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英国君の大冒険

 昔々あるところ、EU組というヤクザの組織がありました。EU組は、資金力や収益力の高さに加えて、民主的な組織運営が有名でした。組合規則の下の平等や仲裁裁判所による不満処理がなされるなど,まさに夢のヤクザ組織でした。しかし、組合員の数が多くなるにつれて懐事情が悪くなり、組合員の中でも不満が溜まるようになりました。

 一番文句を言っていたのは英国君でした。英国君は能力が高く仕事もよくできましたが、プライドが高く性格が悪い奴でした。EU組への上納金の額が高すぎる、他の組合員の仕事が遅い、自分の意見が意思決定に反映されない、などずっと文句を言っていました。EU組の幹部のドイツさんとフランス君は、英国君のことを好きではありませんでしたが、その仕事ぶりは高く評価していたので、上納金の額を低くしたり、EU組の家の大きな部屋をあげたり、特別な待遇を与えていました。

 それでも英国君のイライラは止まりません。フランス君が作る農作物が高いとか、ドイツさんが自動車を作りすぎだとか、ギリシャ君は怠けものとか、ポーランド君のいびきがうるさくて眠れないとか、若い組合員のブルガリア君やルーマニア君の素行が悪いとか、その文句はとどまることを知りません。そして、英国君は「もっと大きな部屋に変えろ、上納金を減らせ、さもないと出て行く」と脱退を盾にして恫喝を始めました。EU組の組合員の多くは「英国君、脱退するな」と必死で懇願しました。一番仲良しのスウェーデン君、二番目に仲良しのオランダ君は、英国君がいなくなれば、フランス君やドイツさんが威張り始めて困ると思っていたので、 涙ながらに思いとどまるようにお願いしました。

 スウェーデン君とオランダ君からの慰留願いには後ろ髪を引かれましたが、もう耐えられませんでした。「お前らなんてオワコンだ、すぐに脱退してやる」と暴言を吐きました。EU組の組合員は、英国君の傍若無人な態度についに堪忍袋の尾がブチっと切れました。そして、「お前が出て行くなら出て行ってもいいが、今すぐサインしろ」と脱退契約書を突きつけました。

 英国君は急に怖くなって「まだ心の準備ができていない。もう少し待ってくれ」と言い始めました。このヤクザな世界は一人で生きるには厳しいところです。中国組やロシア組とも戦わないといけません。 きちんと準備をせずに脱退すれば、命に関わると心配になってきました。

 英国君は、EU組の家の隣にあるノルウェー君やスイス君の小屋を訪ねました。英国君は、ノルウェー君やスイス君が豪勢な生活ができていることを不思議に思っていました。ですが、ノルウェー君やスイス君からは、英国と同じくらい上納金を支払っているが、EU組は全然意見を聞いてくれないし反映されていない、実はチャンスがあれば正式な組合員になりたいと思っていることを聞きました。英国君は、隣の芝は青く見えること、EU組がいかに自分を守ってくれていたか、大切にしてくれていたか、いかに民主的なヤクザ組織だったのかに気が付きました。

 そして、英国君はEU組の組合員の一人一人を回って土下座して謝りました。こんなやつを許せんと怒っている組合員もいましたが、ドイツさんがみんなを説得しました。英国君との脱退契約書はそのまま破り捨てられ、この大騒動は無かったことになりました。

 その後、英国君は心を入れ替えて働き、EU組の発展に大いに貢献しました。

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