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バングラディシュのテロでJICA関係者が犠牲になったことについて

 バングラディシュの首都ダッカで起きた立てこもりテロは、邦人7名をふくむ人質20名と警官2名が死亡するという、大変痛ましい事件となりました。まずは犠牲になられた方々に、心から哀悼の意を表します。

 先日より世界各地でIS主導のものとみられるテロが相次いでいます。6月28日にはトルコのイスタンブールで空港で45人が犠牲となる事件が起こり、バングラディシュの事件が7月1日、さらに3日未明にはイラクの首都バグダッドにて大型トラックが爆発し、165名が犠牲になられたという報道が出ております。また4日にもサウジアラビアで自爆テロが相次いで起こり、聖地メディナでは治安部隊4名が亡くなられたと報じられております。国際情勢の不安定さが、ここにきて一層露わになってきています。


 今回、バングラディシュの事件でお亡くなりになった方々は、国際協力機構(JICA)の関係者の方々だと報じられておりました。このことは、今回の事件について、非常に憤りを感じさせるところです。

 JICAという組織は、日本の政府開発援助(ODA)などを通じて、これまで様々な形で発展途上地域への援助を行なってきました。JICAは、単なる経済援助ではなく、現地の人々と対話・協力しながら、現地のこれからの発展につながる援助をする、という方針を掲げて活動を続けてきましたし、こうした開発援助の目的のひとつは、世界のグローバル化のマイナス側面であるテロ、貧困、衛生問題などを解決することでもありました。ひとり一人の人間を「恐怖」や「欠乏」から救うという、その理念は誰もが賛同すべきものであります。そして、その活動から生まれる人同士の地道な交流が、相互の文化理解を促進し、各国との関係の基盤となる。JICAとは、まさに日本が誇れる、日本の外交姿勢を象徴するような組織だったのです。

JICAのビジョン





 JICAの活動の性質上、JICAが関わる地域には治安の悪いところも多く、そのためJICA関係者が犠牲になった事件は今回が初めてというわけでもありません。これまでも、ペルー(1991年)、タンザニア(1998年)、キルギス(1999年)などで、JICAから派遣された技術協力の専門家やコンサルタントの方々が巻き込まれる事件は起こっていました。しかしそうした危険にもかかわらず、JICAの方々は国際協力という崇高なヴィジョンを掲げて、活動を続けてこられたわけです。JICAのこうした活動をふまえると、今回、そのJICAの方々が無残な殺され方をしたというところには、強い憤りを覚えます。
 もちろん、今回殺害された方々は、JICAの関係者だったから殺害されたというわけでもないでしょう。また、今回の事件を単純にイスラム教という宗教のせいにするのも間違っていますし、ここから安直な排外主義に姿勢を転換するのもおかしな話です。そこは気をつけなければならない。ただ結果として、現地の人々のために崇高な理念をもって活動していた方々が、無残な形で犠牲になってしまった。そのことには何とも致し方ない気持ちにならざるを得ません。


(なお今回政府は、犠牲者の方々の氏名を公表しないという対応をとっています。犠牲者やそのご家族のプライバシー保護という観点からも、これは適切な対応だと思います)。

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