。そういうとき、日本人ってどうする?

妹尾:……どっちも?

おときた:そう、そういうことなんです。折衷案。日本はハイブリッドなんです。両方のいいとこ取りをしようということで、小選挙区比例代表並立制になった。
 そうすると、4党のパワーバランスが40%、30%、20%、10%だとして、小選挙区は50議席、比例代表は20議席を決めるとする。小選挙区だと、30人、20人、0人、0人。比例代表の20人は支持率に比例して8人、6人、4人、2人。ということで、この支持率が低い20%とか10%とかしか票が取れない人たちも、4人と2人の代表者を国会に送り出せますよね。プラス、この最大与党、一番でかいA党は30人+8人で38人いるので、70人中の過半数をとっている。少数者の意見も聞き入れつつ、意思決定もちゃんとできる。そういうハイブリッドができるのが、日本の小選挙区比例代表並立制というしくみなんです。

2枚の投票用紙を最大限活用する方法

おときた:この制度というのはすごく面白くて、小選挙区ではA党に入れるけど、比例代表ではB党に入れる、ということもできる。小選挙区では1人しか受からないから、どんなに頑張ってB党に入れても、いわゆる死票になっちゃう可能性が高い。だから、あえて受かりそうな人に入れるか、接戦のときにどっちかに入れて、勝たせようとするか。
 比例代表というのは、小さい政党に入れると効果が高いです。小選挙区では勝ちそうにないけど、どうしても○○党が好きで彼らに頑張って欲しいというのだったら、比例代表で入れれば1議席とか2議席とか取れるかもしれません。
 こういう投票行動を戦略的投票といいますが、たった1票でも戦略をもって投票することで、うまく自分の思いを託す代表者を国会に送り込むことができるわけです。

質問者:比例で1枠とったとしても、そんなに影響力がないような気がしてしまうんですが、実際はどうなんでしょうか?

おときた:1人でも、参議院では結構力を持っています。たしかに総理大臣と議論するような時間はもらえないですが、議員はいつでも質問主意書っていう紙で官僚組織に質問できるんです。そうすると、官僚は質問主意書に大臣の誰かの印鑑付きで答えなきゃいけない。それを出しまくることで、世論の力を借りて政治を動かしていくことができるんです。
 福島みずほさんとか山本太郎さんとかは、それでめちゃくちゃ活動している人たちです。官僚組織にとってはそういう人が1人でもいるとものすごく大変なので「嫌がらせ」という言い方もありますが、それをちゃんとネットで公開して、「こんなとんでもない回答が返ってきた」とバンバンやって議論を焚きつければ、それで世論に影響を与えることができる。それは全然一人でもできます。なのでそういう意味では、比例代表は結構いい制度だと思います。

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