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ワーキングマザーにこそ必要なボスマネージメント(後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)

先日、働く女性を支援するNPOでのセミナーで参加者に職場の問題を聞いたところ、案の定、こんな答えが返ってきた。

仕事と育児の両立ができるか、不安。業務量と人手の釣り合いが取れていない。女性の離職率が高い。このままでは繁忙期を乗り切れず、時短で帰れるか不安etc.

女性活躍が成長戦略として動き出した2013年以来、職場の問題は未だ変わっていない。職場の問題を解決するには、もちろん、職場運営をするマネジャー自身が学び、考え、問題解決に踏み出さなければならないが、マネジャー任せにもしていられない。

これまで組織の中心的役割を担ってきた男性、女性自身を含めた3者がそれぞれに当事者として、職場の変革を実行していく必要がある。そのためのひとつの思考の枠組みとして、ここではボスマネージメントを紹介したい。

確定概念はないが、ここでは、ボスマネージメントを、①仕事の成果を上げるため、②ボス(職場の上司、マネジャー)を知り ③自分を知り ④ボスと協調関係を築く方法、と定義づけておく。

■知るべきことは何か
1.ボスの何を知るべきか
私たちは、ボスの何を知るべきであろうか。ボスマネージメントが仕事の成果を上げるための協調関係の構築の方法である以上、仕事に関する事項を知る必要がある。

ボスが運営する職場の使命(ミッション)、職場全体の業績目標、プレイイングマネジャーであれば、ボス自身が課されている業績目標も知る必要があるだろう。また、ボスが部下に求めている役割・能力は、その下で働く人間が知らねばならない事柄だ。

果たして上記の事項のどれだけを知っているだろうか。これらを知らずして、ボスと方向性を合わせることは難しい。

2.自分を知る
職場における自分の特徴を知っているだろうか。例えば、チームにはリーダーとフォロワー(追従者)がいる。フォロワーのタイプをリーダーへの批判と支援の高低で分類したのが下表になる。

アイラ・チャレフ(「ザ・フォロワー」ダイアモンド社刊)によれば、各々のタイプには以下の特徴があるという。

第1象限 パートナー
リーダーを精力的に支える。誤りに対しても意義を唱える勇敢なフォロワー。
第2象限 実行者
リーダーが望むフォロワー像。監視をしなくとも職務遂行するが、組織の過ちを正せない。
第3象限 個人主義者
服従心が乏しく、率直な言動をとる。組織を揺さぶる必要な存在だが、組織が足並みをそろえる場合は邪魔となる。
第4象限 従属者
給料に見合う働きをするが、それだけ。自己の成長も組織への貢献も望むことができない。

さて、現在、自分はどの象限にいて、どのようなフォロワーとなりたいか。自分のめざすキャリアの方向性と自分の置かれた環境から考えてみては如何だろうか。

■ワーキングマザーこそ、職場でプライベートを語ろう
育児休暇から復帰したばかりで体がまだ慣れていなワーキングマザーは不安の真っ只中にいる。中には、「私はしばらく従属者で結構」、というワーキングマザーもいるだろう。

しかし、富山県小児科医会の調査によれば、子どもが体調を崩して休園する日数は平均で0歳児で月に2.52日、1歳児で1.77日。年間では0歳児の場合、30.24日、1歳児で21.24日、保育園を休むこととなる。

これだけでもワーキングマザーの職場への気兼ねは大きく、職場への影響も大きい。個人の事情と職場の在り方をすり合わせは不可欠となる。

働きながら子育てをするということは、子育てというプライベートな家庭の問題を、仕事とプライベートがリンクする問題へと移行させた。ワーキングマザー(ワーキングファザー)は、この点に気付いて、コミュニケーションをとっているだろうか。家族の問題も自分の望む働き方も、おかれている状況も、仕事や家族への思いも、職場で明かさなければ、「子育て中のママ」という型にはめられ、一方的な決めつけとそれへの不平不満が募るばかりではないだろうか。

ある著名な経営学者がいったように、組織内の摩擦のほとんどは互いの相手に対する無知・無関心にある。大切にしているもの、仕事の仕方を聞きもしなければ、知らされもしない点にある。

■成果を上げる職場の仕組みづくりはボスの責務
仕事と生活を単純に分ける二分論的思考はもう止めては如何だろうか。このふたつの調和を図る場こそが、職場だ。そして、成果を上げる職場の仕組みを作る責務を負っているのがボス=マネジャーである。そのボスに積極的に関わろうとする姿勢が、ワーキングマザーの不安・不満の解消の第一歩になる。

大切なのは、誰と、何を、誰に対して、どのように、訴えかけていくかを考え、行動することだ。状況を動かすポイントを探し、働きかけることだ。幸いにも、女性活躍推進のために、女性の活躍を受け入れようという土壌は整いつつある。

成長戦略という経済政策として始まった女性活躍は、待機児童問題や組織における性差による不合理な差別の実態といった社会政策の側面を置き去りにし、働きながら子育てをする世帯に負担を強いている。しかし、政策の当否を語るのとは別に、自分を取り巻く職場環境の変革にもう少しだけ積極的に関わっては如何だろうか。ひとりで全てをする必要はない。仲間と、集団と協働しながら出来ることを、きっと探せるはずだ。

【参考記事】
■女性活躍の本質 ~「男性と違う何かをする必要はない」を書いて改めて思うこと~(後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)
http://redesign64.jugem.jp/?eid=101
■インタビュー事例紹介 待機/職場復帰の不安(後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)
http://blog.redesign-a.com/?eid=108 
■「管理職になりたくない」部下をもったなら (後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)
http://sharescafe.net/47559416-20160118.html
■映画「マイ・インターン」に学ぶ男性メンターの心得(後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)
http://sharescafe.net/46638195-20151020.html
■女性の要望を男性はどこまで推し量れるのか(後閑徹 人材・組織開発コンサルタント)
http://sharescafe.net/48717990-20160530.html

Redesign Academia 代表 人材・組織開発コンサルタント 後閑徹

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