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原発事故中間まとめ(6) 重大事故研究は単色だった

原子力では原発の「シビアーアクシデント」、つまり「重大事故」の研究はかなり行われていて、原発に関係している人は、「こんな事故など起こらないのに、研究するだけバカらしい」という雰囲気すらあった。

そして、重大事故では「止める、冷やす、閉じ込める」という3原則が立てられると、多くの人がこの「標語」に惑わされて、思考が停止していた。

つまり、目の前で何が起こっても「止める、冷やす、閉じ込める」ということしか言わず、またそれを言わなければ専門家では無いという雰囲気すらあった。

今回の福島原発事故でも、テレビに登場した「専門家」と言われる人たちは、そろって「原発事故の原則は「止める、冷やす、閉じ込める」ということです」と言い、原発の内容を理解しているわけではないアナウンサーや解説者もそれに同調していた。

でも、この3原則は「事故が起こっても、放射線漏れを最小限に食い止める」という目的を持っていて、今回の事故のように「京ベクレル」規模の漏洩が起こる場合は適切であるかどうか、不確かである.

・・・・・・・・・

どんな場合でも、「事実」に即した「対策」が求められるのであり、「原子炉を冷やすことができる」ことが前提で「止める、冷やす、閉じ込める」という3原則が成立するのであり、「冷やす」ことが出来なければ、もしかすると「止める」ことすら不要なのかも知れない。

こんなことを言うと、「核爆発(核反応、臨界)を止めなければ大変なことになる.冗談じゃない」という反論が起こるだろうが、科学や安全というのはなかなか難しく、軽々しく新しい考え方を否定してはいけない。

科学の世界では、

1) 反論を良く聞かない、

2) 自分が偉いと思う、

3) 「考え」ではなく「人間」を批判する、

ということは好ましくない。その典型が、

「そんなことはないよ。私は専門家だから。第一、君は・・・」

という言い方だ.

「良く聞く、疑問は丁寧に答える、相手を否定せず論を批判する」

という鉄則で進みたい。

・・・・・・・・・

3月11日夕刻、原子炉の冷却が不可能であることが判ったとき、

1) 直ちに発電所の東電社員(誰でも良い)から地元消防へ「原子炉が爆発する危険性がある」と通報すべきだった、

2) 原子炉内の水を抜き、燃料をメルトダウンさせる、

というのがベストの方法だったとも考えられる.

最初の通報についてはすでに述べた。このブログで40年前の化学工場のしきたりを説明したので、現在、職務に当たっている人に、今の状態を確認してみたが、

「1990年代に1度、緩んだが、今では事故を直接、社員から消防などに通報するように指導している」

とのことだった。今でも化学工場の方が原子力発電所より立派だった。

少し脱線するが、なぜ化学工場の方が原発より市民の安全を考えているかということをディスカッションしたところ、結論としては「化学工場の方が電力会社より貧乏だから」、つまり「お金がなく政治的な工作ができないから」ということになった。

お金は人の心も、企業の繁栄も滅ぼす・・・

・・・・・・・・・

日本で稼働している軽水炉は、

1) 燃料としてウラン235が4%ぐらいのものを使っていて、大規模な核爆発は起こらない、

2) 水を減速材に使用すれば、小規模な核爆発を起こすことができ、それによって発電できる、

3) 核爆発が止められなくなると、減速材の水が蒸発して、自然に減速効果を失い、高速中性子が多くなって、核爆発が止まる、

と専門家は考え、「軽水炉は安全だ」という論拠にしてきた。

このことと「止める、冷やす、閉じ込める」という3原則は明らかに矛盾している.

大規模な核爆発が起こらないなら、「止める」必要は無く、水がなければ減速しないので核爆発は起こらないなら、「水で冷やす」というのは間違っているし、自然に核爆発が止まるなら「冷やし続ける」ということも要らないからだ。

このように考えると、シビアーアクシデントの時の対策は、冷却できるときと、冷却できない時に別れることになる。

もう少し深く考えてみたい。

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