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選挙はイメージがすべて! 候補者の良さをどうアピールするか - ビジネス視点で読み解く「プロジェクト・選挙」【2】

ジャーナリスト 山田厚俊

選挙運動期間中、金品の受け渡しはご法度

選挙には、さまざまな役回りの人たちがいる。選挙を扱った小説『当確師』(真山仁・著、婦人公論新社)に登場するような選挙コンサルタントもいれば、秘書だったり、ボランティアだったり。そこで、選挙事務所のスタッフと役割を見てみよう。

衆院選や知事選などの大きな選挙の場合、選対本部長という肩書きの人が鎮座していることがある。地元選出の国会議員だったり、古株の県議というケースが多い。ある意味、この人たちは“名誉職”。地元ネットワークで「私が応援しているから、よろしく頼む」という役柄だ。事務所によっては、置いていないこともある。

続いて、事務局長。実質的な選挙事務所統轄者と見ていい。選挙を熟知する人で、人の差配や選挙動向のチェックをしながら、今後の戦略を指示していくゲームメーカーだ。アメリカンフットボールに例えれば、攻撃の要、クォーターバックといっていいだろう。

そして、実働部隊に秘書やボランティアスタッフといった具合だ。秘書は各メディアから依頼されたアンケートの書き込みだったり、相手候補の情報を収集したり、選挙カーのルートを作ったりする。また、地元の支援者と候補者を結ぶ役目も担っている。ボランティアは、名簿を元にして投票の“お願い電話”をかけまくったり、ハガキの宛名書きをしたり、来訪者へのお茶出しをしたり。

ところで、『当確師』では、こんな一節がある。

<そもそも日本では、選挙コンサルが真っ当な報酬を受け取りにくい法律になっている。告示した段階で、候補者の周囲で報酬を受け取れるのは、ウグイス嬢や運転手くらいだ。>

そう、選挙の大きなルールとなる公選法では、選挙運動期間中、基本的に金品の受け渡しはご法度。選対本部長も事務局長も秘書もスタッフも皆、無給で働いている。ウグイス嬢や運転手は例外的に認められているに過ぎないのだ。

では、この中に選挙コンサルタント、選挙プランナーと呼ばれる人たちはどうなのか。もちろん、告示前までに契約を結び、報酬を得ることはあるが、期間中は事務所に入っても名目上はやはりボランティアスタッフということになる。

マーケティングとPR方法が当落を決める

ある選挙プランナーは、その役割こう語る。

「大きく分けて3つあります。一つ目は、コンプライアンスの徹底。新人候補ですと、ルールを全く理解していない場合が多い。なので、出来ること、出来ないことを一から教えることから始まります。

続けて、スケジュールと予算のマネジメントです。告示直前に出馬を決めた人に、告示前と後で出来ることの確認をし、どう戦略を立てていくのか。また、昔の選挙はどんぶり勘定だったりしますが、今はおカネの透明度が重要です。しかも、おカネが無い人でも立候補する場合、どうすればいいのか。その予算組みをして、最大限効果のあることは何かを確認したりします。

そして最後は具体的なマーケティングとPR方法。地域によっても、相手候補によっても、戦術はさまざま。同じ選挙はありませんから、その都度、一から組み上げていきます」

新人候補の場合、選挙カーをどう手配すればいいのか、その費用はどれくらいかかるのか、何一つ分かっていない。その説明から、候補者の特徴、強みを見い出してプランを練っていく。

イケメン候補の場合、爽やかさを前面に打ち出そうとすれば、短いヘアスタイルで白を基調とした服装とか、自転車に乗って有権者と接する機会を増やすとかが考えられる。

一方、ベテランだけど選挙に弱いオジサン候補には、若くて張りのある声のウグイス嬢に名前を連呼させ、本人は車窓から手を振るといった具合だ。

イメージ戦略は、物販でも基本中の基本。その商品の良さをどうアピールしていくかが、重要なのである。

選挙においてイメージ戦略の要となる一つが、「カメラマン」の存在だ。前回、ポスターの重要性を書いたが、ポスターのメインは候補者のアップの写真だからだ。ポスター撮影を依頼された候補者の9割が当選を果たしている“当選請負カメラマン”はこう語る。

「候補者の顔がいいか悪いかではなく、どんな考えを持ち、何を訴えていくのか。プランナーと同じように、膝を突き合わせて話を聞き、そのイメージに合った写真を撮るよう心掛けています」

1枚の写真で判断される怖さを知っているからこそ、慎重な態度で臨み、最高の1枚を撮るのだという。

スピーチライターの導入もその一つ。しゃべり方や公約の説明をどうやれば、より効果的かをリサーチして候補者にレクチャーしていく。話し方教室では、こんな指導をすることがある。キーワードはひと呼吸置いて、ポンと強く言う。その際、身振り手振りを交え、周囲を見渡すと効果がある、といった具合だ。

言い換えればイメージ戦略は、「商品パッケージ」。候補者の強み、良さを最大限引き出すことが、有権者に1票を投じさせることとなるからだ。そのために裏方部隊は、与えられた持ち場で精一杯努力を続けているのである。

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