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マックス・ヴェーバーの正論と、それでは持たない日本

「政治とは、情熱と判断力の二つを駆使しながら、硬い板に力をこめて、じわっじわっと穴をくり貫いていく作業である。」
~ マックス・ヴェーバー『職業としての政治』より ~

間もなく参院選の投開票が行われる。

巷間では、自民党が単独で過半数を制するかどうか、改憲勢力で2/3以上の議席を獲得するかどうか、などが焦点とされている。仮に、これらのハードルがクリアされた場合、安倍政権は、普通に考えれば、大きな力を得ることは言うまでもない。

仮に大勝利となれば、2年ほど、国政選挙がない期間を得ることになる。仮に、よく言われるように、年内のどこかで衆院の解散総選挙に打って出るとして、それにも勝利するとなると、次の参院選までの3年弱もの間、基本的に選挙の心配は不要となる。こうした安定的な期間に、憲法改正や増税等の不人気施策、本当にやりたいこと・やるべきことを実現することができるわけである。

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ただ、不謹慎であることを承知で言えば、正直、参院選の動向にも、こうした情勢分析にもあまり関心が持てずにいる自分がいる。

仮に、この一見巨大なポリティカル・アセット(政治的資産)を使って、憲法改正に道筋を付けるとしても、それだけで資産は食いつぶされてしまう。本来であれば、農業や医療や教育など、多くのセクターで抜本的改革が必要であるが、高度に大衆化していて、毎月のように支持率調査が行われる昨今、敵を作る改革をいくつも実行するのは容易ではない。もちろん、インパクトは異なるが、例えば、憲法より先に農業改革に本腰をいれる場合でも、それはそれでかなりの「資産」を食いつぶす。

政治・行政のこれまでの常識から考えると「とてつもない」改革であっても、部分的変革では、もはや日本は持たない。農業従事者の高齢化が進み、農地は荒廃し、人口は減少し、各種後継者不足等で地方は疲弊・衰退し、医療費は天井知らずで、財政悪化にはなかなか歯止めがかからない。

アベノミクス(端的には金融緩和)の効力にも陰りが見える中、このままでは日本の先行きが暗いことは、段々と、多くの国民の目に明らかになりつつあり、さりとて、「安倍長期政権」という選択肢以上の有効な策が現実的には持てない中(このタイミングでの民進党政権などは最悪であろう)、本質的には「解なし」と言った状況である。

そうなって欲しいわけではないが、何らかの形でやってくる「破綻」を、少しでも引き延ばしつつ、基本的には座して待つしかない気もする。
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冒頭のマックス・ヴェーバーの至言のとおり、少しずつしか動かない政治の本質を理解しつつも、物事が大きく動くかもしれないとの期待をもって、青山社中の起業以来、約5年にわたって、与野党を問わず、次世代を創って行く方向で頑張られている様々な政治家・政党(グループ)を対象に政策作りをしてきた。

2年半前に国会の参考人を務めた公務員制度改革のように、私自身が表に出ることもあれば、裏方に回って、大胆な改革案を、主要政党の公約その他に盛り込もうとしたり、政権要路と議論しながら実現しようとしたりしたこともある。

ただ、何十ページにもわたってまとめた「大胆な出生率向上策」にしても、10年近く前から温め続けている「霞が関構造改革策」にしても、クライアントからフィーをいただいて政策を提供している立場では、本質的には「じわっじわっと穴をくり貫いていく」端緒につくことすらできない。失礼を承知で言えば、いわんや陣笠議員をや、であり、政治に打って出るのもあまり意味がない。

最近では、クライアントから自由になって、現役官僚や官僚OBの青山社中リーダー塾生などと、新たな政策提言型のシンクタンク・研究所を創設することなどを夢見て、あれこれ議論はしているが、悲しいことに、先立つものがない。

私に20億円、せめて10億円があれば、例えば、活きの良い若手の官僚を5~10人ほども研究員として雇って政策曼荼羅(マンダラ)図を策定した上で、総合性と個別感を持った政策パッケージを作り、来るべき乱世に備えることが出来るのだが、現実は甘くない。

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各国民の意識がだんだんと内に向く → 戦争のような極端な国家間対立と破裂 → 国際的な協調路線 → 各国民の意識がだんだんと内に向く・・・・、という繰り返しで世界史が巡る中、イギリスのEU離脱、トランプ現象(米国の利益が損なわれいてると極端に強調)、中国の海洋を中心とした対外強硬策など、各国の「内向き」状況が、最近、明白になってきている。

国際的な趨勢と軌を一にする形で、日本国民の「内向き」化も、だんだん顕著になってきていると個人的には感じているが、「破綻」を迎える前に、或いは、せめてその直後にでも、「大胆な抜本的解決策」を提示しつつ実現に動いて、マックス・ヴェーバーの箴言にチャレンジしてみたいと思う昨今である。「硬い板」を叩き割らないと、日本の未来はないと思う。

筆頭代表・CEO
朝比奈 一郎

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