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「景気下振れリスク」に政策の軸足を移す国際社会に「ドジョウ総理」が示す「景気下振れリスク」を強める「国際公約」

突然打ち出されたギリシャによる「国民投票計画」の波紋が広がっている。

ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は「ギリシャがユーロ圏にとどまることを望んでいるが、是が非でもとどまるべきとは言えないと」述べ、ギリシャのユーロ圏離脱の可能性にまで言及した。

さらに、ギリシャのパパンドレウ首相の辞任観測や、「国民投票計画の撤回」観測など、状況は一段と不透明になっている。

こうした中、ECBは3日、「金融市場の緊張」と「景気の下振れリスク」を理由に、政策金利を0.25%引き下げ、年1.25%とすることを発表した。

欧州の財政危機が再燃し始め、経済の先行き不透明感が強まっていることを考えると、常識論としては当然の政策に映る。しかし、「物価安定」を責務とする ECBが、31日に発表された10月のユーロ圏のCPI速報値が、政策目標の2%を大幅に上回り、3年ぶりの高水準となった前月と変わらず前年比3.0%上昇となった直後に利下げに動いたことは、ECBの劇的な変化を感じさせる出来事。

イタリア中央銀行出身のドラギ新総裁は、「物価安定」というECBが負っている責務よりも、「金融市場の緊張」と「景気下振れリスク」を重視する姿勢を鮮明にした。それは、財政危機下で「景気下振れリスク」が高まる中でも、「インフレ」を理由に今年になって2回利上げして来たECBの方針の完全否定でもある。こうしたECBの現実重視の方針変換は、柔軟な金融政策を可能にするのと同時に、ECBの信頼低下を招きかねない両刃の剣でもある。しかし、重要なことは「ECBが方針変換をした」ということ。

昨日バーナンキFRB議長が更なる量的金融緩和を示唆し、FOMCが「足下の経済指標」よりも「今後の景気下振れリスク」を重視する姿勢を見せたことに加え、新生ECBも「景気下振れリスク」を重視する姿勢を鮮明にした。その他オーストラリアやブラジルも利下げに転じており、世界は「景気の下振れリスク」を重視し始めている。

世界が「景気の下振れリスク」を重視した政策に軸足を移す中、日本は「景気の下振れリスク」を強める「増税による財政再建」を、今回のG20で国際公約として打ち出す予定だ。

国債の約95%を国内で消化しており、資金調達に何の支障もなく、国際社会に迷惑をかける可能性も少ない「デフレ国」日本が、2年債利回りが100%を超え、「実質的に破綻した」ギリシャと同様に「緊縮財政」を掲げることを、国際社会は理解出来るのだろうか。

国際社会は「需要不足」による「景気下振れリスク」を何とか食い止めようとしている。さらに、自国の「需要不足」を「外需」で埋め合わせようとする「国益」をかけた熾烈な戦いが繰り広げられている。

こうした世界情勢の中で、「増税」によって「日本の内需=外国の外需」をさらに冷え込ませようとする日本に対して、「関税撤廃=開国」に対する圧力が強まるのも当然の話し。パイの拡大が期待出来ないのであれば、関税を撤廃させ、「価格競争」に持ち込んでシェア拡大を狙うのが、「外需拡大」を目論む外国からすれば、「論理的戦略」であるからだ。

この「論理的戦略」に「円高」が加われば、「日本の内需」を狙う国にとっては「鬼に金棒」状態。「ドジョウ総理」が「101回プロポーズ」したとしても、「協調介入」など理解して貰えるはずもない。むしろこうした情勢下で「介入」に理解を求めたり、「協調介入」を要求したりすれば、国際社会で「理解不能国」のレッテルを張られるだけである。

今回のECBの利下げは、世界各国が政策優先度を「景気下振れリスク」に軸足を移した号砲とも言える。この号砲の意味が、「内需を犠牲にしてでも増税による財政再建を図る」信念を持った「ドジョウ総理」に理解出来るだろうか。

世界経済を「鳥瞰」する能力を持っていれば気付くはずだが、土に潜る「ドジョウ」に不必要な「鳥瞰」能力が残っているかが心配なところ。人間に必要性が無くなった「尾」が退化してしまったように。

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