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焦点:EU離脱後も米英の「特別な関係」盤石、2国間協定に現実味

[ワシントン 27日 ロイター] - 先週23日に実施された国民投票で、英国民は欧州連合(EU)離脱という道を選択したが、米政府が英国との貿易関係を軽視することはなさそうだ。両国の緊密な外交、軍事上の関係が損なわれた場合のコストを踏まえると、米英の「特別な関係」は今後も揺るがないと見られる。

オバマ米大統領は国民投票前、英国がEU離脱を支持した場合は、米国との貿易交渉で列の後ろに並ぶことになると警告。英国との協議は、現在交渉中である米EU貿易協定のかなり後になるとの見方を示した。

ただ、離脱決定に対する金融市場の動揺が大きいことから、米当局者からは米英の「特別な関係」を強調する発言が出始めている。

安全保障や通商の専門家らによると、米政府は英経済が悪化し、北大西洋条約機構(NATO)と米国が主導するテロとの戦いに英国が寄与できなくなる事態を懸念しているという。英政府は以前、国内総生産(GDP)の2%を国防に費やすと宣言したほか、新たな原子力潜水艦の導入も計画しているが、経済が弱体化すれば実行は難しくなる。

米国のNATO大使を務めたニコラス・バーンズ氏は27日、大西洋評議会のイベント後に記者団に対して「英国はより小さく、より弱くなる可能性がある。そうなれば、国防支出などを維持できるのか疑問だ」と指摘。「これが、われわれが英EU離脱で心配していることだ。英国はEU加盟国の中で米国の最強のパートナーだった」と述べた。

一部の通商専門家は、英国の離脱が決まった今、米EUの環大西洋貿易投資協定(TTIP)交渉はさらに時間がかかる可能性があると指摘。米国が先に英国との2国間協定を目指すこともあり得るという。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ゲーリー・ハフバウアー氏は「『列の後ろ』発言は遅くとも次期政権発足までには忘れられる。英国がEUからいなくなれば、TTIPは死んだも同然」と話す。

米通商代表部(USTR)次席代表を務めたミリアム・サピロ氏は、米国にとっては、自由貿易に積極的で「気心の知れた仲」の英国と2国間貿易協定を結ぶ方が簡単かもしれないと指摘。「米英の協定がまとまれば、TTIP交渉の加速につながる可能性もある」と述べた。

<『特別な関係』>

米国のルー財務長官とケリー国務長官は27日、ブレグジット(英EU離脱)によるダメージを抑制すべく、公の場で相次いで発言したが、両者とも対英貿易に関するオバマ大統領の警告には言及しなかった。

ルー長官はCNBCの番組で、EUとの貿易交渉はもう何年も続いており、引き続き優先されると強調。しかし一方で、EU離脱条件の合意後に、英国と個別に交渉する可能性も排除しなかった。

長官は「英国との個別交渉は、英・EUの合意次第となる」とし、「開かれた貿易関係を維持することは、すべての関係国の利益にかなう。米英の関係は特別で深いものであり、今後も続く」と主張した。

また、米ホワイトハウスのシュルツ報道官も、米英の経済関係について「引き続き強固。特別な関係は投票の影響を受けない」との姿勢を示した。

戦略国際問題研究所の欧州プログラムディレクター、ヘザー・コンリー氏は、米政府が英国との「特別な関係」を強調していることについて「経済の安定化を狙った」と指摘。英国は離脱を選んだことで既に市場から罰を受けているため、オバマ政権が追い打ちをかける必要はないと述べた。

(David Lawder記者 翻訳:吉川彩 編集:橋本俊樹)

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